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贄の令嬢はループする  作者: みん
❋ループ編❋
13/83

復学

いいね、ありがとうございます。

「休学していると聞いて、気になっていたんだ。」

「それは……失礼しました。高熱を出した後、体調を崩す事が多くなりまして……。」

「謝る事ではないから。それに、確かに、以前より更に痩せたようだけど、大丈夫?」

「そう…ですね…。今日はまだマシな方です。」



ーどうしてこうなった?ー


いや、理由は分かっている。

私は今、領地の邸の庭のベンチに座り、ハロルド様と話をしている。その、私達から少し離れた位置に、ハロルド様の護衛としてオーウェンが居る。


ハロルド様が、我が領地に療養しにやって来たらしい日から1週間。そのハロルド様が、領主代行である兄に挨拶をしにやって来ていた。そんな事を知らなかった私は、今日は天気も気分も良かった為、庭のベンチに座って本を読んでいたのだ。そこへ、応接室に居たハロルド様が窓越しに私を見掛けて、私にも挨拶をしに庭へとやって来たそうだ。


「「…………」」


会話が続かない。それはそうだ。三度目の今世でも学園で言葉を交わした事は一度もないし、今回は誕生会にすら参加していないのだから。それに……私の心が、ハロルド様を拒否しているから。


ー気不味いー


もう、用事がないなら帰って欲しい……私が長生きする為にも………切実に。


「ハロルド殿下、そろそろお時間です。」

「あぁ…分かった。ハウンゼント嬢…また、お互い元気になったら…学園で…。」

「はい。殿下も…お大事になさって下さい。」

「ありがとう。」


穏やかに微笑むハロルド様。私が()()()()()ハロルド様の笑顔だ。それでも……今の私の心は動かなかった。









******



高等部2年に進級すると同時に、私は復学した。

勿論、領地で療養していた間も、家庭教師を付けてもらっていた為、復学しても問題なく授業について行く事ができた。ただ気になる事と言えば───


「ハウンゼント嬢が、元気になって良かった。」

「ありがとうございます。」


何故か、ハロルド様と同じクラスだった。三度目の人生で初めての事だった。そのせいか、時間があれば何かと声を掛けられるようになった。


「殿下は、エヴェリーナ様が気になるようね?」

「エレオノール様…止めて下さい。」

「ふふっ。エヴェリーナ様は、本当に殿下にも王族にも興味がないのね?」

「ありません。平穏が一番なので…」


そして、こちらも初めて同じクラスになったエレオノール様とは、仲良くなった。ちなみに、幼馴染みで親友のフルールと婚約者のジョナス様とはクラスが違ってしまい、一緒に居る事は少なくなってしまったが、今世でも仲良くさせてもらっている。


このエレオノール様。噂通りのサバサバした性格で、姉御肌。今現在、エレオノール様がハロルド様の婚約者の有力候補ではあるが、本人は婚約者になる気は全く無いようだ。


「殿下が私を選ぶ事は無いと思うけど、エヴェリーナ様は…有り得るかもしれないわよ?殿下が自分から態々声を掛けるのって…エヴェリーナ様だけだから。」

「………」


それは、私も気付いていた事だ。

相手は王子様だ。声を掛けられて無視をするなんて事はできないから、話をするけど……。婚約者に選ばれる事だけは………



避けたかったのに───








「“リーナ”と呼んでも良い?」

「お好きなように…お呼び下さい。」

「ありがとう。」

「………」


ー何度目のやり取りだろう───うん。三度目ね。知ってますー


高等部3年生に進級する直前に、またまた私はハロルド様の婚約者となってしまった。

多分、これはまた……“正しい路”ではないのだと思う。


そして、既に知っていた事だけど、今回でもやはり、留学生としてジュリエンヌ様がやって来る。

後数ヶ月逃げられたら、私と婚約する前に2人が会う事ができたのに。

それなのに、また婚約者となってしまい、かつて私が好きだった笑顔を浮かべるハロルド様が居た。








高等部3年に進級してからの流れは、三度目も同じだった。ハロルド様と私の距離が空けば空く程、ハロルド様とジュリエンヌ様との距離が近付いて行った。

三度目ともなれば、胸も痛む事はなかった。寧ろ、ハロルド様とジュリエンヌ様は、本当にお互い好き合っているんだなぁ─と、感心すらしてしまっている。




「リーナは、本当に……殿下に興味が無かったのね…」

「だから、婚約前から言ってただしょう?」


エレオノール様と私は、3年生でも同じクラスになり、お互い“リーナ”“エレ”と呼び合う程の仲になった。


「だからと言って、殿下と王女様のしてる事は…許される事じゃないと思うけど。」


3年生では、フルールとジョナス様とも同じクラスになれた。私とハロルド様が結婚する事はないだろうけど、いつも私の周りには良い友人が居る。それは、私にとっては唯一の救いだと思う。




ー後は…また…あの竜に噛み付かれるだけ…かしら?ー









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