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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋竜王国編❋
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いいね、ありがとうございます。

『───エヴェリーナ嬢が心から竜人のフィリベールを受け入れた時、その竜心がエヴェリーナ嬢の心と共鳴して、人間(ひと)でありながらも、竜人並の身体能力と寿命を得る事ができます。』




「つまり……エヴェリーナ嬢が、()、フィリベールを受け入れたから、竜心が共鳴して消えた─と言う事です………うっ………」


それだけ言うと、大神官様はまた泣き出した。

竜王陛下は、更に私をギュウギュウと抱きしめた。


「ゔっ────ちょっ…くるしっ……また…しぬ………」

「─っ!!すまない!」


抱きしめる力は弱まったけど……どうやら、離してくれる気は……ないようです…………。


「えっと……あの……共鳴した………とは……」

「エヴェリーナが、俺の事を“好きだ”と思ってくれたって事だ。」

「え?」


いや、うん、確かに“竜さんが好きだ”としっかり自覚した。しましたよ。否定はしません。でも、口に出して言ったり……してない筈。


「その思いに竜心が共鳴─反応して、竜心が俺の番であるエヴェリーナの身体に吸収されたって事だ」


ー竜心って……万能過ぎませんか!?ー


兎に角、私の気持ちがバレバレだと言う事だ。


「は………………」

「“は”?」


私の発した言葉を竜王陛下も口にして、先を促すように首を傾げて私を見つめている。その瞳は、濃藍よりも黒に近い色だ───ではなくて!


「恥ずかしい!!!」

「くっ……エヴェリーナが可愛い!」

「ううっ……本当に…良かった………」

「「「「…………」」」」


泣いている大神官様は置いといて……宰相様とニノンさんとイロハとオーウェンさんの何とも言えない……微笑ましい感じの視線が……恥ずかしい……。


「あの……本当に、少し離れ─────っ!!」


ドクンッ─と、心臓が大きな音を立て、身体が一気に熱を帯びた。


「ゔ─────っ」

「エヴェリーナ!?」

「リーナ!?」


座っている状態で竜王陛下に抱きしめられているけど、それすらも辛くて、そのままグッタリと竜王陛下にもたれ掛かった。


「リーナ、大丈夫……じゃないよね。あぁ、辛いだろうから、何も喋らなくて良いから。」

「イロ……ハ………」


イロハが私の手を握って……その手から優しい光が溢れると、少しだけ体が楽になったような気がして──



私の意識はそこで途絶えた。














******



目を開けると──そこは、真っ暗だった。


それでも、不思議と嫌な感じも怖い感じも全く無い。

真っ暗なのに、キラキラ輝いているような──



ーそうか、竜さんの鱗に似ているんだー



真っ暗闇に閉じ込められているのではなく、竜さんに護られている。


まだ少し体が熱くて…苦しいけど、この暗闇は安心する。このまま目を瞑って…体を休めて…元気になったら……また、竜さんに……会える……かなぁ?








******



次に目を開けると──


天井から吊り下げられたカーテンがゆらゆらと揺れていた。淡いラベンダー色だ。


「……私の……色?」

「リーナ!?」

「…イロハ?」


ベッドに寝ている私の手を握っているのは、イロハだった。


「あ、急に動いたら駄目よ。そのまま寝たままでいてね!また後で説明するけど、リーナは1週間高熱で寝込んでたの。取り敢えず、医師を呼んで来るから。それと…固形物は難しいかもしれないけど、何か飲めそう?」

「あ…うん。喉が乾いてるから、何か飲みたい。」

「分かった。動かないで待っててね!」






それから直ぐに、医師と大神官様がやって来た。


「まだ少し熱はありますが、竜力は落ち着いています。2、3日もすれば馴染むと思います。それと、今日から1週間、毎食後にこの薬を飲んで下さい。食事に関しては、料理長に言ってありますが、先ずはスープ状の物で馴らしてから固形の物に戻して行きますが、無理はせずに、食べれる物を食べれるだけ食べれば良いですから」


診察し、色々と注意事項の説明を受けた後、医師は部屋を出ていき、大神官様だけが部屋に残り、大神官様から、今の私の状況の説明を受けた。



私が倒れた理由は、竜王陛下の竜心と共鳴し、私の体に竜心が吸収されたからだった。

番が異種族の場合、竜心を吸収する事によって、その者の体が竜人の様な体に創り変えられる。


お互いが竜人同士であれば特に問題はないそうだけど、私は人間(ひと)である上、竜心の持ち主が竜力最強の黒龍である為に、私の体がキャパオーバー状態になり、高熱を出して寝込んでしまった─と言う事だった。

そして、高熱を出して寝込んでいる間、イロハがずっと私に付き添ってくれて、竜力が暴走しないようにしてくれていたそうだ。


ー元気になったら、イロハの好きなお菓子をいっぱい作ろうー



学園はと言うと、学園長も過去の記憶があり、今回の事も全て知っているそうで、私は“体調不良の為暫く休学する”と言う事にしてくれたらしい。


「クラスメイトの子達が心配していたよ」


と言って、お見舞いのお花をたくさんもらった。嬉しいやら申し訳無いやらで……皆にも、元気になったらお礼にお菓子を作ろうと思っている。




「それで……エヴェリーナ嬢も一番気になっている事だと思いますけど……トワイアル王女について……彼女は、今世でも黒龍の巫女の力がありました」








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