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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋ループ編❋
4/83

終わりの始まり

()()()()()()、私に何か…言いたい事は無い?」

「言いたい事……ですか?」


ー言いたい事なんて……ー


「いえ…何も………」

「そうか……なら…もういい………」


カタン─と音を立てて椅子から立ち上がったハロルド様は、私に背を向けて、一度も私を振り返ることなく図書室から出て行った。


“エヴェリーナ”


いつからだったか……ハロルド様が“リーナ”ではなく、“エヴェリーナ”と呼ぶようになったのは。

最後に優しい眼差しを向けてくれたのは…いつだっただろか?


今もそうだ。図書室で勉強をしていた私に声を掛けて来たのはハロルド様なのに。その声はとても冷たくて…目には何の色も映してはいなかった。


声を掛けられたのは……いつぶりだった?


王城に呼ばれる事が無くなって、お茶をする事もなくなった。学園でも話す事はなかった。ハロルド様の隣には、いつもいつも………ジュリエンヌ様が居た。何故、ジュリエンヌ様が居るのか。




ーそこは…私の場所だった筈なのにー








「エヴェリーナ!」

「エヴェリーナ……大丈夫か?」

「フルール…ジョナス様………」


どうやら、先程のやり取りを、フルールとジョナス様に見られていたようだ。


「大丈夫──と言うか……ハロルド様は一体、何が言いたかったのかしら?」


私には、サッパリ分からない。ハロルド様が何を考え思っているのか。言いたい事や訊きたい事は…たくさんある。話したい事だって、たくさんある。だから、お伺いの手紙を書いた。


“会って話がしたい”

“忙しいから”


そうやって、話す時間を作ってくれなかったのはハロルド様だ。忙しくて、婚約者(わたし)との時間は作れなくても、ジュリエンヌ様との時間は作れるようだ。


「あぁ…そうか………」

「エヴェリーナ?」


ージュリエンヌ様と一緒に居たいから、私との時間がとれないのかー


ストン─と腑に落ちた。


ハロルド様はトルトニアの第二王子。ジュリエンヌ様はトワイアルの第一王女だ。結婚するのに、何の問題もない2人だ。きっと、竜王様も反対はしないだろう。


「婚約に関して…考え直さなければいけないのかもしれないわ……。」

「エヴェリーナ……」


ポツリと呟いた言葉に、フルールには泣きそうな顔をされ、ジョナス様は怒っているような感じだった。 

辛くない─とは言えないけど、私の事を思ってくれる人が側に居てくれると言うのは、嬉しい事だ。


もともと、傷物となった時、結婚どころか恋愛も諦めた。そんな私でも、恋をする事ができたのだ。学園生活も残り2ヶ月。卒業から1年後に結婚予定だから、早目にお父様に相談しなければ──。


そう思っていたところに、久し振りにハロルド様から王城に来て欲しいと言う手紙が届いた。

私の両親と兄は今、視察の為に領地に戻っていて、後1週間程帰って来ない。その為、両親に婚約解消についての話もできないまま、私は1人で王城に行く事になった。念の為、フルールとジョナス様には手紙を書いて報告した。ハロルド様から手紙があり、明日、王城に行くと。





それが、()()()の終わりの始まりになるとは──思わなかった。










******



「婚約()()…ですか?」

「そうだ。」

「…………」

「“解消”ではなく、“破棄”とした理由は何でしょうか?それと、念の為確認させていただきますが、この事は、国王両陛下は承諾済みなのでしょうか?」


そもそも、この婚約は国王両陛下からの願いで調ったものだ。ハロルド様だけの意思で解消─破棄する事はできないだろう。寧ろ……この婚約は、ハウンゼント家(こちら側)に主導権があるんじゃないんだろうか?


「両陛下には、これからの話にはなるが、お前─エヴェリーナの()()を伝えれば、すぐ様納得していただけるだろう。」

「“行い”──ですか……。」

「今この場で、それらの行いを認め、反省して謝罪をすれば……修道院送りで済むだろう。」


何が…修道院送りで済むのか。済まなければ、一体私をどうするつもりなのか…。


「この()()についてですが、これらを私がやったと……調べて確認したのでしょうか?」

「……数人の証言は得たし、ジュリー…エンヌ様に関しては、本人から直接()()()聞いていたからね。」

「…………」


“ジュリー”


“いつも聞いていた”


ーなるほどー


第一王女殿下の事を“ジュリー”と呼ぶ程の仲となり、婚約者(わたし)との時間は作れないけど、その愛しいジュリーの為にはいくらでも時間が作れて、いつでも話を聞いてあげていた─と言う事だ。


それからの、『エヴェリーナ、私に何か…言いたい事は無い?』と言う発言─質問だったと言う事だろう。

してもいない筈の事に数人の証言者が居る─と言うのは不思議だけど、今そこを追求したところで、ハロルド様からは何も教えてはくれないだろう。それに─


ここまで一言も喋らず、ハロルド様の横に座っているジュリエンヌ様が……不気味だ。こんな嘘をついてまでハロルド様との仲を深める意味は…あるのだろうか?


ージュリエンヌ様の目的は?ー


兎に角、ここは一旦引き下がるべきだろう。そうして、両陛下とお父様に相談するべきだ。


「申し訳ありませんが、私はこれで下がらせていただきます。」


王族2人に頭を下げて、私は部屋を後にした。








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