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ファムータルの章 1,越えてはならなかったもの 6


「治療なんだけど……僕の魔力使ってくれない?」

 エルベットの医者2名にそう言うと、やはり渋面が返ってきた。


「……恐れながら……できません」


 予想していた答えだった。

「分かった。ごめんね。先生」

 あっさり引き下がり、医者に彼女を託して別室へ行く。


 魔国(このくに)の医者の控室だ。

「先生、いる?」

 ノックすると、すぐに扉が開く。独特な薬の匂いが鼻孔に触れる。

「ファム様。ようこそ」


 魔国の医者は少年を部屋に招き入れると、いつもの薬草茶を出す。

 少年はこの先生だけが出してくれる、この薬草茶が好きだった。


「何か秘密のご相談でも?」

 確か四十代後半、黒髪に黒瞳の医師は、いつものように優しく言ってくれる。


「うん。彼女に僕の魔力を使って欲しいんだ」

「魔力ですか……難しい案件ですが……」

 医者は少し考えて、

「秘密にしてくださるなら、という条件では?」

「うん! ありがとう、先生!」


 エルベットの医者が応急措置を終えるまで、薬草茶を飲みながら魔国の医者と談笑した。


 ――愛妻(アドア)

 その言葉に極めて不愉快な思いをしている人物がここに居るとも知らずに。





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