表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
&dead.  作者: 猫蓮
12/143

&10.想像力が物を言う

 私の触覚は相変わらず触れた感覚しかない。

 私の視覚は相変わらず低い目線でしかない。


 踏まれてだんだんマシになってきたとしても、それは毛が生えた程度の少しの成長。大きくは変わってくれない。


 塵も積もればなんとやら。けど、ホントに塵過ぎて困る。道のり長過ぎ。


 まあ何を言いたいかって言うと、私今壁に沿って歩いてるじゃん?

 んで、下は元から埋まってた。地面ね。視界の話ね。

 それに加えて横も片方埋まった。壁ね。同じく視界の話よ。


 元から狭かった視界がさらに狭まった 。


 場合によっては視界、地面と壁、で埋まるのよ。場合って言うか向く方向だね。地面と壁が接する角を見た場合。

 だから、その逆ももちろん出来るってわけ。壁を背にして水平移動するような感じ。


 笑えるでしょ。それで実際は転がってるんだよ。もっと意味分からんよね。


 視界は固定されてるんだけどそこから動かせる事が出来る。いやどういう事だよって思うよね。固定されてるのに動くとか矛盾してるし。


 なんかねー、うーんと、正面を向いて目線だけ動かす感じ?


 例えば、車のタイヤがあります。真ん中に棒を刺して両端をグルっと繋げます。それが視界です。んで、そのタイヤは四方八方に転がれる球体だよって感じ。

 その棒を上下すれば見上げ見下ろしが多少は出来るよーってのが今。完全に真上を見るってのは残念ながら出来ない。まあ上を見たってねって感じではあるんだけど。


 ……蛇足だったかも。余計に分からなくなったわ。


 まあそんな感じで、大自然を眺めながら心を無に、壁を背にして横に転がってたらさ、あったのよ。進行方向に別の壁が。


 コンッて当たって動きが止まったの。どうせまた崖かなんかだろうって思ったさ。最初は。

 何回もあってその度に気分を上げて倍落とされてるから。もういいよってなってたの。


 でもね。違うの。今回は違ったの。


 いつもと同じように壁に沿って転がっていたら、それには角があったの。角張った鋭利な角。直角っぽいそれが、私にはどうにも人工物のように感じた。


 だから、一旦距離を離して遠目に見てみた。そしたらさ、それはピラミッドっぽい形をしていたんだ。


 うん。ピラミッド。

 ピラミッドってあれだよね。四角の……なんか四角いやつ。お墓、なんだっけ?


 てかそれって完全に人工物じゃん。人の手で作ったやつじゃん。人いるけど。


 えっと、ピラミッドってエジプトだっけ?

 エジプトってどこだっけ?


 やーばい、バカがバレるー。


 それ以前に、ピラミッドって砂漠だよね。ここ荒野だよね。砂漠って荒野?


 ま、まあ、どっちでもいいや。そんな事は今重要じゃない。

 重要なのは今目の前にある人工物、ピラミッドさ。


 ピラミッド。その中には金銀財宝、お宝が眠っている。そのお宝を守るのがスフィンクスって犬。スフィンクスに噛まれた人は体を奪われミイラになってしまう。だからミイラは体を探してピラミッドの中を彷徨うのだ。


 あれ、私ってミイラ?


 ミイラってあれでしょ。仮装でお馴染み全身包帯ぐるぐる巻き。中身って透明人間なんだっけ。透明ってか、魂だけの存在? 幽霊的な。

 じゃなきゃ体を探すって辻褄が合わないよね。


 むーん。でもおとぎ話に現実論を言ったところでって言うのはあるよね。そもそもミイラが実在するのかってのもあるし。


 えーっと、ピラミッドの話って誰に教えてもらったんだっけ……。うー、思い出せない。


 んでもって意外な事に私、内容覚えてるもんだな。ちょっと感動。私の頭の良さにね。

 話にじゃないよ。ここ重要。


 さてそれじゃあ、私もピラミッドに入りたいなー。

 入口どこかなー。


 なんか忘れてる気がするけど……まあ、いっか。

 忘れてるって事は重要じゃないって事だもんね。


 入口、入口ー!



 …………ないんだけど。

 ぐるっと一周、は回れなかった。一面は壁に接してるっぽいから行けなかった。けど入口はなさそうだよね。ないであってくれ。


 ピラミッドに入る入口はなし。

 なんでー!!??


 入らないと何も始まらないよ。

 ただの模型かよ。

 だったら泣くぜ!?

 大泣きしてやんよ。


 期待させといてそれはないって。面白くも何ともないから。やめな? そういうの。


 正直に入口を提示しなよ。今だったら許してあげる。

 まだ拳一発で許してやるよ。いやーん、私ってなんて優しいのかしら。誰もが平伏しちゃうね。崇め讃えても何も出ないよ。声も出ないから。


 うえー、ホントに入口ないじゃん。どういう事ー。他のピラミッドもなさそうだし……うん。これだけだ。この辺りには。


 もう一回遠目で見てみるか。うーわー、行ったり来たりとかめっちゃ怪しい人じゃん。生首だけど。

 大丈夫? スフィンクス来ない?


 むーん。入口……入口……どーこーだー。

 うーーーーん? あれ? あれか……?


 くっそ、目が悪いってホント分かりづらいな。色もぼやけてるのマジ鬱陶しい。


 でも、あそこ……半分の半分下のとこ、他に比べて黒っぽい。空洞って暗いもんね。あそこが入口かな。

 ……ってことはー、これ登らないと入れない?


 ウソだろ!? ここまで来てそんな事ってある!?

 そりゃないぜピラミッド。卑怯だよ。ズルだよ。


 えーっと、つまり……私の体がピラミッドにあるかもしれない。探すためにも中にはぜひ入りたい。

 そうじゃなくても、ここがどこか知ってる人がいるかもしれないからね。そろそろなんか情報くれてもいいんだよ。

 それで、入口はどうやら少し登った場所にある。登ろうにも転がる身では行けない。体が必要だ。


 ムリじゃね?

 いやだって、体を探してるってのに、行くのに体が必要っておかしいじゃん。なんだよそれ。


 代替を調達するのも難しいんだって!

 てかムリだったの!


 うおーいマジかよー。萎えるわー。

 飛び跳ねても全然届かないしよー。

 悲しい。てか悲惨だ。


 空を飛べたらなーって、願っても無意味なの、に………………いや。いやいやいや。行けるかも……?


 そうだよ。私、ミイラなんだよ。包帯ないけど。ミイラだよ。

 だから見えない体が、いや、宙を浮く事だって出来るんだよ。


 こういうのって想像力が物を言うんだろう。前は飛ぶってだけしか思ってなかったから、落下しちゃったんだ。もっと、細かく考えて思い描かないとダメなんだ。


 ふわっと浮かんでスーッと滑る。


 よし。行ける!


 むむむぅーーー!

 ぬぅううううん!


 ………………。

 ダーメだー。ですよねー。

 うん。知ってた。分かってた。

 だから気落ちしてなんかない。ないったらない。






エジプトは室内にありますか?

A.いいえ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ