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&dead.  作者: 猫蓮
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&9.ヤケクソ

 ふと空を見上げると一つの疑問が浮かび上がった。


 雲がない。青がない。光がない。


 それらから、私の素晴らしき頭脳が導き出した予測はここが室内であるという事。


 きゅーいーでぃー。


 え、そんなの誰でも分かるって?

 いやいやいや。強がりやめな。そういうのいいから。大丈夫。頭悪いのは恥じゃないから。安心するといい。ただの事実だから。


 一つって言っておきながら三つ挙げてるって?

 うるせーバーカ。


 まあ、それは置いといて。

 ここが室内ってんなら風がないのも納得がいく。崖があっても、ほら、屋内スキー場とか、あーのー登るやつ! えーナントカカントカ。……ああ、ロッククライミングだ。うん。知ってたよ。もちろん。


 まあそれらもあるしで広い高いは室内でも別に普通だよね。……にしてはプチッの大きさが異常だったけど。まあ、いいか。いい……うん。


 つまり、何が言いたいのかって、出口があるわけですよ。出口。外。


 壁らしきものが見えないけど、それはきっと視力が悪いせいだろう。広すぎる荒野も端っこ、終わりがあるわけだ。


 そんなわけで私はただひたすらまっすぐ転がってる。寄り道もしないで。……してないよ。ホントだよ。大丈夫。

 方向が分からなくなるから突進踏まれもしてない。目印が何も無いからね。


 これはヤケクソじゃない。違うったら違う。確認だよ確認。

 飽きたーとか、つまんないーとかじゃない。好奇心でもないって事はないけど、違うの。とにかくそういうのじゃないから。


 逃げるつもりはない。ここに居る人らもプチッも絶対やり返すって決めてる。そこは何があっても変える気はないから安心して。その道中がちょぉっと長くなるだけだから。誤差誤差。



 * * *



 どれくらい時間が経っただろうか。私はついに最果てへと到達した。


 トンッと進行方向前方に触れる感覚。そしてそこから進めない。触れる感覚に沿って横に転がっても常に何かが触れている。


 これは壁だ。間違いなく壁だ。

 聳え立つ崖でも人の足でもない。


 壁だ。


 長かった。

 何度途中で諦めるか迷ったか。

 何度通り過ぎる人の足に吸い寄せられるのを我慢したか。


 長かった。

 それでも私はやりきった。

 ちゃんと端まで辿り着いたんだ……!


 ホントに心配したんだから。心折れそうになったんだから。だってさ、前が微妙にズレてぐるぐる大回りしてるだけってのも全然あるわけじゃん。なんか知らんけど霧の先は元いた場所っていうのもあるらしいじゃん。


 だから内心めっちゃ不安だった。下手すれば一生転がるだけの人生だったかもしれなかったんだ。そんなの悲し過ぎる。てか嫌過ぎる。


 だから、今、とーっても安心しています。喜びより安堵が勝ってます。心の底から気が抜けた。


 ようやくホッと一息つけるってもんよ。口ないけど。

 いやー、軽口言える余裕もあるよ。やったね。


 最後ら辺はもう意地だったね。何も考えずに無になってひたすら転がってたよ。

 だからずーっと無言だった。いや最初から喋ってないけど。声を発する口ないけど。

 違うの。考え事もしてないの。ホントに無だったわ。


 立ち止まったらダメだと思った。余所見したら終わりだった。冷静に考えると死んじゃう。


 極限状態だったわ。ストレスでハゲるわ。髪の毛あるか知らんけど。

 ……あれ? 前触った時ぺたぺたしてなかった?


 も、もしかして私……ハゲてるーぅ?

 うそ……いやよ! そんな、そんな事って……! 殺生な!?


 あぁ、ふざけられるのっていいね。楽しい。

 心に余裕がないとホントにムリだからね。こういうの。バカやって笑うって幸せな事だよ。


 さあ、気を持ち直したところでお次は出口探しです。


 誰もここがゴールだと言っていない。言わばスタート地点だ。絶望過ぎる。


 ホントさー誰だよ。外があるって言ったやつ。

 私だよ。


 好奇心は猫を殺すってホントだね。よく言ったわ。先達はスゴいね。様様だね。教訓として活かせてないけど。


 こっから壁沿いに転がるわけだけど、一周するのにどんだけかかるんだろうね。考えれないし、考えたくもないね。逆に時間が分かんなくて良かったかも。あっ、どうだろ。


 一分一秒と刻一刻と時間が過ぎてるのを確認しながら転がるのと、時間すら分からずただただ転がるの。

 うん。どっちもいや。


 あれだね。メリットとデメリットは必ず両方存在するよってね。どんなに頑張っても完全無欠の完璧には出来ない。人間は欠点がないと逆に不安になる。

 今の私、人間かも怪しいけど。生首ですはい。


 嫌な話だよ全く。やんなっちゃう。


 ……ね。元気なのも今だけだから。また少ししたら無の時間になるから。


 頑張るよ。我慢してやり通すよ。嫌な言葉だね。


 あーダメだ!

 思考がマイナスになってる。なにか楽しい事を考えよう!

 うん。それがいい。


 えーっと、外に出たら何しようか。何したいかな〜。


 誰かと会話したい。口ないけど。

 空見たい。目悪いけど。

 か、買い物とか……体ないけど。


 うー! どれもダメじゃん!


 やっぱまずは体の調達からじゃん。出口見つかって外に出ても場所が変わっただけで同じ事じゃん。意味ないじゃん。


 てかさ、外だったら余計に厳しくない?

 森とかだったら木とか根っことか草で転がれる道もないよね。川とか水の中って泳げるのかな。住宅街とか死ぬくね?


 あれこれ詰んでね。

 外にメリットなくね。


 えっ、ちょお、マジで言ってる?

 ちょっとやめて。もう心、十分すり減ってるんだけど。耐えらんないから。


 いやいやいや。……いやいやいや。

 大丈夫。何とかなる。信じる信じろ信じて。

 私大丈夫ベリーベリー。私大丈夫ベリーベリー。


 落ち着けー私ー。まず深呼吸しよっか。スッハッ!


 ふう。全然落ち着かないわ。気が休まらないわ。ダメージデカいわ。


 マジかー。いや……マジかー。ちょっと、だいぶ、ショック……。しばらく立ち直れないかも……。


 泣くよ!? 泣いちゃうよ!?

 涙も何もないけど心は大雨降水ドッパァ。


 ああ、もっと早く気付けば……。なんでこういうのって後にならんと気付けんのだろうね。後悔先に立たずってその通りだよコンチクショウ。人間作った神様、絶対性格悪いよ。超クソッタレだよ。


 今さら引くに引けないから壁沿いに転がるよクソッタレ。

 どうせ私はバカですよーだ。うわーん!






ロッククライミングの中にボルダリングがあるらしい。大は小を兼ねると言う。

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