表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
贄の令嬢はループする  作者: みん
❋新しい未来へ❋
73/83

想い合った者同士

いいね、ありがとうございます。

『エヴェリーナ様は、ハロルド様の事が本当にお好きなのね…。私がいつもハロルド様と一緒にいるから、嫌味を言われるの。嫉妬……ですわね…』



ジュリーにそう言われて、私は………喜んだ。


私ばかりがリーナを好きで、リーナは、私が王子だから婚約者になっただけで、私の事は嫌いではないが好きでもないと思っていたから。

それが、ジュリーと一緒に居るだけで嫉妬していると聞けば、嬉しくなってしまっても仕方無い事だった。


それからの私は、リーナにもっと嫉妬して欲しくて……私を見て欲しくて、ジュリーと一緒に居る時間を増やしていった。


それが、大きな間違いだった





『今日のお茶会に、エヴェリーナ様はいらっしゃらないそうですわ』



城でのお茶に誘っても来なくなり、更にジュリーと2人だけの時間が増え、その上、リーナがトワイアル王国の王女であるジュリーに手を出し始めたのだ。


そこまでして、私の事が好きなのか─


それなのに何故、私の所に来ないのか─


どうして、私だけを見てくれないのか─




『エヴェリーナ様は嫉妬しているだけで……私が悪いんです。決して…エヴェリーナ様を責めないで下さいね』


と、切なげな顔をしているジュリーを目にすると、愛おしく見えたのも……事実だ。そこに、恋愛感情があったのかどうかは……よく分からない。ただ、ジュリーを守らなければ─と思ったのもまた…事実だ。

だから、一度目の私は、リーナに『私に何か言う事はないか?』と……訊いたんだ。



言いたい事なんて……本当はたくさんあったんだろう。




記憶が戻った今なら分かる。

一度目のリーナは、本当の笑顔を私に向けてくれていた。

二度目は、まだ私に笑顔を向けてくれていて、私と向き合おうとしてくれていた。

でも、三度目には、もう既に、私を見てはいなかった。

四度目は………色々な事に拒否され距離を置かれた。

そして五度目(いま)は……


「“気持ち悪い”か…………」


そう思われても……仕方無い。過去四度もジュリーの言葉を信じて殺してしまい、今世では媚薬を使って手に入れようとしたんだ。でも───


ジュリーが居なければ、リーナは私のモノだった。リーナが見ているのは私だけだった。ジュリーさえいなければ、リーナと結婚して、リーナの横に居るのは私だったのに。



「ジュリーさえ居なければ…………」








******



「今日から貴方はここに入ってもらうわ。想い合った者同士、一緒に居られて良かったわね?思う存分…愛を確かめ合ってね?」


ふふっ──と笑いながら、ジュリエンヌ(わたし)を違う牢に入れた後、ニノン(嫌な女)は振り返る事なく地下牢から出て行った。


「本当に……嫌な女ね」


ー魔力封じの枷なんてなければ、あんな女1人ぐらい、すぐにやってやるのにー


「ところで……“想い合った者同士”って…一体…」

「……ジュリー?」

「え?あ、ハロルド様!?」


ハロルド様と会うのは、()()()以来だ。

この男があの日、エヴェリーナをモノにしていれば、今頃私は────


「ジュリーのせいだ……」

「は?」

「ジュリーが嘘なんてつかなければ……私は……エヴェリーナと結婚できていたんだ」

「何を言っているの?婚約者でもなかったのに、結婚できるわけないでしょう?貴方は、媚薬を使って無理矢理にでもしなければ、エヴェリーナを手に入れる事なんて────」

「黙れ!」


バシンッ


「ゔ───っ」


ーな…何が…起こったの?私…今…殴られ………ー


()()()私を騙して楽しかったか?自分が黒龍の番になりたいが為に、私とエヴェリーナを陥れて……楽しかったか?ははっ……思い通りに動く私は……さぞ滑稽に見えただろうな」

「………」


私がイーリャの実を使って黒龍の番になろうとしていた─事は、ハロルドには言った事はないのに、何故知っているの?


「でも…残念だったな……黒龍には既に…番が居る。お陰で私も……もう………お前のせいで!」

「なっ…に───っ!」


殴られて床に倒れていた私の上にのしかかって来たハロルドが、私の首に手を伸ばした。


ー殺される!?ー


「ははっ…一思いに殺されるよりも……私やジュリーが()()()()()()()をされる方が……お前にとっては屈辱となるのかな?」

「なっ………なにを……言って………」

「お互い、心はもう汚れてるから………はぁ……何で…こんな事………」


首に置かれていた手が離れていき、ヨロヨロと手で顔を覆って荒い息を繰り返すハロルドの様子は…まるで………


ーまさか!?ー


「ちょっ……だれっ…か!誰か居ないの!?わたしっ……このままだと、この男に……!!」

「“既成事実を作られてしまう”─かしら?」

「ニノン!あなた!み…見てないで…助けなさい!このままだと……わたしっ……!!」


地下牢(こんな所)で、ハロルド(こんな男)に!ー


「メザリンド嬢も……きっと助けを求めたでしょうね」

「──っ!?」


ー全て…知られて…いるの!?ー



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ