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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋新しい未来へ❋
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報告

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翌日、竜王の執務室に集まったのは─


竜王フィリベール、宰相アラール、トルトニア王太子メレディス、イロハ、私の5人。


先ずは、イロハ達と別れた後の私とハロルド様とのやり取りの報告から始まった。話を進めれば進める程フィルの顔が恐ろしいモノになり、最後には、この場に居た全員が……顔を引き攣らせた。自分が言われた事ではあったけど、王太子殿下(第三者)から聞いてもやっぱり気持ち悪いものだった。


「それでは……今の段階で分かった事を報告させていただきます」


王太子殿下と私からの話が終わると、今度は宰相様が今のハロルド様についての報告をしてくれた。


ハロルド様は、今は意識を取り戻している事。暴れてはいないけど、牢の部屋の奥で床に座り何かをブツブツ呟いているそうだ。

そして、ハロルド様が所持していた小瓶の中身は、やっぱり媚薬だった。しかも、禁止薬物が含まれた副作用が酷いモノで、一般的には売られていない媚薬だった。


「服用する量によっては、常習性が高まり、ソレ無しでは生きていけないようになるモノで、よく…娼婦や奴隷などに使われるモノでした」


パキンッ───


フィルと王太子殿下が手にしていたペンが、ほぼ同時に折れたのは……見間違いではないし、その2人にササッと宰相様が慣れたように新たなペンを渡したのも見間違いではない。


兎に角、その禁止された媚薬を、誰が何処で手に入れたのか─は、調査中とこ事だけど、おそらく、購入したのはジュリエンヌ様だろう。そこまでして、私を押し退けてフィルを手に入れたかったと言う事だ。




それから、今度はフィルとジュリエンヌ様との話になった。ジュリエンヌ様もフィルに媚薬を盛ったようだけど、この媚薬は、以前メザリンド様に使われたモノと同じ媚薬だった。夫婦や恋人でも使えるような一般的な媚薬で、副作用も無い。ただただ快楽を増すための目的で使用され、痕跡も残らない媚薬だった。

問題なのはその媚薬ではなく、もう1本の小瓶に入ったモノだった。それはやはり、イーリャの実だった。


「イーリャの…実?」


これに関しては、王太子殿下は知らない事だった。

フィルと、その側近の数名しか知らないイーリャの実。数百年以上前には根絶やしにしたつもりだった物だ。他言無用とした上で、王太子殿下にも説明をした。


「そう言えば……トワイアルの王太后の生家が昔、薬草関係の商会をしていたのではなかっただろうか?」

「トワイアルの王太后?」


王太子殿下の立太子の式典に、当時のトワイアル国王両陛下が参列されたそうで、その時の話の中で、王妃が薬草に詳しいと言う話になり、そこから自身の家が昔、薬草関係の商会をしていたと。ただ、それも何代も前にその商会は潰れてしまった為、今は普通の貴族で、王太后も趣味の一つとして薬草を育てたりしていたそうだ。その王太后も、2年程前に亡くなってしまったそうだ。


「2年前……か………」


フィルと王太子殿下曰く、トワイアルの先代の国王両陛下は、全く問題は無かったそうだ。ただ、先代の国王はもともと体が弱かったらしく、比較的若いうちに今の国王に王位を譲り、その3年後に病気で亡くなってしまったそうだ。


「ここまで来ると、その先代の病気も怪しく見えるな……少し調べるか。王太后の死と、その商会の事も調べてくれ」

「承知しました」

「メレディス、情報に感謝する」

「いえ…少しでも役に立てれば良いのですが…」





それから、ジュリエンヌ様の今の状況はと言うと──


気を失っていたジュリエンヌ様が目覚めたのは、今日の早朝だったそうだ。目を覚ますなり騒ぎ出し、ニノンさんが対応する事となったが、「フィリベール様を呼んで来て」「私はフィリベール様の婚約者よ!」「私はトワイアルの王女よ!ここから出しなさい!でなければ、トワイアルが黙っていないわよ!」などなど、吠えに吠えまくり、何を言っても叫ぶのを止めない為、ニノンさんが威圧をたっぷり掛けて、ジュリエンヌ様を黙らせたそうだ。今もまだ、気をうしな──寝ているそうだ。




「証拠はほぼ揃ってますから、後はトワイアル王女とトルトニア第二王子から話を訊き、それから処罰を決めますが……竜王陛下と、その番に手を出したので、決して軽いモノにはなりません。いかなる理由があろうとも」


宰相様がそう告げると、王太子殿下は「トルトニアはどんな処罰となっても受け入れます」と言い、頭を下げた。







******



「お疲れ様でした」

「あぁ…エヴェリーナ様とイロハ様もお疲れ様です」


執務室での話し合いが終わり、今は王太子殿下とイロハと私の3人で、王城のサロンでお茶を飲んでいる。王太子殿下は、今日1日竜王国に滞在し、明日、帰国するとの事だった。


「王太子殿下は…ハロルド様にお会いしないんですか?」

「あぁ…会う予定はない。アレが反省を口にするとは思わないから、会ったところで……気持ちわ──嫌な思いをするだけだろうからな」

「「…………」」


“気持ち悪い”


私もイロハも、そこは否定しなかった。







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