雪那
とりとめもなく降り積もる雪を見ながら、太郎はその現象のはかなさを知った。彼らは遠い遠い大陸からきたるシベリア高気圧を待ち焦がれていた。そして日本海上で之にかぶり付き、他のウン千万の仲間とともにここ富山で砕け散るのである。他のウン千万の仲間と!!
そして又、この白いモクモクどももなすすべもない片道切符に腹立たしさを覚えていた。
「俺たちはタンポポの綿毛のようなはかなさと、やるせなさを手に入れる為に、一生を棒に振った。」
彼らはーーーーそして少しでも世の中に蜜の味を見いだしたくて、むさぼりたくて、コロイドを作った。が、このウン千万の敵を前にしては、ドングリの背ぇ比べである。
融雪機はそんな雪どもの心情には目もくれず、淡々とお湯という討伐隊を投下しているのであった。
あとはただの汚い汁である。