第588話 準備しっかり愛情たっぷり
「ほう! ついに島以外で公に活動するのだな!」
「ああ、離島の互助会やるって言っちゃったし、そうなるとやっぱりどこかで顔合わせしないとって話になるしな」
「うむうむ。であれば、南の島が一番無難であろう」
そう言って、夕食後のデザート、焼きプリンをパクッと一口。
それをしっかり味わってから、
「ナット殿は他に誰かを呼ぶのか?」
「ナットのギルドのメンバーも死霊都市と南の島に遊びに来るって言ってたから、多分、その人たちとは一緒になるんじゃないかな」
ワールドクエストも落ち着いたしってことで、死霊都市の中心にあるインスタンスダンジョンと、南の島の採掘施設を見に来ることになったらしい。
「で、どうする? 明日の昼か夜かだけど、美姫も参加するか?」
「ミオン殿は来んのであろう? であれば、今回はパスが良かろう。いずれミオン殿がおるときにでもの」
ベル部長とミオンが会うって話になるなら、セスも白銀の館のギルマスとして参戦しておかしくはないけど、そうじゃないなら不自然だろうとのこと。
「りょ。俺が南の島にいるのは普通ってぐらいになれば、ベル部長ともコラボって話になるだろうし」
「うむうむ。それはそれで良いとして、ナット殿は兄上と繋がりがあることが知れ渡って問題ないのか?」
「そっちは『別ゲーでも付き合いの長いフレンド』ってことで通すことにしてあるから大丈夫」
今回はたまたま俺が無人島スタートで分かれちゃったけど、そうじゃなかったら一緒にプレイしてただろうし。
「なるほど。間違ったことは言っておらんの」
と笑う美姫。
まあ、奴なら上手くやるだろうし、いいんちょもいるから大丈夫だよな。
***
ナットに連絡し、明日の昼、午後2時すぎに向こうにある教会の前で合流の手はずになった。
「そういうことなら、私たちは知らないふりをしておくわね」
「なんかすいません」
「気にしなくていいわよ。こっちもドワーフのダンジョンがかなり進んでるし、レオナさんがそっちに乗り気なの」
そっちはそっちで結構進んでて、かなり深い階層、明日は第九階層にアタックするんだとか。
その階層には金属系のゴーレムも湧くので、そいつを倒せると金属の残骸が手に入って、売ったり加工したりで結構儲かるらしい。
「へー、採掘するより儲かるんです?」
「そこは微妙なところよの。インベントリや重量の問題もあるのでな」
「ああ、そりゃそうだよな」
戦闘がガッツリできて、戦利品もまあまあ。
さらに奥に進めば、もっと良い物が手に入るかもって感じらしい。
「もし、人数が足りないみたいなことがあったら、連絡してちょうだい」
「りょっす」「はぃ」
………
……
…
ルピとレダ、ロイ、リゲルを連れて牧場の奥、水路に近い場所へと。
屋敷や厩舎にいないときは、教会かそこにいることが多く、今日は天気もいいので訓練をしてるはず。
まあ、リゲルに聞いて、そこにいるのは知ってるんだけど。
「シャル〜?」
「ニャ?」
「お疲れさま。ちょっと相談があるから休憩しようよ」
「ニャ! ニャフ〜」
「「「ニャ〜」」」
休憩を告げると、訓練中のケット・シーたちも集まって輪になって座る。
おやつに持ってきたにぼしを配って、みんなでいただきますを。
「リゲルはこれね」
「ブルルン♪」
パーンが作ってくれてるキャロッタ、甘みがすごくて、そのまま齧っても美味しいんだよな。リゲルもお気に入りだし。
「えーっと、ガジュたちがいる南の島の話なんだけど……」
「ニャ」
まずは、コボルトたちがまた出てきたことを。
で、コボルトたちが住んでるだろう、あの森の奥に進みたいんだけど、多分、ガジュたちの協力がないとダメだろうことを伝える。
「ニャニャ」
「うん。で、明日、ガジュと一緒にその森の奥へ行こうと思うんだけど」
「ニャ!」
「「「ニャニャ!」」」
シャルたちから参加したいって言ってくれるのは嬉しい。
こっちからお願いして、ダメだったらしょうがないかなって思ってたんだけど。
「ありがとう。で、向こうの島にもケット・シーたちがいるから、シャルにリーダーをやってもらっても良い?」
「ニャ。ニャニャ?」
「うーん、向こうにいる子たちは俺にもわからないし、明日行ってみないとかな」
「ニャフ」
どっちにしても、ガジュたち以外の参加者と顔合わせしないとだし、向こうの教会に行ってみたかったんだよな。
『ショウ君。いいですか?』
「うん、大丈夫。あ、シャルたちも一緒に来てくれることになったよ」
『良かったです。シャル君たちのバンダナが出来上がったので、一緒に戻ってきてもらえますか?』
「りょ」
こっちのメンバーがわかりやすいように、みんなで緑のスカーフかバンダナを巻こうかなと。
おやつの煮干しも空になったところで、みんなで屋敷の裏手へ移動。ミオンにスウィー、フェアリーズも揃って待ってくれていた。
「ごめんごめん」
ミオンとそんな話をしてる隣では、スウィーがシャルたちを並ばせてくれている。
女神様直々にバンダナを配布するので、謹んで受け取るようにとか言ってるし。
「ショウ君。これ、どうでしょう?」
「お、……すごい! 刺繍も上手だし」
【高品質な刺繍入りスカーフ(コプティ染)】
『亜魔布で作られたスカーフ。高品質。
カニーナ染の糸で刺繍が入っている。
MP回復30秒につき+3。裂傷耐性I、幻惑耐性I』
耐性が2つついてるし、俺が前に作ったやつよりもデザインもいい。
薄い緑の布地に、薄いピンクの小さい花の刺繍が入っていて、ちょっと和風な感じ?
「つけますね」
「あ、うん」
ミオンが巻いてくれるんだけど、なんかこう、ネクタイを結んでもらってるようで気恥ずかしい。
「〜〜〜♪」
「ワフ!」
ルピ、レダ、ロイ、そしてシャルたちにも新しいバンダナを、ミオンが直接巻いてくれる。
なんか、シャルたちがめっちゃ感動してるけど……、まあ、女神様直々だから、しょうがないよな。










