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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋新しい未来へ❋
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動き出す

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“エヴェリーナ=ハウンゼント”

竜王国学園高等部の1年生。


護衛、恋人の“フィリベール=スコルッシュ”

眉目秀麗で、竜力も強い。竜王の側近の可能性有り。


彼の姿絵は、黒色の髪に濃藍色の瞳をした美男子だった。




竜人は、その色が濃ければ濃い程竜力が強い。

この、フィリベール=スコルッシュが絵姿通りなら、かなりの竜力の持ち主だ。しかも、その色が黒に近い。竜王がこれ程若い筈はないだろうし、姿絵が手に入るなんて事はないだろうから、この者が竜王と言う事はないだろう。でも、竜王とは何かしらの縁続きの者なのかもしれない。

そんな実力有りの相手が─


「メザリンドよりはマシだけど…この女のどこが良いのかしら?」


どう見ても、私の方が綺麗な顔をしている。


「ふふっ…良い事を思いついたわ。ねえ、今からハロルド様に会いに行くから準備をしてちょうだい」


ーきっと、ハロルド様も気に入ってくれるわー








******



竜王国、竜王執務室にて



「動き出したか」

「はい」

「国王と王妃は?」

「把握しております。そして、こちらの親書を預かって参りました」


あの女がトルトニアに留学してから、そろそろ1年になろうとした時、国王の許可を得てあの女に女官として付けていた、俺の配下の1人が執務室へとやって来た。

この少し前、あの女がイヴと、その婚約者である俺を調べさせていた事は把握していた為、そろそろ動くだろう─と思っていた。俺達の事はそのまま報告をあげさせた。俺が竜王である事には気付いていないだろうし、竜王かもしれないなんて事も、微塵も思ってはいないだろうけど。ただ、俺の色が濃い上、“竜王の側近”と報告をあげてあったから、必ず俺に接触しようとして来るだろうと予測していた。


「なんとも思い通りに動いてくれるんだな」


お陰で、腐っても王族の2人で面倒くさいと思っていたが、これで堂々と叩き潰す事ができる。トワイアルに関しては、親子諸共排除だ。トルトニアは……親と王太子がマトモで良かったな。


「先ずは…馬鹿王子の婚約者の方にも、この計画を知らせてやってくれ。その上で、()()()()欲しいとお願いしてくれ」

「承知致しました。それでは、御前、失礼致します」


「本当に……記憶が無いとは言え、毎度懲りないな」

「記憶があったとしても、あの女なら同じ事…それ以上の事をして来ると思いますよ」


呆れを通り越して関心する─と言った様な顔をしているのは伯父上のアリソンとニノンだ。


「エヴェリーナ様には伝えますか?」

「本音を言うと、事が済むまで浮島の邸に閉じ込めて、全て片付いてから報告したいが……イヴはそんな事は望まないだろうな……」


きっと、自分が護られたまま、何も知らないまま知らないうちに全てが終わっていた─なんて事になったら、イヴなら…怒りそうな気がする。


ー勿論、怒ったイヴも可愛いしかないがー


「そうですね。それに、エヴェリーナ様も四度も苦しみましたからね。それなりに知る権利はありますからね」

「だな…。と言う事で、イヴには俺から伝えておく」

「分かりました」


イヴは、俺の番になってからも寮生活をしている。ただ、伯父上の了解を得て、イヴの部屋に転移魔法陣を設置して、週末は王城で過ごしてもらっている。そして、明日の学園が終われば、その週末を迎える。


「ああ、そうそう。陛下、ハウンゼント嬢は、授業の遅れをきっちり取り戻して、進級試験も上位10以内で合格したそうだよ」

「うん。流石は俺のイヴ。お祝いを考えよう」

「空の旅以外にして下さいね」

「………分かっている」


()()空の旅以降、黒龍となった俺にも全く恐怖心はなく、嬉しそうに俺の鱗を洗ってくれたり拭いてくれたりはするが、一緒に飛んでくれる事が…………ない。



『気を失う程の高さまで上昇するからですよ!不敬承知で……フィリベールさんは、馬鹿ですか!?』



あの時は、イロハにかなり怒られた。人間は高さに弱いのだと。高所恐怖症なんてものもあると。流石に、黒龍が低飛行なんてすれば、国中が大騒ぎになってしまうから、簡単に空の旅には行けないのだが…。


「あ、そう言えば、学園近くにできたカフェのケーキが人気だそうで、エヴェリーナ様も行きたいと言っていたから、そこにデートでも──」

「よし!そこに行こう!個室を予約して来る!」


ニノンの提案に食い気味に賛成して、俺は急ぎ足で執務室を後にした。





「今はもう夜で、そのお店は閉まってるんだけど…」

「ふっ─陛下もまだまだ子供だからね。“イヴ”なんて陛下だけの愛称で、何とも可愛らしい甥っ子だ」

「独占欲丸出しね。まぁ……本当に…幸せそうで良かった」

「そうだな…。これで、亡き陛下とアリーヌも安心しているんじゃないかな?」


執務室に残っているアリソンとニノンは微笑み合う。


「後は……あの2人の始末だけね」

「だな……」


と、2人は目を細めて微笑んだ。






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