第618話 神獣化ルピをモフる会
エルさんは先に屋敷へと戻っていった。いろいろあったことを白竜姫様に話すって言ってたけど、覚醒してなくても伝わるのかな?
エメラルディアさんは、クロたちと裏庭の様子を見に。一応、レダとロイにも一緒に行ってもらう。
「お疲れ様でした」
「あ、どうも」
入れ替わりにやってきたセラさんが、お茶を淹れてくれた。
屋敷で入れたお茶を持ってやってきたときは、「それありなの?」って思ったけど、持ってこられるのは家事に関わる物に限られてるらしい。
そして、
「〜〜〜♪」「ニャフ」
シャルにはスウィーを連れてきてもらった。
ルピの次に島の住人になったし、妖精たちのまとめ役ってことで、意見を聞いておきたいなと。
「ワフ〜」
もちろんルピも参加。
俺の膝の上に座って甘えてくる様子を見ると「神獣とはいったい……」って感じなんだけど。
「えーっと、ネクロファージャを倒したことで、島北部エリアを占有っていうのと、島の全てのエリアを占有したって」
「おめでとうごいます」
「〜〜〜♪」
加えて、建国にボーナスがあるとか言われたことも共有。現状でそのつもりがないことも。
「ニャニャ?」
「うーん、建国した方がみんなが楽しいってなったらそうするかも? その時はシャルが騎士団長ね」
「ニャ!」
任せてくださいとシャル。その時はスウィーが宮廷魔術士とかかな?
その話はそれでいいとして、
「で、ルピが神獣になった」
「ぇ?」
タイミングもネクロファージャを倒した時じゃなくて、ミオンが魔石を浄化し終わったあとだったことを。
ルピの父親を弔うことがトリガーだったんじゃないかな、とか。
「なるほどです」
「ただ、アーツだから一定時間とかなのかな」
「解説はどうなってますか?」
「あ、そうだ。チェックしようと思ってたんだった」
えーっと、まずはルピを鑑定で見直す。
【マナガルム:ルピ:親愛:自由行動】
『幻獣マナガルム。別名マーナガルム。黒地毛に金毛を持ち成体は体長1mを超える。
古代より蒼空の女神の従者として仕えた狼。全ての狼を従える狼の王。
アーツ:<神獣化><ガルムライトニング><マナエイド><ハウリング><クラッシュクロー><急所攻撃>』
うん。蒼空の女神の従者っていうのは変わってないよな。で、
【神獣化】
『主人となる女神の使徒のマナを使って神獣となるアーツ。神獣化している時間は主人のMPに依存する』
「あー、俺が『女神の使徒』の称号を持ってるからなのか……」
「なるほどです」
あの称号も謎なんだよな。
スウィーたちと意思疎通がしやすくなるぐらいだと思ってたんだけど。
ともかく、試してみるか……
「ルピ。神獣化してみてくれる?」
「ワフ!」
俺の膝からしゅたっと降り、少し離れたところで、
「オォ〜ン!」
と吠えると、淡い緑色の光に包まれて、精悍な顔つきのすごい大きな狼が現れた。
「ルピ?」
「ワフ〜」
「おわっ!」
いつものノリで飛び込んできたルピを受け止めきれず、思わず尻もちをついてしまう。
そのまま顔をなめられるんだけど、サイズがもうリゲルと同じぐらいあって、成長とかそういうのじゃないよな、これ。
「すごいです!」
「ミオンも来なよ」
「は、はぃ」
なんとかルピに手加減してもらって起き上がり、お座りしてもらう。
ミオンがゆっくりと近づいて、ぎゅっと抱きつくと……
「ふわふわです……」
「ワフ〜♪」
ホント、ふわふわなんだよな。
いつものルピと違って、ちょっと長毛種っぽくなってるからか、余計モフ度が高い感じ。
いつの間にかスウィーまで来て抱きついてるんだけど、ほぼ埋まっちゃってるし……
「っと、俺のMP消費するんだっけ」
ステータスを確認すると……、うん、ゴリゴリ減ってる。
でも、MP回復が早いから少し戻しての繰り返しで、総合的に見ると……、30分ぐらいはもつかな?
「お手」
「ワフン」
手もでっかいし爪もすごい。
この大きさでクラッシュクローとかやったら、ランジボアなんか一発だよな。
みんなでルピのもふもふを堪能してると、
「わー!」
「アルテナちゃん?」
白竜姫様が現れて、ルピに飛びついた。
追いかけてきたエルさんが申し訳なさそうにしてるのはいいとして、エメラルディアさんの目がキラキラしてて……ちょっと怖い。
「ショウ。アージェンタ様に報告してもらっていいだろうか?」
「あ、了解です」
ルピをモフる会はしばらく続きそうなので、その間に報告を済ませちゃおう。
「アージェンタさん。島の北側が片付いたんで、いろいろと報告していいです?」
『ショウ様。ええ、もちろんです』
研究対象として飼育され、厄災で逃走したであろうネクロファージャを倒したこと。
そいつを倒したことで、すごいでかい、死霊都市の副制御室を再起動できるサイズの魔晶石を手に入れたこと。
そして、
「この島は全部調査が終わったかなって思います」
『ありがとうございます』
「ショウ君。北西にある小さな島が」
「あー、あそこか……」
アージェンタさんにはまだ話してなかったかな。
そういえば、ネクロファージャもあの小島の方から来たし、何か残ってるかも?
『それくらいの距離であれば、エルでも飛んでいけますね?』
「はい。問題ないかと」
エメラルディアさんの方が安全でいい気がするんだけど……、やっぱり、エルさんの方が信頼度が高いのかな。
まあ、エルさんも相当強いのがわかったし、任せちゃっていいのかもだけど、
「せっかくだし、みんなで行きましょう。魔導艇でいけると思いますし、その時には上から偵察してもらえると」
「了解だ」
この島を占有したって出たわけだし、あの小島にネクロファージャより強いモンスターはいないはず。
落ち着いたら、島をぐるっと一周もしてみたいなあ……










