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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋新しい未来へ❋
64/83

トルトニア王太子

いいね、ありがとうございます。

脱字報告、ありがとうございます。

「私、エヴェリーナ=ハウンゼントと申します。あの……助けていただき、ありがとうございます。あの…どうして王太子殿下がここに?」


イロハ達と別れてからも、数名の護衛が密かに付いている事も、このホテルのティールームに何人かの護衛が居たのも知っていたけど、まさか、トルトニアの王太子が居るとは思わなかった。人生五度目にして初めて会った。


「あのア─愚弟とトワイアル王女の話を聞き、私が愚弟を見張ろうと……竜王陛下に願い出たところ、見張りと共にこれから起こる事をしっかり見ておくように─とお許しをいただいたので、今日、他の竜人達と一緒に行動していました。まさか………愚弟が、あそこまで…気持ち悪いとは………キッチリ浄化しましたけど、他に気持ち悪い所はありませんか?何なら全身に浄化魔法を掛けた方が──」

「だっ…大丈夫です!王太子殿下のお陰で、スッキリしましたから。」


確かに気持ち悪かったけど、実の弟に容赦が全く無い。王太子殿下の中では、ハロルド様はもう“弟”ではないのかもしれない。



「王太子殿下、お久し振りです」

「ん?あぁ、お前は……オーウェンか?」

「はい。憶えていただいて嬉しいです」

「憶えているとも。オーウェンの腕前はトルトニアの騎士の中では1番だったからな。お前が竜騎士でなかったら、俺の右腕にしたかったところだったしな」

「トルトニアの王太子殿下にそう言っていただけて、光栄な限りです。ありがとうございます」


オーウェンは数年、トルトニアの騎士団に居て、その腕を買われてハロルド様の護衛をしていた。その時、何度か王太子殿下と手合わせをした事があるそうだ。


「王太子殿下、エヴェリーナ様、()()()は終わりましたから、このまま王城へ戻りましょう。おそらく、()()()もそれ程時間も経たないうちに終わるかと思います」


「分かりました」

「分かった」


オーウェンさんの言葉に、王太子殿下と私は素直に返事をして、王城へ戻る事にした。








「エヴェリーナ様、王太子殿下、お疲れ様でした」


王城で私達を出迎えてくれたのは、ニノンさんだった。そのまま2人とも応接室へと通された。


「あー…ニノンさんの顔を見たらホッとしました」

「ふふっ。そう思っていただけると嬉しいです」


ニノンさんとは、竜王国に来てからずっと一緒に居るからか、ニノンさんの顔を見ると変な緊張もなくなり、ホッとする。“お姉様”の様な存在だろうか?過去、お姫様抱っこもされた、頼りがいのある逞しいお姉様だ。見た目若いけど、それなりの年齢なんだと思う─けど、私から年齢を訊く事は……これからもないだろう。


「改めて…ハウンゼント嬢、この度は、本当に愚弟が申し訳ありませんでした」


一息ついたところで、目の前に座っている王太子殿下に深く頭を下げられた。


「いや、あの、王太子殿下、顔を上げて下さい。謝罪は先程されましたし、受け入れましたから。それに、気持ちわ─じゃなくて、悪いのはハロルド様ですから」

「ありがとうございます」



“メレディス=トルトニア”


現国王に次ぐ武人であり、早い段階で立太子もしている。確か…ハロルド様より5つ程年上だった筈。過去四度の人生では会った事はなく、まだハロルド様と私の仲が良かった頃には、兄弟仲は良いと聞いた事があった。「将来、国王となった兄上を支えたい」と言い、勉学に励んでいたハロルド様。どこでどう路を踏み外してしまったのか──結局のところ、そこにはいつもジュリエンヌ様が居る。全てジュリエンヌ様が悪いとは言わない。そのジュリエンヌ様を無条件で信じたハロルド様も悪いのだけと……ジュリエンヌ様には、他にも何かあるのかもしれない。


「あれ?あの…王太子殿下は、私が()()()()か…ご存知なんですか?」


黒龍の正体を知っているのは、トルトニアとトワイアルの国王両陛下だけで、(わたし)に関してはトルトニアの国王両陛下だけではなかっただろうか?


「それなら、私も今回初めて知らされたんです。愚弟の事もありますし、トワイアル側が……色々とあるかもしれないと言う事もあって、私が補佐する可能性もあるから─と言う事で、まだ王太子の身分ではありますが、特別教えていただいたんです」


なるほど。確かに、この王太子になら言っても問題はないだろう。フィルも、トルトニアの国王両陛下と王太子の事は信頼しているんだろう。そして、トワイアルは──


「そうなんですね。あの…できれば敬語はやめてもらえませんか?」

「いや…ハウンゼント嬢は竜王陛下の番で──」

「番だとしても、今はまだ公にはされてませんし、私が、王太子殿下から敬語を使われると緊張し過ぎてしまうんです……」


番になったからと言って、私がハウンゼント侯爵の令嬢である事に変わりはない。性格だって変わってない。そんな私が王太子殿下から敬語を使われたり頭を下げられたり…心臓がいくつあっても足りなくなってしまう。


「分かっ……た。ただ…竜王陛下が居る時は無理だから、その時だけは許してもらいたい」

「はい。それは勿論です」


ふふっ─と笑えば、王太子殿下は肩を竦めながら笑った。


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