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8:新スタイル

友達が増えたことは、私の普段の生活にも大きな影響を及ぼした。

一緒にお出かけなどして遊ぶようになったことはもちろんだけど、


「そうそう。この種を成長さえさせてしまえば、ヒト以外誰も立っていられなくなると思うわ。私は特例で別だけど、ね」


「いいの?こんなものもらっちゃて。そんなに凄い物なら扱いも厳格に管理しなきゃいけないんじゃない?」


「いいのよ。気にする必要はないわ」


なんと私の回復魔法、応用すれば植物を種から花を咲くまで成長させることができることが分かった。なんとそれまでかかる時間は10秒以下。

植物によっては1秒もかからず完了する場合もあるから、場合によっては種さえ持っておけば食料に困ることにはならない可能性が高い。


だけど、今お友達の1人から教えてもらってることは別。

ある意味緊急時のためのものではあるんだけど、私がもらったものは毒草。

発する花粉などいろんなものが毒性を持っていて、成長させると瞬時に周辺を危険地帯に変更することが可能。

命までは奪わないにしても、数日手足が動かないなんて状況にさせることもできるらしい。


「ヒトなら、ずっと自分を回復させておけば特に問題ないでしょ?」


「たぶん大丈夫だと思う。この間敵国の諜報員っていう人が毒を飲んだ時に無理矢理回復させて健康に戻すことに成功したし」


「ああ。あれね。けっこう強力な毒だったのに問題なく回復させられたって聞いたわ…………あれが大丈夫ならこっちも問題ないわね。本当に危険になったら遠慮なく使って。一応成長させれば種も取れるから、いくつか数が欲しい時には場所に注意してやってみて。増やし過ぎて誰かに渡したり処分に困ったりする、なんてことにならなければ好きにしていいから」


「分かった。ありがとう!」


私の戦闘スタイル、とでもいうべきか。

基本は回復するか光の魔法で弱いビームみたいなものを放つか補助魔法で肉体を強化して物理で殴るかくらいしか選択肢がなかったんだけど、この短い期間でかなり選択肢が増えた。

特に私が回復できるという事でお友達たちがノリに乗って自傷に近い行動を前提としたようなやり方をいくつも提案してくる。

さすがにケガをすることは嫌だからいくつかは却下させてもらったけど、逆にこうした植物を使うようなやり方は積極的に取り入れさせてもらっている。


そしてこれを魔法の練習の時間に試させてもらってるから、普段の生活にも影響が出ているというわけ。

勉強も植物の知識を増やすとか薬の知識を増やすとかそういう方面にいってしまうから、だんだん得意教科と言うものが偏り始めてきている。

もちろん、他の得意教科にはいらないような教科も成績を下げてはいないけどね。


「しかし、けがを嫌がったせいと言えなくもないけど随分使うものが聖女らしくないものになってしまったわね」


「うっ、それは確かに」


「毒に麻痺薬などいやらしい物ばかり。合理的ではあるけど、あまりこれを主体にして戦うのはマズいわよねぇ」


耳が痛い。

ただ、私だって聖女らしいことも頑張ってやってるんだよ?相変わらず部活や委員会活動にも積極的に取り組んでいるし、騎士の人のお手伝いも定期的にしている。

そろそろ細かいけがを治したくらいの人も入れたら救った人の数は4桁に届くんじゃないかな?

でも、それなのに私がだんだん聖女から離れて行ってるのは提案する友達の影響も大きいんだからね!まるで私だけが悪いみたいに言わないでほしい。


けれどそうして聖女らしくないことをしていることも間違ったことをしているという事にはならない。

意外と練習の成果が試された時は来るもので、


「聖女様。テントをそこに立てようかと考えているのですが」


「かしこまりました。何かお手伝いできることが?」


「できれば身体強化の方をかけていただけると」


私は今、また課外活動をしている。そして、またまた王子たちと同じグループ。

しかし、もちろん違うところもある。

それが、その婚約者たちもセットであるという事。

王子以外のイケメンもその婚約者も同じグループで、かなり楽しくやらせてもらっている。私は主に補助魔法で重い物を持ちやすくするなどといった形で働かせてもらっているよ。


ただ、それ以外にもたまにテントを張るときの補強として植物が巻き付くようにしたり、


「これ、育てることが難しいと聞いたのですが」

「流石は聖女様」

「ここでもこんなにおいしいものが食べられるとは」


野菜やハーブを育ててみたり。

種さえあれば大抵のものは育てられるし、食べ物を色々と出すことができる。学園側でももちろん食材の用意はしていたんだけど、その内容の豊富さと高級さはかなり高まったと思う。

水も土も光も栄養もいらないなんて、やっぱり私の魔法はおかしいよね。聖女って凄い。


でも、それだけでは終わらない。

私のできるようになったことを試す機会はまだあって、


「キャアアアァァァァ!!」


「これは、悲鳴?」

「向こうから聞こえてきますわね」

「何か起きたのかもしれない。みんな警戒を」


遠くから聞こえてくる誰かの叫ぶ声。

そちらに目を向けてみれば、そこには逃げ惑う生徒と黒ずくめの集団が。

一目で犯罪者に何かされたという事が分かる光景となっている。


すぐに私たちは逃げるための用意を開始。

騎士団長の息子であるプラウンを含めて戦える人間もいるけど、さすがに自分たちが戦いに行くような状況ではないと言う判断らしい。

私も特に自分の身を危険にさらして助けたいとまでは思っていないからついて行くつもりだったんだけど、


「くっ!回り込まれた!」

「逃がしてはくれないというわけか」

「弱いところを見つけて無理矢理突破するしかなさそうですね」


回り込まれて逃げるさきに困ることになってしまった。

そしてその隙を突くようにして、私たちにも黒づくめの集団は襲い掛かってくる。

もちろん戦いもできる数人が対応に当たろうと動き始めるんだけど、先に私が少し小細工をさせてもらって、


「ぐっ!」

「っ!?」


「な、なんだ?」

「目が見えていないのか?」


まず光の魔法を応用して、相手の目をつぶす。一瞬目の前でチカッとさせてしまえばそこまで強い光じゃなくても目を見えなくさせることは可能だから、誰かに気づかれるというようなこともない。

そしてさらにそこから惜しみなくもらった植物の種を使わせてもらって、


「倒れた?」

「動かなくなったな」


そこから出る花粉などを吸いこむことで体が動かなくなる。

あっという間に無力化完了と言うわけ。簡単なお仕事だったね!


さっさとこのまま逃げさせてもらおう、と思っていたんだけど、


「なんと神々しい!」

「触ることすらなく敵を制圧するなんて!」

「さすがは聖女様!」


何故か私たちに注目が集まってしまっていた。

どうしてなのかと周囲を見回してみると、うっすら自分たちが光っていることに気がつく。植物によるものの影響を受けないように私たちに対して回復魔法をかけていたわけだけど、それによる光が神々しい何かに見えてしまっているの。

私が植物を使ってどうにかしたとは思っていないみたいで、皆私がその神々しい何かだけで触ることすらなく相手を倒して見せたと考えた様子。


聖女っぽさを思わぬ形で演出できたのは良かったんだけど、


「敵がこちらに狙いを定めてしまったようだな」

「これは聖女様の聖女様パワーでどうにかしてもらうほかありませんわ」

「このくらい聖女様の力なら簡単に解決できるわね」


「…………すみません」


注目は敵からの者も集めてしまい、結局逃げられもせず全て私たちが対処することになってしまった。

無駄に目立って逃げられなくなったことは本当に申し訳なく思ってるよ。


だから、事情を知ってるお友達たちはそんな呆れた目を向けるのはやめてほしいかな。

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