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&dead.  作者: 猫蓮
10/143

&8.ごめーん

 はあー。

 はあーー。

 はあーーーー。


 ため息しか出ないわー。口ないからため息すらつけないわー。うーわー。


 なんなん!? なんなの!? なんなんだ!?

 嫌がらせか? だとしたら大成功だよクソッタレ!


 あーあ、せっかく胴体が手に入ったというのにすぐ無くなるかね? 儚い夢過ぎるだろ。もっと夢見させてくれよ。薄情過ぎるよ〜。


 むーん。また草に戻った。いや生首か?

 でもさ、やっぱり転がってる時って生首とは思えないんだよね。視界固定だし、滑らかに転がるし。


 私は確かに顔だった。鼻も耳もあった。確認したもん。

 だから、障害なく転がれるってのはおかしいのよ。


 まあいっか。ストレスフリーだし。


 問題はあの体だよ。

 多分だけど、あの体は崖下に居た。んで私が飛ぶわーって飛び出した落下地点に運悪く立っていた。当たりどころ悪く頭と頭がごっつんこして、頭が入れ替わった。


 ……そんな簡単に頭って取れるものなの?

 スポーンって取れたけど。まあそれは本当の体じゃないし、首が繋がってなかったからね。


 チラッとだけ、相手の頭部が見えたけど、酷い状態だった。生首焼きましたーみたいな感じ。

 嗅覚はまだないから匂いは分からないけど、あの見た目なら臭そう。あれでフレグランスのいい香りとかだったら頭おかしくなる。


 あ、待って。やっぱいい。アタオカでいいからフレグランスのいい香りで。

 だって、私も同じでしょ? 自分じゃ確認出来ないから定かではないけど、似たようなもんでしょ?


 つまり、私も鼻曲り臭全開の可能性が……。イヤイヤイヤ! それは絶対イヤ!

 加齢臭かよ。そんなの嫌だー。そんな歳じゃないもん。臭くないもん。大丈夫だもん。


 うーあー、誰か消臭剤持ってきてー!

 私にぶっ掛けてー。頭皮に染み込むぐらいにやっちゃってー!


 いや……いや。私は草よ。マイナスイオンの草よ。だから、そう、スッキリと冴え渡るようなミントの匂い……雑草って臭くね?

 なんか、なんとも言えない匂いじゃね?


 はうっ!

 匂いの話はやめよう。うん。そうしよう。誰も得しない。これは嗅覚が増えてから考えよう。


 ん? 自分の匂いって…………はっ、やめやめダメダメ。考えるな。考えきゃダメだ。

 他の、他の事を考えよう。えっとー、あー、そうだっ。あの体の事。


 体の所有権は頭にある。そして頭が潰れると本来の体ごと消失する。……って、そんな事ある?


 心臓というか、生命の核が頭にあって、それさえ無事なら例え四肢が引き裂かれようが首が切断されようが全くの問題無しって事なのかな。そんな便利な事ある?


 でも、それなら私がまだ生きてる事にも説明がつく。……いや待てよ。私踏まれたぞ。なんならぺちゃんこに潰されたぞ。半分と言わずに全部。紙のようにペラッペラに。

 それでも私は生きている。…………なぜ?


 うーあー分ーかーらーなーいー。

 分からないならやる事は一つだよね。ズバリ、後回し!


 とりあえず、私は人……っぽい事は分かった。なら、私の胴体もどこかにあるはずだ。


 いざ、体探し!

 という事でここで問題です。デーデン!


 クエスチョンワーン。このだだっ広い荒野でどうやって探しますか?

 地道に転がって。


 クエスチョンツー。自分の体だとどのように判断しますか?

 本能?


 クエスチョンスリー。それはどのくらい時間がかかりますか?

 見つかるまで。


 クエスもういいー!!!


 クイズという名の自問自答。しかも正解も何もない。これほど悲しい事ってないね。


 やる前からやる気削がれた。絶望だよ。こういうのは考えちゃダメだね。もう遅いけど。


 はあー、ダル。メンド。クソッタレ。

 でもやるしかないかー。体欲しいし。


 見つかるまで他の人の体間借りしたいけど、無理そうなんだよねー。だって私、飛び跳ねられると言ってもちょびっとだけだもん。良くて足の上に乗るぐらいだよ。頭までなんてムリムリ。


 だから、さっきのは本当に運が良かった。たまたま登れる崖があって、たまたま崖の下に人がいて、たまたま落下した先がその人の頭だった。

 こんな偶然、またとないでしょ。起きる確率何パーセントだよ。


 あー、勿体ない! 非常に悔しまれる。

 知らなかったとはいえ惜しい事をした。嬉し過ぎてつい小躍りしたけどハメ外し過ぎたか。


 いやいやいや。しょうがないじゃん。だって、体だよ!?

 そりゃテンションも上がるってもんだよ。


 それにね、知らない事は知らないんだから後から知ったって、ねぇ。先に言っとけよって話だよ。


 だから私は悪くない。私がただ損をしただけだから、誰にも迷惑かけてないんだから……あ。人一人やったわ。ガッツリ被害出してる。


 哀れな見ず知らずの人よ。あなたが命をかけてくれたお陰で私は新たな発見を得た。安心するといい。犠牲を無駄にはしない。


 せーの、ごめーん。


 ……良し。さあ気を取り直して元気よく行きましょー!

 えいえい、えーい!


 私の体はどこだ。どこだ。

 おーい、居るなら返事しろーい。

 頭はここだよー!


 …………むーん。分かっていたけど見つからない。探し始めてすぐに見つかるなら苦労はしない。私に運は味方しなかった。


 これまでも首なし胴体は見てないからな〜。見てたら覚えてるはずだもん。インパクトあるだろうし……な、()。覚えてるよなっ。


 はあー、見つけるまでの代用として誰かの体を借りる?

 消えてしまわないように生首持ってさ。どう? 良いアイディアだと思わん?


 さすがに転がるより歩いた方が速いよね?

 これで歩く方が遅いとかだったら笑うわー。嫌だわー。


 まあでも、その代用を調達するのも難しい話だけどね。だって、みんな歩いてるもん。


 前回の方法が正解なら頭が入れ替わらないといけない。でも私は地べたを転がり回る生首。対してみんなは足で歩く人。頭の位置は天と地の差がある。


 例え、横になってる人がいたとして、入れ替われるほどの衝撃を、スピードを私が地で出せるかって問題もある。


 そう考えると、ホンットーにあの時は幸運過ぎた。私の運を全部使っちゃったって言われても、嫌だけど、頷ける。


 一度ある事は二度ある。また崖を見つけたら挑戦しよう。

 今度は飛べるといいなぁ。夢は信じる事からでしょ。生首だって空を飛びたいんだ!


 崖ーどこだー。






悪いと思ってないけど謝った方がいい時ってあるよね。

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