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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋新しい未来へ❋
59/83

嵐の前の…

いいね、ありがとうございます。


『……四度も噛み殺されましたから、そのうち……いつか、仕返ししてやろうかな?何て……思ったりもしてたりします。ふふっ』




確かに、イヴが俺を受け入れてくれて番となった時、イヴがそんな可愛い事を言っていた。

イヴからの仕返しなんて、寧ろ大歓迎だ─なんて思ったのも確かだ。勿論、本気の仕返しで刺されたりなんかしても……甘んじて受け入れるつもりだった。それが……そのイヴの言う仕返しとやらが………


まさかの“頬にキス”だとは────



「誰が、そんな可愛いお返しの予想ができるんだ!寧ろ、ありがとう!イヴ!──じゃないな!」


1人叫んでから我に返る。


ーやってしまったー


俺の腕の中でグッタリして気を失ってしまったイヴ。

頬にキスするつもりだったらしいが、それが唇に当たってしまった─と言っていたが、それでも、偶発事故だったとしても、初めてのイヴからのキスである事には違い無い訳で────


()()……理性を失ってガッツいてしまった───


必死になって、抵抗になっていない抵抗をしているイヴが可愛くて……“全く慣れてません!”みたいなたどたどしい反応に更に煽られて……更に追い打ちを掛けてしまった。「……し………ぬ……」その言葉にようやく我に返った。唇を離すと、イヴはそのまま俺にグッタリともたれ掛かってきた。


「バカフィル……フィルのバカ…」

「──ゔっ…破壊力……くっそ………」


更に追い打ちをかけそうなるのを、グッと力を入れて耐える。


涙目で俺を睨んでいるつもりのイヴは、可愛い以外の何物でもない。全く怖くないからな?煽っている─と思われても仕方無いからな?


“バカフィル”─まさかのイヴからのバカ呼ばわり…イヴが言うと、“バカ”も可愛く聞こえるのは……俺がおかしいだけなんだろうか?


イヴがする事成す事、全てが可愛くしか見えない。



「イヴが可愛いのが悪い」

「何でそうなるの!?」


ギョッとして目を大きく見開いた後、イヴは少し何かを考えるように口を閉じた後───また俺の腕の中で意識を失ってしまった。


ーやり過ぎたー


兎に角、イヴをベッドに───離したくない。このまま抱いておくのも…アリだよな?いやいやいや…


「あぁ、そうか、一緒に寝れば良いのか」










******



「ん───」


何だろう………背中が温かいような……体が重いような………


「?」


あれ?私……いつの間に寝てしまったんだろうか?

あれ?フィルを出迎えて………


「あぁ!!??」


そこで色々と思い出してバチッと目が覚めた。


「えっ!?」


起き上がろうとして、ようやく気が付いた。

私が今居るのはベッドの上だ。ただ、いつもの布団とは違う気がするどころか、いつもの部屋とは違う気がするのは………気がするだけではないようだ。

そして、私のお腹に回されている腕と、私の頭の下に腕があり、背中に何かがピッタリくっついている。


ソロソロと顔だけを後ろに向けると「──っ!!」やっぱり……フィルが居た。


ーな…何で!?ー


えっと……服は…着ているし、昨日と同じ服で、シワシワにはなっているけど、()()()()着ている状態だ。うん。フィルが、私の寝込みを襲う─なんて事は絶対に無い。きっと、意識を失った私を運んでくれて、フィルも疲れていたからそのまま一緒に寝てしまった─みたいな?


「うん。その通り。イヴがあまりにもグッスリ眠ってるから、つられて……一緒に寝てしまったみたいだ」

「うえっ!?私、全部口に出してた!?」

「ははっ──イヴは本当に可愛いな……おはよう」


ニッコリ微笑まれて、またまたサラッと流れるようにキスをされた。寝起きのイケメンの爽やか笑顔とキスは……ある意味、とても心臓に悪いものだった。







******



「ハロルド様が!?」

「どうやら、竜王国に来ているらしい」

「………」


恥ずかしながら、あれから急いでお風呂に入って着替えてから、今朝は久し振りにフィルと朝食を食べた。それから、本当は昨日のうちにする話を今、フィルから聞かされたところだった。


“フィリベール=スコルッシュ”とジュリエンヌ様が初めて会って仕掛けられたあの日から、二度程接触したそうだが、その2回ともイーリャの実が使用されたそうだ。「大丈夫ですか?」と訊けば、何と、もう既にイーリャの実と偽物をすり替えているようで、ジュリエンヌ様はそうとは知らず、その偽物を使用しているそうだ。そして、その偽物を使用すれば分かるようになっているらしく、ある意味、それも物的証拠となるだろう─との事だった。

そして、その本物の方は、極秘のイーリャの実の研究員が調べを進めているそうだ。


そして、フィルは、そのイーリャの実の効能に掛かっているフリをしていて、ジュリエンヌ様もそれを疑っている様子はなく、次の段階に進み、ハロルド様を極秘のうちに竜王国へと呼び出したそうだ。


「でも……ハロルド様が国王両陛下の許可なく竜王国に来る事なんて…」


ある意味切り捨てられた王子で、泳がされている─とは言っても、問題を起こすと分かっていて、竜王国へ行く事を許可するとは思えない。


「ジュリエンヌ=トワイアルなら…許可なんてなくても、それが簡単にできるんだ」








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