第571話 離島互助会構想の第一歩?
火曜日
「お待たせ」
「どもっす」
「こんにちは」
火曜日の部活の時間。
昨日、お米、ハクの話をエメラルディアさんから聞いたので、さっそくベル部長に相談しようと思ったんだけど、
「今日のうちのライブで、ショウ君が作った翡翠の女神の木像をお披露目するつもりよ」
「え、あ、はい」
日曜にエメラルディアさんに運んでもらったやつをライブでお披露目するらしい。
向こうに運んだまではいいけど、その後どうするかはお任せだったわけで、ちょっと恥ずかしいのもあるけど、こっそりってわけにもいかないもんな。
「像はガジュ君たちが運ぶって張り切ってるから、うちのギルドや島に来てる常連で設置の手助けをすることになっていて……」
予定としてはほぼ決まってるようで、俺とミオンに最終確認って感じ。特に異論はないのでお任せで。
俺としては、うちの島に置いてる木像と同じように、ちゃんとセーフゾーンが広がってくれるかが心配なぐらい。
「良かったわ。直前になっちゃってごめんなさいね。ディマリアさんがログインできてなくて、キジムナー君たちとの意思疎通に少し手間取っちゃったの」
「あー、なるほど」
いいんちょ、ポリーがいればいいんだろうけど、ナットのところとのやり取りで忙しいって言ってたしなあ。
「ふう、私から伝えておくことは以上よ。それで……、何かあったのよね?」
「あー、はい」
俺たちの報告を聞いてフリーズしちゃうと、話さないといけないことが飛んじゃうから、先に話しちゃおうってことだったっぽい。
「えっと、ハクが手に入るかもしれない話です」
「えっ!」
ベル部長が思わず身を乗り出す。
昨日あったことを最初から、あんバタートーストのMP回復量の増加に始まるいろいろをかいつまんで説明。
ちなみに、白竜姫様の症状とその原因については、ベル部長とセスにだけ話すってことでオッケーをもらっている。
「アルテナちゃんのためにも、もっといろんな物をバランス良く食べた方がいいんじゃないかって」
「食生活から改善していこうということね」
「ええ。で、まあ、なんかエメラルディアさんが詳しいらしくて」
サバナさんの島に行った時に、ハクを見つけてたらしい。
なんで他の人たちが気づかなかったんだろうと思ったんだけど、いわゆる陸稲だったっぽい?
日本人だと水を張った田んぼで育つものってイメージがあるからなあ……
「シーズンさん経由とかでサバナさんに伝えてもらえますか? 向こうで栽培できるようになれば、こっちの何かと交換もできるかなと」
「そんなゆっくりでいいの? 直接、種籾か苗を貰えば早いと思うのだけれど」
「いや、なんかそれって、おいしいとこ取りみたいな気がして……」
こういう言い方はあれだけど、うちの島、南の島、ラムネさんの島はそれなりに手が入ってて対等な取り引きって言えるけど、サバナさんのところはまだちょっと追いつけてない感じがしてる。
そんなところから、特産品になりそうなハクを種籾や苗でもらっちゃうのはどうなのかなあっていう……
「気にし過ぎじゃないかしら?」
「私もそう思います……」
「まあ、まずはハクがあったことを伝えてもらえればそれで。あっちでうまくいって、こっちの何かの種と交換ぐらいがいいんじゃないかなって」
以前のライブで話した離島同士の互助会の話にも、サバナさんは今のワールドクエストが終わってからって返事だったし。
白竜姫様の体調も徐々に良くなってるってことで、そのあたりは無理を通す必要もないって本人からも言われたので。
「わかったわ。シーズンさんやサバナさんが、ハクを見つけるのに時間が掛かるかもしれないものね」
「ん? え?」
「少なくともシーズンさんは植物学スキルは持ってないわよ? 多分、マリーさんもね。それに、島にある植物全てを鑑定してまわるわけにもいかないでしょ?」
「ぁ……」
「あー」
そりゃそうだよな。
ちなみに植物学のスキルがあれば、パッと見た時に気づける確率がやっぱり上がるらしい。
俺がレッペリン(コショウ)やブルーガリス(てんさい)を見つけられたのは、やっぱり植物学スキルのおかげだったんだなあ。
いや、それはいいとして、
「じゃ、やっぱりエメラルディアさんに行ってもらうしかないか……」
「あの、植物図鑑をお渡ししておくのはどうでしょう?」
「ああ、なるほど」
「いいわね、それ」
学問系のスキルはあって困らないと思う。本があれば欲しくなったタイミングに取得できるし。
植物図鑑以外の図鑑や本なんかもベル部長に伝手があるので、そっちからお願いすることになった。
実際に渡せるタイミングは、次の支援物資を渡す時になるとのこと。
「じゃ、そのあたりをシーズンさんに伝えてもらえます?」
「ええ、任せてちょうだい」
***
「あ、エメラルディアさん。わざわざすいません」
「ぁぃ、ぁぃ」
昨日、話を聞いた後、一度、うちの島に戻ってきてもらうことになっていた。
俺が作ったあんバタートーストにも興味津々だったし。
「ショウ君。私は植物図鑑を」
「うん、お願い」
ミオンは農耕と園芸のスキルを取った後に、動物学と植物学のスキルもしっかり取っている。今はもうスキルレベルは俺より上かも?
なので、エメラルディアさんと植物図鑑を見てもらって、ハクについて確認を取ってもらうことに。
「スウィーちゃんもお願いしますね」
「〜〜〜♪」
確かにスウィーも詳しそう。いや、果物限定な気がするな。
で、俺はおやつを用意。ご所望らしいあんバタートーストをさくっと。
あんことバターは残ってるので、バゲットを用意するだけでいいし。
「ニャフ」
「あ、シャル。いつもありがとう。今日、エメラルディアさんが来てるから、ガジュたちのところに送る物をまとめておいてくれる?」
アンバーナウトのミルクを持ってきてくれたシャルにお願いしておく。
「ニャ?」
「ううん、急がなくていいよ」
「ニャ!」
そういえば、竜籠を使えば、シャルたちも里帰りできるかもなんだよな。
まあ、ラムネさんの島と行き来することになったら、一度聞いてみるかな。










