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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋竜王国編❋
26/83

守るから

いいね、ありがとうございます。

「どうしても…行った方が良いんですか?」

「──────っっっ……だ…な……。」


私が我儘を言ったせいか、フィリベールさんはより一層眉間に皺を寄せて、イケメンもビックリするぐらいの恐ろしい顔になっている。


「すみません。もう我儘なんて言いません。誕生会に行きます。嫌ですけど行きますから、フィリベールさん……本当に宜しくお願いします!」


「あ、いや、別に怒っている訳では───。エヴェリーナが嫌がっているのは分かるが、喩え、この誕生会に出席しなかったとしても、また、同じ事の繰り返しになると思う。そうしたら、そのうち、向こうが()()()()()を使ってくる可能性がある。それを使われれば……それこそ、エヴェリーナ達は断る事ができなくなるだろう?」

「………」


確かにそうだ。過去も、王族の権力を使われた訳ではなかったけど、王族側から望まれた事だと断る事ができず、婚約者になったのだ。


「なら、この誕生会に出席して、婚約者にならないと言う意思表示をした方が良いと思う。」

「それでも………意思表示をしても……望まれてしまったら?」


ハッキリとは口にしなかったけど、四度目では拒絶を表したのに、結局は婚約者になってしまった。


「それは、大丈夫だ。喩え第二王子がエヴェリーナに気があろうとも……望ませないようにするから。」

「どうやって?」


ーその自信は…どこからくるのか?ー


「それは秘密だ。兎に角、エヴェリーナは、俺に合わせてくれるか……黙って俺の背中にでも隠れていれば良いから。」


目を細めて笑うフィリベールさん。

私の手を握っていた手が私から離れていき、その手が今度は私の肩に掛っていた髪をすくい上げた。


「必ず守るから。」

「───っ!?」


そのすくい上げられた髪に……キスを……されて……


ーはう─────っー


変な声をあげそうになるのを我慢して、呑み込んだ。

恥ずかし過ぎて、フィリベールさんの漆黒の瞳から逃れるように視線を外すと、ニノンさんとバッチリ視線が合った。


「なっ─────」


ニノンさんも居た事を……すっかり忘れていた。


「ハウンゼントさん、私の事は気にしなくて大丈夫ですから。その辺に転がっている石とでも、空気とでも思ってもらえれば…ふふっ……」


ー“石”だとも“空気”だとも思えませんー


「後3ヶ月か……準備は全て俺がするから、エヴェリーナは今迄通り勉強を頑張ってくれ。」

「え?でも………」

「そうですよ。ハウンゼントさんは勉強をする為に竜王国(ここ)に来ているんですから、勉強に集中して下さい。準備等に関する事も、私の方からハウンゼント侯爵にお伝えしておきますから。」

「何だか…申し訳無いんですけど……宜しくお願いします。」


これ以上断るのも悪いかな?と言う思いと、これで、今世は違う路に進めるのかもしれないと言う思いもあり、五度目の誕生会の準備は、フィリベールさんとニノンさんにお任せする事にした。











*エヴェリーナを寮迄送って行った後*



ー学園長室にてー

(ニノン視点)



「まさか、留学中の彼女にまで招待状が来るとは…しかも、王家を通して。」

「ハウンゼントさんは優秀ですし、貴族のマナーも完璧で、言葉の裏も読み切ってますからね。トルトニアの王家としては、是が非でも欲しい人材なんでしょうね。第二王子は、やはりハウンゼントさんを気にしているらしいですし……」

「────ちっ…」

「「舌打ち!」」


感情を顕にするのはフィリベール=スコルッシュ。

ようやく、彼本来の姿に近い状態に戻ってきた。そんな彼を優しい目で見ているは現学園長であるアリソン=ガーナード。アリソンも、ようやく安心した─と言うところだろう。


「ところで……()()()はどうなっている?」

「あぁ……()()なら、今回も既に光属性が発現したそうだ。予定通りなら……来年だな。」

「そうか……アレには、絶対に近付けるな。」

「分かってますよ。近付いたところで、今回は……何もさせないけどね。」


あの女を切り捨てるだけなら、今すぐにでもできる。()()()()も、こればかりは反対する事も止める事もされないだろう。ただ、()()()の許可が下りないだけ。




『切り捨てる()()で、俺の気が済むとでも…思っているのか?』




真っ白な顔をして、我が主の腕の中に収まっている()()しか目にした事はなかった。その白い顔とは反対に、体は赤色で染め上がっていた。

また会える─と分かっていながら、どんな思いで口を開いていたのか……想像すらできない。どれ程の苦痛だっただろう……。


「……それにしても……“濃藍”ですか………石を探しますか?」

「あぁ。勿論、できる限り()()濃藍で頼む。」

「自分から言っておいて……その色にまで嫉妬しないで下さいね。」

「────うるさいなぁ……。」


ムッと顔をしかめるフィリベールは、見た目は年相応の少年で可愛らしい。


「それじゃあ……ニノン、今日は久し振りに一緒に夕食を食べよう。」

「ええ、勿論よ!」


私は、アリソン(愛しい人)の手を取る。


「はいはい。いってらっしゃい。また……明日から頼む。」


フィリベールはそれだけ言うと、ヒラヒラと手を振りながら部屋から出て行った。






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