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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋竜王国編❋
22/83

大聖女と護衛

いいね、ありがとうございます。

“異世界の聖女”と“巫女”は、どちらも同じ光属性の魔力持ちで、種族に関係なく癒やしが与えられる。


同じなのはそれだけ。


後は、()()の光属性持ちも聖女と呼ばれるが、その場合の聖女は、人間(ひと)族と獣人族には癒やしと治癒を施す事ができる。


召喚されてやって来た聖女は()()な聖女で、種族関係なく、癒やしだけではなく治癒もでき、古い文献によれは、穢れを祓う事もできるそうだ。その上、アルクシェリア女神の加護もあるらしい。そんな異世界から召喚されてやって来た聖女の事を、文献では“()聖女様”と表記されていた。


そんな、嘘か真か分からないような大聖女様が…目の前に居る。見た目私より幼い女の子──かと思っていたら、まさかの20歳で、私より年上だし立派な成人女性だった。


では、何故学園に?─と訊けば、この世界の事を学ぶ為─との事だった。見た目が幼く、16歳と言っても通じるだろうと。そして、同じ人間(ひと)族の私が留学生としてやって来るから、タイミングが良いだろうと。但し、大聖女である事は秘匿扱いだ。


ー秘匿と言う事は…秘匿だから、過去の私が知らなかっただけ?ー


「あの…良ければ、私の事は“イロハ”と呼んでくれませんか?私の元の世界は貴族階級なんてなくて、様呼びは慣れないし…様呼びなんてされると、距離を置かれているようで寂しくて…できれば、敬語も無しで…」


シュン─と項垂れている聖女様を見ると、それが本心なのだと分かる。


「分かりまし─分かったわ。では、私の事も“エヴェリーナ”か“リーナ”と呼んでくれるかしら?」

「勿論!えっと…舌を噛みそうだから“リーナ”って呼ばせてもらうわね!」


“舌を噛みそうだから”─まさかの理由だ。

きっと、聖女─イロハは裏表が無いのかもしれない。


であれば──


ある意味、私が貴族階級の裏表からイロハを守る為に、私を付けたと言う意味も含まれているのだろう。


「リーナ、これから、よろしくね!」

「はい。こちらこそ、よろしくお願いしますね。」


「ちなみに、イロハ様も寮生活になりますが、週末は王城で聖女としてのお務めがありますので、宜しくお願い致します。」

「はい。」

「そして、そのイロハ様の後ろに控えているのが、イロハ様の専属護衛のアラスター=マクレガンです。」


ニノンさんの紹介で、一歩前に進み出て来たのは水色の髪と緑色の瞳をした騎士だった。


「表向きは、人間(ひと)族のイロハとハウンゼント嬢の護衛扱いになります。主に、外出する場合は、私が必ず付き添う事になります。宜しくお願いします。」

「こちらこそ、宜しくお願いします。」


「では……えっと………ハウンゼントさんの護衛を紹介しますね……。」

「?はい………。」


ー何だろう…ニノンさんの歯切れが悪い?ー


「あー…んんっ。フィリベール、入って来─なさい。」

「…………失礼します。」


ニノンさんに呼ばれて入って来たのは──


イロハと同じ、黒色の髪と瞳をした男の子だった。

私に付く護衛は、私と同じ年だと言っていたから、同じ年なんだろうけど、やっぱり身長が高い。落ち着いた雰囲気もあるからか、年上のようにも見える。


「これから、護衛に付きます─フィリベール=スコルッシュと言います。宜しくお願いします。」

「私は、エヴェリーナ=ハウンゼントと言います。こちらこそ、宜しくお願いします。」


軽く頭を下げて挨拶をすると、何故かスコルッシュ様はくしゃりと顔を歪ませた。


ーあれ!?私…何か悪い事をしてしまった!?ー


普通に挨拶をした…だけのつもりだったけど、竜人からすれば、何かが失礼な事だった?と内心焦っていると


「あー…彼の事は気にしなくても良いかと…。少し…緊張して顔に…出てしまっただけだろうから。」


と、学園長が苦笑しながらフォローをすれば、スコルッシュ様はハッとしてから歪ませた顔を、自身の手でパンパンと軽く叩いた。


「申し訳無い。少し…緊張してしまって……」


と、今度はフワリと優しい笑顔になった。

その笑顔は、ドキッとする程のイケメンだ。絶対モテる。こんなイケメンが人間族(わたし)の側に居るとか──


ー妬まれたりしませんようにー


「あの…マクレガン様が、イロハの事を名前で呼んでいますが…竜王国では、異性を名前呼びしても、特に問題はないんでしょうか?」

「そうですね。竜王国では、異性でもお互いが許せば敬称無しの名前呼びをしても、特に問題視されません。」

「そうなんですね。では……スコルッシュ様、私の事は“エヴェリーナ”と呼んで下さい。これから3年間お世話になるので……仲良くしてもらえると…嬉しいのですけど……。」


「─────っ!も……もち……分かりました。では、俺の事も………………“フィリベール”と呼んで下さい……」


ーものすごく間があったけど……大丈夫?ー


「えっと…無理してませ──」

「大丈夫です。無理はしてません。」

「……では…私も名前呼びさせてもらいますね。」




こうして、私の色々と驚きたっぷりの竜王国での生活が始まろうとしていた。









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