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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋竜王国編❋
33/83

竜王国の王城へ

いいね、ありがとうございます。

「これが…竜王国の王城………。」

「トルトニアの王城とは違って、要塞のようでしょう?」


クスクスと笑うニノンさんの言う通り、竜王国の王城はシンプルな外装で、やっぱり頑丈そうな造りになっていて重厚感がある。華美な装飾が一切無く、さながら要塞宮殿と言った感じだろうか?


「王城には、更に力の強い者達が集りますからね。ふふふっ─」


ーやっぱり、薄くて弱い壁は…壊れてしまうのねー





黒龍の巫女の選定式の前日。

私は、学校が終わると、イロハとニノンさんと一緒に王城へとやって来た。フィリベールさんは、単身で騎乗し、一足先に王城へと向かった。


何故、私が王城へとやって来たかと言うと、私が選定式に参加する為、前日から王城に泊まり、選定式についての決まり事や、当日の私の動きを説明してもらう事になったからだ。


馬車から降り、3人で入城してそのまま廊下を進んで行くと、前からフィリベールさんがやって来た。


「エヴェリーナ、ようこそ王城へ。」

「ふふっ─フィリベールさん、お出迎えありがとうございます。」

「──くっ……こちらこそ、来てくれてありがとう。」


“ありがとう”と言う割には、眉間に皺が寄った恐ろしい顔になってるけどね?絶対、“ありがとう”なんて…思ってないよね?──何て事は訊かない。


「あ───フィリベール、顔……くくっ……」

「え?」


フィリベールさんの恐ろしい顔を見て笑っているのは、トルトニアに居る筈のオーウェンだった。


「オーウェン…さん???え??」

「覚えていてくれましたか?嬉しいです。俺、実は竜騎士なんです。任務でトルトニアに行っていたんですけど、その任務が終了したので、つい先日帰国したんです。」

「そうだったんですね。」


それは知らなかった。全く気付かなかった。確かに、オーウェンは大きいな─と思っていたけど。オーウェンが竜人だと言われれば納得だ。


「留学する際は、護衛に付いていただいて、ありがとうございました。オーウェンさんのお陰で、道中は何の不安もなく過ごす事ができました。」

「いえいえ、それが仕事ですからね。でも、態々ありがとうございます。ハウンゼント嬢は優しいですよね。俺の()()()()()からは、そんな労いや感謝なんて……聞いた記憶ありませんから。」

「そうなんですか?オーウェンさんの上司は……厳しい方なんですね……」

「────」

「ぷっ……オーウェン……それ位にしておきなさい…ぷっ………」

「ニノン、お前も笑ってるからな?」


何故か、ニノンさんとオーウェンさんは愉しげ笑っていて、フィリベールさんは更に険しい顔になっていた。








「えっと……豪華過ぎませんか?」

「一般的な客室はもう少しシンプルなんですけど、そこは、今回選定式に来ている人達が使用しているのと、ハウンゼントさんの参加は秘密なので、あまり人目のない部屋に─となると、この部屋しかなかったんです。」


なるほど。それなら仕方無い。確かに、本来なら私は選定式に参加できる資格なんてないし、資格がないのに参加してるとバレたりしたら……


「………」


と言うか、何故、私が参加する事になったんだろう?私も魔力持ちだけど、水属性であって光属性ではないし……ましてや竜人でもなくただの人間(ひと)だし…。


「ニノンさん、今更なんですけど、私が選定式にこっそりとは言え……参加しても大丈夫なんですか?その…竜王陛下に罰せらりたりは……」

「それは無いです。それだけは絶対に有り得ません。竜王陛下も知っていますから。」

「そうなんですか!?なら…大丈夫ですね。もしかして、その竜王陛下も選定式に……」

「竜王陛下は参加しません。これは、通例ですから。あくまでも、参加するのは竜王陛下の側近と神官のみです。あ、後は怪我をした竜騎士が数名ですね。」


怪我をした竜騎士─その人達の怪我を癒せるかどうかで、黒龍の巫女になり得るかどうかの判断をすると言う事なんだろう。


「夕食までは、ゆっくりして下さい。早めに夕食を取った後に、選定式での注意事項や説明をさせてもらいますね。では、私は一度下がりますけど、何かあったら、そこのベルを鳴らして下さい。」


それだけ言うと、ニノンさんは部屋から出て行き、入れ替わるように入って来た侍女がお茶を用意してくれた。




夕食は、イロハと一緒に私の部屋で食べ、食べた後はイロハは明日の準備があるから─と、すぐに部屋から出て行った。きっと、初めての王城で1人になった私の事を気遣ってくれて、態々一緒に夕食を取ってくれたんだろうと思うと、今世でも友人には恵まれたなぁ─と感謝だ。







******



「では、明日の選定式について、説明させてもらいますね。」


夕食後のデザートを持ったニノンさんがやって来て、私は、そのデザートを食べながら明日についての説明を受ける事になった。



今回の選定を受けるのは5人。その5人は全員違う国の聖女らしい。選定内容は不正されないように、秘匿扱いとされているそうだ。


「今回の選定式には、珍しく、王女様もいらっしゃるんですよ。」


やっぱり、今回の選定式に、トワイアル王国第一王女─ジュリエンヌ様が居るようだ。










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