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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋新しい未来へ❋
61/83

決別①

いいね、ありがとうございます。

*ジュリエンヌ視点*



「エヴェリーナ様が明日、お友達と一緒に街に買い物に行くそうよ」

「明日!?それじゃあ、明日、ようやくエヴェリーナに会えるのか!」

「ええ。しかも…私も明日、フィリベール様とデートの約束をしているの。丁度良いわ……あの女に思い知らせてあげるわ。だから、ハロルド様は、しっかりエヴェリーナ様を捕まえて下さいね?()()は、ちゃんとお持ちですか?」

「あぁ、ちゃんと持っている。効果は…」

「効果に関しては心配いりませんわ。メザリンド様の時のモノよりも()のモノを用意しましたから。」


メザリンドに盛った媚薬は、一般的にも夫婦などでも使われるような副作用のない軽いモノだった。痕跡が残ったりするのを避けたかったからだ。生意気なメザリンドは気に食わなかったが、精神崩壊を望む程ではなかった。でも、エヴェリーナは違う。確実にハロルド様のモノにしてもらわなければいけない。私がフィリベール様を手に入れる為に。そして、黒龍に近付く為に。

その為、今回用意した媚薬は、裏ルートで手に入れたモノで、使用量によっては副作用が出る。最終的には依存症となる。ソレ無しでは生きていけない……卑しい体の人間となるのだ。


「それと、これを。」

「これは?」


その媚薬とは別に、もう1本別の薬が入った小瓶をハロルド様に手渡した。


「ハロルド様が持っている媚薬と、コレを併せて服用すると……身籠る確率が上がるんです。確実に……エヴェリーナ様を手に入れるには、ソレが一番手っ取り早いでしょう?」


既成事実を作っただけでは安心できないけど、自分とは違う男との子を身籠れば、流石にフィリベール様もエヴェリーナを捨てざるを得ないだろう。


「それでは……明日の予定ですが───」


と、私とハロルド様は明日の流れについて、念入りに確認した。












*エヴェリーナ視点*



フィルと色んな話をしてから3日後。私は、イロハと2人で買い物をする為に街にやって来た。実際は……2人ではないけど。


待ち合わせ場所に行くと、そこには既にイロハが居て、駆け寄る時に、イロハの後方にさり気なく……アラスター様が居るのが見えた。


「おはよう、イロハ」

「おはよう、リーナ。これまた……フル装備だね?」

「フル装備??」


ー“フル装備”とは何だろう?ー


と小首を傾げれば、「あー…リーナが気付いてないなら大丈夫」と、笑って誤魔化された。


「兎に角……そのネックレスは防御系の魔法が付与されてるから、それは絶対に外したら駄目だからね!」

「うん。分かってる。それは、ニノンさんにも言われたから」



ラベンダー色の魔石のネックレス。ニノンさんが今日の為に用意してくれたものだ。悪意を持って私に触れて来る人がいると、弾いてくれるそうだ。


「それじゃあ、久し振りに買い物を楽しもう!」









午前中は、目的のお店を数店訪れた。お互い服を見立て合ったり、同じハンカチや筆記用具を買ったりもした。


アクセサリー店では、「いつものお礼に」と、イロハが緑色─ペリドットのピアスを買った。色からすると、アラスター様へのお礼だろう。私も、フィルに─と、ピアスを買った。


それからお昼の時間になり、ランチを食べる為に予約していたお店へとやって来た。




「んー、ここのパスタはやっぱり美味しいね」

「うん。久し振りだから、余計に美味しいね」


このお店はニノンさんお勧めのお店で、パスタとフルーツタルトで人気のあるお店だ。いつも満席の店内は、今日はチラホラ空席もある。

そんな店内を見回していると、「いらっしゃいませ」と、2人の客が入って来た。


「「…………」」


1人は金髪のロングヘアで、ピンク色の瞳をして、紺色のワンピースを着た女性で、もう1人は黒色の長い髪を左サイドで一括りにした、濃藍色の瞳の男性。


ジュリエンヌ様とフィルだ。


「………」


ツキン─と胸が痛む。テーブルの上に置いている手に、自然と力が入る。そんな私の手をソッと握って笑ってくれたのはイロハ。


ー大丈夫ー


私もイロハに笑顔を向けた後、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。



2人が席へと案内されて歩いて来る。


「………フィル?」

「………()()()()()()!?」

「…………」


フィルと私は驚いたような顔をしているが、ジュリエンヌ様は静かに…笑っている。


「“フィル”?あら、もしかして……あなたがフィリベール様の婚約者とか言う人かしら?ふふっ。ごめんなさいね。今日は……私に付き合ってくれているの。」


ごめんなさいね─と謝罪を口にしつつ、口はにんまりと笑っている。過去にもよく目にしたジュリエンヌ様のままだ。

そのジュリエンヌ様は、フィルの腕に手を回してベッタリとくっついている。


「………」


私はスッと席を立ち、そのまま店から走り出た。


「リーナ!?」

「エヴェリーナ!」


イロハとフィルが呼ぶ声を無視して、そのまま人気の少ない公園迄走り抜け、その公園のベンチに腰を下ろした。

それから直ぐの事だった。


「エヴェリーナ……」


私の名前を呼んだのは──


トルトニア王国第二王子ハロルド様だった。






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