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9:思惑の上のイチャつき

「隣国の王子様が病気だから襲われた、ですか」


「はい。どうやら我が国が聖女様を国外に出さないという姿勢をとっていたことでしびれを切らしたようで」


「なるほど。狙いは私の命などではなく私の魔法の力だったんですね」


「そうなりますね…………ただ、結果として治療をした後生き残ることができたかどうかは定かではありませんが」


課外活動は襲撃が起きたため中止となり、そのまま安全を確保した状態で帰宅すると早くも私に今回の件の真相らしきものが伝えられた。教えてくれるのは私を召喚した人たちで、その情報収集能力の高さには素直に驚愕する。

事件が起きたばかりだっていうのにここまで正確な情報が集められるとは思わないじゃん。

もちろん、本当に真実でそれが全てなのかは分からないけどね。


でも、もちろん理解する部分も多い。

何故か私に対して飛び道具の類が来ることがなかったから不思議に思ってたんだけど、私をへたに傷つけたらまずいと考えていたんだろうね。

目的が誘拐で、その後私に仕事をさせるとなれば万が一のことがあってはいけないから。


「それで、私はどうすればよいのでしょうか?その王子様を治すべきなのでしょうか?」


「聖女様のご意思を尊重いたします」


情報を与えられたのは良いけど、私はこの人たちが何をさせたいのかが分からない。

その襲ってきた人たちの目的を果たしてあげて恩を売るべきなのか、それとも他国に出る先例を作るわけにはいかないからハッキリと拒否するべきなのか。

私の意思を尊重するとか言ってるけど、この人たちの事だからきっと何かしら思惑はあるはず。私はその思惑を正確に見抜いてその通りに動かないとマズい。


ただ、それを分かってはいても意向を聞いても同じ返答が繰り返されるだけ。何度か経験しているからそれは間違いないと思う。

だからこそ、ここはその質問をするにあたって、そして答えを求めるに当たって明確な根拠を付け加える必要があり、


「実は、以前学園で他国の関係することを何かするときには慎重に行動しなければならないと言われたのです。私の動き次第では、それこそ私が救おうとした人以上の人数が犠牲になる可能性すらある、と。ですので、国の意向をうかがわないことには私も決められません」


「さようですか。でしたら確認してまいります。聖女様のご慈悲と慧眼に感謝を」


嘘ではないけど本当でもないことを言ってどうにか説得に成功。

確かにハチョーから外国とのかかわりには気をつけろと言われたけど、そこまで深く理由の説明などはされていない。

けど、そんなことはこの人たちが知るようなことでもないしそもそも知ったとしても私の言葉を疑理由はない。何せ、私の学園での行動はそれなりの長さになるし、いちいちこの人たちも私がかけられた言葉を記録しているなんてことはないだろうから。


最悪、指摘されたとしても私が似たようなことを言われだけで、一言一句全て同じように言ったわけではない、とでも説明すれば済む話。

言われたこととまるっきり同じことを言えるような人もそう多くはないからね。


ということで、私は国の方針に従うという事で話を進めたわけだけど、それは当然ながら私が聖女らしさを失わずに済む道筋であると同時に話を私の手から離すことにもなるわけで、


「聖女様。どうか隣国の助けを求めるものを救っていただきたく」


「かしこまりました。困っている方がいるというのならば見過ごせません。慈善活動として市井の皆様の中でも特に重体の方を対応するという事でよろしいでしょうか?」


「っ!?」


個人的にはそこまで行きたくはなかったけど、国の意向により私の隣国行きが決定した。

なお、国の方針に従うという事だからなのかは分からないけどわざわざ王宮に呼び出されて国王から直々にお願い(ほぼ命令)されたよ。

ただ、私も気になる点があったので軽くジャブを放っておく。

隣国の王子が原因だという事は分かっていたけど、国王の口ぶりや聖女と言う立場からすれば隣国の王族だけを救うというのはあまり良いことのようには思えないからね。

権威のある人間や金のある人間だけを癒すというのは、聖女らしくない。


そこを突っ込んであげると向こうは少し驚いた顔をしたけど、すぐに威厳のある顔を取り繕って、


「王子は国の未来を担う存在。それが健康か否かで国の未来に影響が大きく出るのです。ですので今回は王子のみを対象としています、民を救うことはまたいつか」


「なるほど。かしこまりました」


やんわりと、しかしはっきりと王子だけが対象であると伝えられる。さすがに王子とは違ってこの辺は王様なだけは合って強いね。多少の揺さぶりではボロを出してはくれないかな。

ただ、これまでの情報と今回の返答を照らし合わせて気持ちを推察することはできる。

単純に、まだその隣国と仲良くやって行けるかが怪しいから民を元気にしてほしくはないんだろうね。戦争に回復させた人達を使われたらたまったものではないから。

今回私を呼ぶにあたって隣国もかなり無理はしたと思うんだけど、それでも襲撃などをしてきたことを考えれば信用には欠けるというわけ。


こうして様々な思惑が交錯していることを感じながら私は出発を待つ。

相手が病人だからなのかかなり私の出発は早く、隣国の事を調べきる前にいろいろなことが決まってしまった。

私が聖女であることに加えて隣国が警戒対象だからなのかかなりの大所帯となっており、道中の危険はあまり考えなくてよさそう。

そして嬉しいことに、


「カトラテちゃんも一緒に来て良かったの?」


「良いのですわ。隣国に行くのですから1人では心細いだろうという国と私たちの共通見解による措置です。私も学園の欠席は公欠扱いですし、他国に対しのような形で言ったことがあるという実績は箔になりますわ」


私のお友達の1人。カトラテちゃんもついてきてくれることになっていた。

カトラテちゃんが言うように1人だと心細いのは確かだけど、


「でも、王子様と会えないじゃん。カトラテちゃんも寂しいでしょ?」


カトラテちゃんは王子の婚約者。王子とは仲良しこよしで最近はいつも一緒にいるとすら思えるほど距離が近いから、長期間離れ離れになってしまって良いのかと心配になる。

遠距離恋愛は辛い物だからね。

でも、カトラテちゃんは私の言葉に首を横に振って、


「実は、殿下とは少し喧嘩をしてしまいまして。一度会わない期間を作った方が良いと思いましたの」


「喧嘩!?うそでしょ!?何があったの!?」


衝撃的な事実が発覚。

あんなに甘い世界を作ってた2人が喧嘩なんて信じられない。

どんなひどいことがあったのかともっと心配が強く成ってしまう。


カトラテちゃんの口から出てくるその喧嘩の内容と言うのが私の想定を超えてくるもので、


「私の方が愛しているというのに、殿下が自分の方が私のことを愛しているとおっしゃいますの。殿下の愛を疑ってはおりませんけど、私より気持ちが強いなんてとても認められませんわ」


あぁ~。はいはい。そう言うやつね。

喧嘩に見せかけた、ただのイチャつきじゃん。心配して損した。

適当に、「えぇ~。マジそれ大変~。彼氏さんが良くないよ~。カトラテちゃんは絶対悪くないって~」みたいなことを言って流しておこう。

アホクサ。


そんなことより私は隣国のことを考えておこう。

カトラテちゃんが私に対して不満を口にしてスッキリしたかなと言うタイミングを見計らって、


「でも、どうせ別の国に行くならお土産とかかっておきたいよね。カトラテちゃんも、そこで買った物で王子様に愛を示したら分かってもらえるかもよ?」


「ですわね!今から行く国の特産品と言いますと………」


解説役になってもらった。

お友達にもお土産は解体し、しっかりここで話を聞いておくとしようかな~。

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