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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋竜王国編❋
16/83

五度目の始まり

いいね、ありがとうございます。


『ようやく、私の力が──。()()より先に──。』


『どうか………正しい路に戻して──。』


『でなければ彼が─を失ってしまう。──だから。()をすくって欲しい……どうか…』


『─が本当の─だから……。』

















「お嬢様、おはようございます。」

「おはよう、ジョリ………って……ジョリー、何だか……若い?」

「まだ寝ぼけてるんですか?私は15歳なので若いですよ。お嬢様とは2つしか変わりませんよ。」


ージョリーが15歳!?ー


と言う事は、私は13歳。

ハロルド様の婚約者になるまで3年。

ジュリエンヌ様が留学生としてやって来る迄5年。


ーようやく…今迄とは違う路に進める可能性が出て来た!?ー


「ジョリー、今日の予定は何だった?」

「今日は、週の中日なので、特に予定の無い日です。何かされたい事でもできましたか?」

「ちょっと調べたい事があるから、書斎に行こうかなと思って。」

「分かりました。それでは、朝食後に行けるように準備をしておきます。」


身支度を整えてから朝食をとり、食べ終えた後、自室には戻らずそのまま書斎へと向かった。








『もう、私もいい加減……キレました!次こそは……自分自身も……そして、竜さん。貴方も……助けてみせます!』



プチッ─と、私の中で何かがキレた。そのキレた勢いで……あの竜に向かって叫んでいた。


自分でハードルを上げてどうする!?

“助けてみせます!”─って何!?

何が“正しい路”なのかすら分かっていないのに!


「はぁ──────」


盛大にため息を吐いた後、机の上に突っ伏した。




全身真っ黒で、瞳も真っ黒な竜。


基本、竜や竜人は竜王国にしか居ない。人間や獣人と仲が悪い─と言う訳ではなく、竜王国の王が、この大陸の創世神アルクシェリア女神の遣い龍であり、この大陸を統べる絶対不可侵の王であり、竜王を筆頭に、竜人は人間や獣人とでは何もかもが違う為、住む場所を区分けしているのだ。


お互い交流はあるし、竜王国に住んでいる人間や獣人も居れば、異種族結婚している人も居る。

竜人と獣人に関して言えば、“(つがい)”と言う本能?で結ばれる絶対的な存在?が居るらいけど、それは人間にはないし、喩えあったとしても人間には分からない。稀に、獣人の番が人間だったりする事があり、その場合は獣人が人間に無理矢理な行動に出ないように、獣人族側と人間側からの監視役が付いたりするらしい。酷い場合は、番に対する欲を押さえるポーションを使用するとか……。


ーちょっと…怖くない?ー


獣人や竜人にとって、番とは自分よりも大切で愛しい存在らしく、番と出会ってしまえば、もう他の異性には目も向かないとか。


ーどこぞの誰かとは…違うよねー


まぁ、そんな執着的な愛情を喜ぶのかどうかは……その人次第だろうけど。


兎に角、基本、竜は竜王国にしか居ない。

それに、真っ黒な竜─黒龍は、この大陸─世界には1人しかいない─筈。


アルクシェリア女神の遣い龍であり、竜王国の国王である黒龍だけだ。


「……………」


私…そんな偉大な竜王陛下の逆鱗に触れるような事を…したんだろうか?


私が、黒龍の巫女─ジュリエンヌ様に何かしたと思われてた…とか?違う───


私が黒龍の贄になる事が……間違っている路だとしたら?


そもそも、絶対不可侵の黒龍が、()()の言葉に動かされるって…おかしくない?黒龍に見えるけど、実は黒龍じゃない?


()()が、黒龍の…番だとしたら?


「…………」


その番が……黒龍の巫女(ジュリエンヌ様)だったとしたら?いや…もし、ジュリエンヌ様が黒龍の番だったとしたら……竜王陛下の番ともなれば、トルトニアに留学する事もできなかっただろう。竜人にとって番とは大切な存在と同時に、弱点にもなってしまうから。


ー私は、竜族の事を知らなさ過ぎるー


竜王国にも、留学制度はある。その国によって学園にも色んな特色がある。トルトニアは、特に騎士科が特化している為、騎士を目指す留学生が多かったりする。ジュリエンヌ様のトワイアル王国は、魔法に特化している。そして、竜王国は薬学に特化している。その理由は、竜族は魔法が効きにくい体質の為、怪我や病気になった場合はポーションで治癒する事が多いからだ。まぁ、その怪我や病気になったとしても、竜人自身の治癒力で直ぐに治るそうだけど。


「薬学か………」


私は今13歳。学園に入る迄3年。

私が留学すれば、ハロルド様の婚約者にならず、ジュリエンヌ様とも会う事もなく、今迄とは違う路に進めるかもしれない。


この3年で…何とか最低限の薬学の知識を身に付けないと──。


ー竜王国に留学して、私も、あの竜も助ける!ー




そうして、五度目は、今迄とは違う始まりを迎えた。










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