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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋竜王国編❋
30/83

ピアス

いいね、ありがとうございます。

領地に居る兄には会えなかったけど、半年ぶりの父と母とのティータイムを楽しみ、出掛けていたフィリベールさんが帰って来てから、少し早めの夕食を4人で食べた後、私達はその日のうちに竜王国へと戻った。その翌日は、少し疲れは残っていたがいつものようにイロハとフィリベールさんとの学園生活を楽しんだ。


誕生会から1週間程してから、ニノンさんからの報告があった。

五度目の今回、ハロルド様の婚約者は、メリザンド様に決まったそうだ。


ーメリザンド様万歳!!ー


一度目の私のように、ハロルド様を庇って怪我をしてしまったからだろう。あの時は、国王両陛下ともに傷物となった私でも温かく受け入れてくれたから、きっとメリザンド様も温かく受け入れられるだろう。それに、四度目でのメリザンド様は、理由はどうであれ、唯一ハロルド様の嫁の立場を強く望んでいたから、ひょっとしたら、ジュリエンヌ様にも勝てるかもしれない。後は……四度目の時のように、浮気さえしなければ………。


兎に角、五度目にしてようやく、私はハロルド様の婚約者にはならず、このループから抜け出せる可能性が出て来たのだ。これも、フィリベールさんのお陰だ。

過去の4回は、誰も助けてくれる人なんていなかった。勿論、フルールやジョナス様やエレオノール様と言う友達には恵まれて、それはそれで心強いところもあったけど…。


『必ず守るから』


会ってからまだ半年しか経っていないのに、不思議とフィリベールさんの言葉は素直に受け入れられて、信じられてとても安心する。

手を握られたり……抱き寄せられたりするのは勿論恥ずかしいけど…それ以上に安心感の方が大きくて、フィリベールさんの手や腕を払う事ができない。


眉間に皺を寄せた恐ろしい顔は…少し怖いけど、その時でも、黒にも濃藍にも見える瞳だけは、いつも優しい色を纏っていて綺麗だな─と思う。そのせいか、記憶にある、あの竜さんへの恐怖心も無くなった。寧ろ、今世では大丈夫だろうか?と、心配すらしている。


ーあの竜さんは、一体どこに居るんだろう?ー


()()()よりも早く、あの竜さんに会えれば、あの最期も変えられるかもしれないのに…。









******



「あれ?エヴェリーナ、そのピアス…どうしたの?」

「ん?あ、このピアスは───」

「スコルッシュ様の色よね!?」

「ゔ──────っ」

「「エヴェリーナ、可愛い!!」」


はい。今日も人間(ひと)族の私は、竜人の人達に可愛がられています。

私が着けているピアスは、ハロルド様の誕生会の時にフィリベールさんが用意してくれた、濃藍色の魔石のピアス。誕生会が終わった後、フィリベールさんに返そうと思っていたのだけど──


『それは、エヴェリーナに着けていてもらいたい。』


と言われて、少し……ほんの少しだけ悩んだりもしたけど、断る事もせずに受け取った。そして、そのピアスをほぼ毎日着けている。


ー私って……単純だよね……ー


ピアスとは、耳に着けてしまうと自分では鏡が無い限り、自分が目にする事はないから、あまり気にならないけど、今のように誰かに指摘されたりすると──


ーめちゃくちゃ恥ずかしい!ー


そうして、顔が真っ赤になると、竜人の友達は、私を「可愛い!」と言って頭を撫でてきたりギュッと抱きついてきたりする。完全なる“初孫扱い”だ。


「あれ?イロハとスコルッシュ様はどうしたの?」

「あ、2人はさっき先生に呼ばれて、学園長室に行ってるの。」

「そうなの!?じゃあ!2人が帰って来る迄、私達がエヴェリーナを守ってあげる!」

「待ってる間、お菓子でも食べる?」

「ふふっ…ありがとう!」


本当に、五度目の今世は楽しい事や嬉しい事だらけだ。フィリベールさんの気持ちは、正直、ハッキリとは分からないけど……嫌われてはない……筈。でなければ、国が違うとは言え、私と婚約してるように思わせる事なんて…しないよね?









*学園長室*



「呼び出して申し訳無い。王城から火急の知らせが来てね。」

「火急の知らせ?」


学園長─アリソン=ガーナードは、手にしていた手紙をフィリベールに手渡した。


「───あの女が…来る?」

「え?聞いていたよりも…早くない!?」


手紙を読んで殺気を溢れさせたのはフィリベールで、フィリベールの呟きに驚いたのは、大聖女─イロハ。


()()()色んな事が違って来ているから、コレも違っていてもおかしくないだろうね。取り敢えず、今、ニノンが調べているから、明日中には報告できると思う。それで…()()はどうする?」


「できれば……閉じ込めて隠しておきたいが……きっと、彼女はそれを望まない。できる限り接触は避けたいが……」

「はいはい、私が居るから大丈夫だと思いますよ?私には、アルクシェリア女神の加護があるから。何かあっても…すぐに対処するわ。」

「そうだな…イロハ、頼む。」


フィリベールとイロハは、不敵な笑みを浮かべた。








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