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もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~(旧題:Iris Revolution Online)  作者: 紀美野ねこ
以芸会友

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IRO運営(12):月白の神器

 ゲーミングチェアに深くもたれ、天を仰ぐ顔を両手で覆うミシャP。

 部屋の中央に浮かぶ大きなエアディスプレイには、島の北部エリアを占有し、島全体を掌握したショウたちが映っている。


「あっさり勝ちましたねー」


「……勝っちゃったね」


 顔を覆ったまま答える様子に、GMチョコが大きくため息をついた。


「ネクロファージャを勝てないレベルに強くするのはダメだったんです? 城から出るあたりなら間に合ってましたけど」


「このワンチャンス逃したら別のどこかに逃げる設定だったでしょ? エメラルディアがいて倒せない相手が他の場所に行っちゃったら……」


 北端の塔でモンスター養殖による魔石肥大化研究を知り、地下の惨状を見ることでフラグが立ち、地下からの出口で遭遇することになっていた。

 その遭遇時に倒せなかった場合、ネクロファージャは他のプレイヤーがいる場所に移動してしまう。そうなると……


「んー、詰みです」


「でしょー」


 さらに修正することも可能だったが、そうした場合、続く設定の全てを洗い直す必要が出てしまうわけで……


「今さらですよね。で、天然の特大魔晶石が、ショウ君の手に渡っちゃったわけですが」


「すぐに副制御室を再起動しようって話にはならない、と思いたい、けど……」


「そうなりそうなら『再生都市』のワークエ早めます?」


 そう言われて悩むミシャP。


「そこは様子見つつかな。ショウ君があれを提供するとして、西の竜族の区画だろうし、それなら東と南の区画で頑張ってもらえばよくない?」


「うまく行くといいですねー」


「チョコちゃんがいじめる!」


 わっと机に突っ伏し、嘘泣きを始めるミシャPだが、そんな様子はスルーして、エアディスプレイを眺めるGMチョコ。

 そこには神獣化したルピをモフるミオンたちの様子が映っている。


「あれも問題なんじゃないんです?」


 この島のラスボスであるネクロファージャを倒すことで、マナガルムの隠し試練である『親超え』をなし、神獣化のアーツも獲得したルピ。


「可愛いからよし!」


「いやいや、他のプレイヤーから苦情来ません? 優遇してるとか言われそうですよ?」


「その時は少しネタバレするから。ごく普通の相棒でも愛情を持って接してれば、いつかは……ってね」


 相棒が主人と行動を共にする時間が長ければ、いずれは幻獣へと進化し、さらに神獣化できるようになる。

 本来は年単位でのコンテンツだったのを、ショウがあっさり達成してしまったのだが、それも必要な前提を過不足なく最速で達成してしまったからという……


「不正はなかった」


「……エルが神器を使ったシーンは流石にロックかけますね」


「あ、うん、お願い」


 本来であれば、ワールドクエスト級の戦闘でなければ出現させないはずの月白の神器、5つのうち3つを使っていた。

 エルが普段使っている『天空の槍』。ネクロファージャの火球を受け止めた『永遠の大盾』。ショウに貸した『不可視の短剣』。

 いずれもワールドユニークアイテムと呼ばれるアイテムで、キープレイヤーに一時貸与することを想定されている。


「結局、ショウ君があそこで勝つことが、世界の崩壊を防ぐために必要だったっていう判断なのかな」


「竜族からすれば、白竜姫のマナ欠乏症を治した恩人ですからね」


「白竜姫の覚醒失敗が崩壊フラグだからしょうがないか」


 竜族と信頼関係を築けないまま悪魔勢との抗争が激化すると、人族や魔族とも協調が取れないまま大規模戦闘が発生するという、最悪なストーリーへと進んでしまう。

 そのコースはショウによってすでに回避されているのだが……


「塔で見つかった本はどうします? 上位スキル関連のトリガーになる本がかなりありますけど」


「そっちはいいよ。本土プレイヤーの成長はレベルキャップがあるし、SPが足りないから大丈夫」


「魔導具が作れる話とかバレちゃいますけど?」


 北端の塔の1階、大量の本の中には魔導具を作ることができるスキルの前提となる本も収められている。


「まあいいでしょ。最近始めてゲットできない勢とかも、将来は手に入るってわかると嬉しいでしょ?」


「BPをSPに無茶振りするプレイヤーとか出ませんかね」


「魔導具に必要な魔導鋼が手に入らないし、そんなに簡単に作れないのは自明だから。それでも取っちゃうのはもう……ねぇ」


 魔銀(ミスリル)の採掘できる場所は、今後のアプデ後で増えていき、それに従い産出量も増えていく予定だ。

 だが、それまでは魔導鋼の素材に回せるほど魔銀(ミスリル)は余らないだろうと。


「ショウ君が作る分にはいいんですか?」


「そこはまあ、それだけ頑張ってるしねえ。プレイした分の楽しみがないゲームなんて終わってるじゃん?」


 そう言ってコーヒーカップ……、の中身が空になってることに気づいた。

 察したGMチョコがコーヒーサーバーへ向かい、新しいコーヒーを淹れ始める。


「それに、魔導具は自作複製できないし、そんなたくさん作れないからいいよ」


「ショウ君が自分とミオンちゃんのために作ってるぐらいなら許容ですか」


「現状すぐ作れる魔導具も家電製品に近いぐらいの物だし」


 生活を豊かにする魔導具の類は、竜の都アップデートでたくさん登場する予定だ。

 それらを所有することがプレイヤー個人の、もしくはギルドの目標になってくれることを期待している。


「魔晶石の寡占問題を引きずってないといいんですけどね」


「うっ……」


 とつまるミシャPの前に、新しいコーヒーを置くGMチョコ。


「で、チョコちゃん。何か良いニュースはないんですか?」


「次のPVにピックアップする動画がリストアップされてるんで、チェックしてください。結構、量あるんで頑張ってくださいね」


 プレイヤー個人の動画クリップで、AIの評価値が高いものが大量にリストアップされている。

 これらのクリップをチェックするだけでも……


「チョコちゃんがいじめる!」


 IRO運営は今日も平和であった。



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― 新着の感想 ―
 ううむ。 コイツは悩ましい。  ゲームの進行スケジュールを恐ろしい速度で消化される恐怖と、それだけの事をしたプレイヤーに報酬が無いのは……とプレイヤー目線でしっかり考えてくれている思いやりのせめぎ合…
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