第566話 現状の建国システム概要
「ショウ君、セスちゃん」
「来たわね」
「こんばんはー」
夜。IROの前にバーチャル部室に顔を出すとヤタ先生までいて、俺たちを待ってたっぽい?
「何かありました?」
「ついさっき、建国システムの説明が出たわよ。要望で送ったのが良かったみたいね」
「「おおっ!」」
ベル部長がみんなに見えるように公式ページを大きく出してくれた。
どれどれ……
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☆☆☆建国システム☆☆☆
【一時停止と再開に向けて】
Iris Revolution Onlineでは、プレイヤーが国家を樹立し、運営していくことができます。
これによりプレイヤーの皆様が一致団結し、アイリスフィア世界を繁栄させる楽しみを提供できると考えております。
ですが、現状の実装では想定していない状況でも建国ができてしまう、また、乱用することができてしまう不具合がありました。
これにより、一部のユーザー様に不愉快な体験をさせてしまったことを、改めて深くお詫びいたします。
本機能については一時停止とし、入念な見直しを進めている最中ではありますが、多くのユーザー様より『説明不足』という厳しいご意見をいただいております。
ここに改めて、現状ですでに建国されているユーザー様の許可をいただいた上で、その情報の一部を公開いたします。
なお、現時点で建国システム再開の日時は未定となっております。決まり次第、改めてご連絡させていただきます。
【建国システム概要】
☆建国に必要な条件☆
・一定以上の広さのセーフゾーンを支配下に置くこと。
・隣接するエリアに対しても、自勢力の支配力が優勢であること。
※支配力とは建国宣言を行うプレイヤーと、その傘下にあるすべてのキャラクターの総合力を合計したものになります。
☆建国によって獲得する物☆
・国家レベル1:新規プレイヤーのスタート地点。
・国家レベル2:新規プレイヤーの追加のスタート地点。
・国家レベル3:建国者限定スキル。(滅亡時に失います)
・国家レベル4:公的役職の任命権。(任命された相手は限定スキルを獲得します。滅亡時に失います)
・国家レベル5:NPCの累増。(神饌を必要とします)
☆滅亡の条件☆
・自勢力の支配力が0になる。
・支配下のセーフゾーンを全て失う。
☆建国・国家レベルの褒賞☆
・【新しく国を興した:国家レベル1】:10SP
・【国民が10人を突破:国家レベル2】:5SP
・【国民が50人を突破:国家レベル3】:5SP
・【国民が100人を突破:国家レベル4】:5SP
・【国民が200人を突破:国家レベル5】:5SP
………
……
…
――――――――
「へー、結構いろいろできるんだな」
「建国者や公的役職に任命された者が得る『限定スキル』が気になるところよの」
その限定スキルについては説明がないんだよな。
「それについては情報があるわ。ラムネさんのところに質問してたんだけど、ついさっき返事が来たの。今日の発表もあって遅くなったみたい」
ラムネ王国の場合は、王(女王)であるラムネさんが建国者。
で、任命できるのは宰相、騎士団長、宮廷魔術師長……と、いろいろあるらしい。
それぞれ、統率スキルが取得可能になるのと、宰相なら政務スキル、騎士団長、宮廷魔術師長なら軍事スキルが与えられるそうだ。
それぞれの政務スキルや軍事スキルは、関連するスキルを強化するタイプで、それらのレベルにプラス補正&アーツや魔法のクールタイム減少っていう優れもの。
さらには、部下の関連スキルにもプラス補正が入るらしい。
「えー……。それがSP消費なしで手に入るって、かなり壊れてないです?」
「私もそう思うけど、すごく役に立つってわけでもないそうよ? 使う機会があまりないからっていうのもあるんでしょうけれど」
「国がなくなれば取り上げられるというのもポイントよの。スキルというよりは、ジョブ補正と言った方が正しいやもしれん」
「確かにそっちの方がしっくりくるな」
でも、微妙に称号と被ってるような? あれって補正とかないよな?
ふとミオンを見ると、そこじゃない別の項目が気になってる様子。
「他に気になるとこある?」
『ぁ、はぃ。このNPCの累増が気になります』
「ああ、確かに。……これ、なんて読むんだろう」
「『しんせん』と読みますよー。神様に捧げる供物のことを指しますねー」
さすがヤタ先生。国語教師。
じいちゃんが神棚にご飯とかお水を祀ってたけど、ああいうのも『神饌』って言うらしい。
「その神饌はラムネさんだけが選べるって聞いたのだけれど……」
国家レベルが5で建国したプレイヤーが神饌を選ぶと、それが消える代わりにログアウトしてる間にNPCが増えたりするらしい。
「どういう物をです?」
「何でもいいらしいわ。ただ、何がどう評価されてるかはよくわからないって」
「ふーむ、そこはマスクデータということか」
シトロン王国では、ラムネさんが思い出した時に捧げてるらしい。
その内容は、お金だったり、食材だったり、かなり適当とのこと。らしいっちゃらしいけど。
「ちなみに、それでケット・シーたちが増えてるそうよ」
「『え!?』」
いや、そりゃそうか、スウィーやトゥルー、パーン、シャル、クロ、ラケ、アトたちだってNPCだよな。
「なるほど、そういうカラクリがあったのだな」
プレイヤーの数に応じてノームやケット・シーといった妖精が増えてるって言われてたんだけど、シトロン王国ではラムネさんのおかげでも増えてるんだろう。
ということは、
「俺が建国すれば、妖精達が増えるかもか。でもなあ……、スタート地点になるのが問題だからなあ」
『そうですね……』
「そうよねぇ……」
「ふーむ……」
結局、いつ再開するかについては未定って話だし、どういう改修が入るかも書いてないし、この話は一旦保留ってことになった。
………
……
…
「決まったの〜!」「〜〜〜♪」
ログインすると、白竜姫様とスウィーが走ってきた。
何が決まったのかと思ったら、ステンドグラスのデザインが決まったらしい。
「何に決まりましたか?」
「お花たくさん〜♪」「〜〜〜♪」
花壇に咲いてる花をたくさんってことらしい。
まずは下絵を描いてもらうのがいいのかな?
「じゃ、板の上に直接描いちゃっていいから、あとはミオンに任せていい?」
「はぃ」










