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プロローグ
大きな両手で私の両脇を持ち上げ、軽々と抱っこをされると一気に目線が高くなった。肩にしがみつくと背中をポンポンと撫でられる。
「まだまだ軽いな」
「わたしにさいだもん!」
「はは。そうかそうか」
舌足らずに反論した私に対し、私を抱っこしているお父様は随分と楽しそうに笑う。
白金色だけど、金が濃い髪が自分の目に入った。私の髪の毛。お父様と同じ色。黒眼鏡の向こうから私を見つめる瞳は見えないけれど、瞳の色も私と同じ青だと知っている。
「ふわあ……」
不意に漏れた欠伸を隠さず出せば、子供は寝るのが仕事だと眠りを誘う手が背中を撫でた。ああ眠い。これは本格的に寝てしまう。朝ご飯を食べたばかりなのにすごい眠い。お父様の肩に頭を置いて私は眠ってしまったのだった
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