第613話 再生魔晶石の存在理由?
【再生魔晶石(大)】
『魔石を砕いて再結晶化させることで、マナが抜けて魔晶石となったもの。
再結晶化したものであるため、使用回数が重なると壊れる可能性がある』
ニーナのところにある非常用魔晶石より一回りは小さくて、ハンドボールの玉ってこれぐらいだったかなあって。それにしても、
「なんで再生魔晶石なんだろ……」
「わかりません」
首を横に振るミオン。
知ってるかもってことで、セラさんとエルさんにも聞いてみたんだけど、
「申し訳ありませんが、専門外ですので」
「同じくだ。アズール様なら何か知っているかもな」
とのこと。確かに聞くならアズールさんだよな。
時間はまだ午後9時前だし、ギルド通話で聞いてみるか……
「アズールさん。今って大丈夫です?」
『あ、ショウ君! もちろんオッケーだよー。今って北の塔を調べてるんだよね? 何かあった?』
さすがアズールさん、話が早い。
城の離れ、塔の最上階に制御室があって、そこの非常用魔晶石が再生魔晶石だったことを説明。
動作に問題はないとは思うんだけど、なんでっていう素朴な疑問をぶつけてみた。
『再生魔晶石については僕も調べてみたんだけど、天然の魔石で大きいのってかなりレアでしょ?』
「まあ、そうですよね」
『でも、魔導具や魔導施設が増えてくると大きいのが足りなくなってきて、それをどうにか補う方法が再生魔晶石だったみたいなんだ』
「あー……」
今のところ、ゲームで獲得できる魔石って、一番大きいので中サイズらしいからなあ。
将来的にすごいボス、多分、レイドボス? そういうのが出てきそうだけど、しばらくは先じゃないかって言われてる。
……サバナさんの島の古代遺跡で、制御室から特大サイズの魔晶石を持ってきちゃったの返さないとだった。
「じゃ、再生魔晶石自体は昔からあったんですね」
『だね。竜の都のお城だと見かけないから、僕もエルから話を聞いて思い出したぐらいだもん』
と笑うアズールさん。
そもそも、白竜姫様が住んでるお城は元は古代都市の王城で、当然、古代遺跡なんだけど、そこには制御室がなく、魔導具の類いは全て天然の魔晶石で稼動してるとのこと。
あと、エメラルディアさんが契約してるシルキーたちや、庇護下の種族からお手伝いに来る人でまわってるから気にしてなかったらしい。
『そんなわけで、小さい魔晶石を大きくするって考えた結果が、再生魔晶石だったってことだね』
「なるほど。じゃ、天然の魔晶石と再生魔晶石が使い分けられてる差ってなんでしょう?」
『そこは推測だけど、重要度なんじゃないかなーって』
重要な施設、公共施設とかそういうのは天然の魔晶石を使ってて、個人は再生魔晶石を使ってたんじゃっていう話。
再生魔晶石は何回か使ってると壊れるって話があったからなあ。
「じゃ、これはそのまま使って大丈夫なんです?」
『大丈夫だと思うよー』
以前、俺が試しに極小から小にした時は、ダメになった瞬間に塵になっただけだし、いきなり爆発ってこともないと思うけど。
『エルがいるんだよね? ショウ君の代わりにマナを入れてみてー』
「わかりました」
「「えっ?」」
何もないとは思うけど、
「心配はいらない。鍛えているからな」
とエルさん。鍛えてればなんでも大丈夫ってわけじゃないと思うんだけど。
『エメラルディアがいれば、彼女にやらせたんだけどなー』
「アズールさん……」
そんなやりとりをしているうちに、エルさんが非常用魔晶石に手を添える。
屋敷の保存庫の魔晶石にもやってくれてるし、手慣れた感じでマナを注いでくれるんだけど、
「あ、2割ぐらい入ればオッケーだと思うんで」
「了解した」
サイズもあって2割はすぐに溜まりそう。
俺の時はもう一回り大きいサイズなのもあって苦労したんだけど、エルさんは全然平気そうだし、やっぱりレベル高いんだろうなあ。
「ぁ!」
「お、来た」
天井がぱっと明るくなり、コンソール部分が淡く光り始めた。
ニーナのときはアナウンスのようなものがあったけど……
「何も言ってこないなあ」
「ショウ君。こっちを」
「ん?」
モニター(?)部分に文字が浮かび上がってて……、再起動中っていう文言が。残り5分弱で終わるっぽい。
「待ってようか」
「はぃ」
アズールさんが言ってた通りなのかな。この塔の管理だけなら、そんなに大した機能はないっぽいし、それなら再生魔晶石で十分なんだろう。
というか、この塔と城もだけど、個人で持ってたってこと? 1階の蔵書もすごかったし、すごい技術者の個人研究室とかだったのかな?
そんな話をアズールさんも交えてしていると、
「終わったようだ」
「ありがとうございます」
エルさんに呼ばれ、改めてコンソールに浮かぶ文字を読む。
うん、初期化されてるから管理者登録をしろと。これって蒼月の指輪、必要なのかな?
「ミオン、管理者になってみない?」
「ダメです。この島の主はショウ君なんですから」
「あ、はい」
ってことで……、ここに手を置けばいいのかな? うん、合ってるっぽい。で、無事に管理者登録完了。
〖古代遺跡の管理者になりました!〗
あ……、思わずミオンを見る俺に、
「はぃ。ワールドアナウンスが」
ミオンには、ベル部長の時と同じように〖古代遺跡の新たな管理者が現れました!〗と出たとのこと。
「まあ、どうせライブで話しちゃうからいいんだけど」
まずはアズールさんに報告。
無事(?)、管理者になれたわけだけど、ここって都度都度マナを補充しないとなのかな。
だとすると、非常用っていうよりは主電源、もとい、主マナ源なんだろう。
『そうだろうね。っていうか、重要な古代遺跡ってマナの通る地脈上にあるんだよね。ショウ君とこのニーナさんって自律型って言ってたでしょ? そもそも……』
アズールさんの解説が止まらない件。
ありがたいことなんだけど、今じゃなくてもいいっていうか……
『アズールうるせえ! ショウが困ってんだろ!』
と割り込んできたのはバーミリオンさん。
正直、助かったんだけど聞いてたんだ。いや、聞こえてたが正しいのかな。
『あー、ごめんごめん。で、なんだっけ?』
「いえいえ。えっと、特に危なそうな物はなかったんですけど、本がたくさんあったんで、手が空いた時にでも見に来ます?」
『行く!』
予想通り即答だったんだけど、それを聞いていたバーミリオンさんがずるいと言い出し、それを言い出したらエメラルディアの方がずるいとか……
最終的にアージェンタさんが出てきて、改めて日程を調整することになった。
ともかく、白竜姫様が怒る前で良かったよ……










