第558話 集めた魔石の使い道
「結構降ってるなあ……」
「今日は家でゆっくりしますか?」
「そうだね。南の島の教会に置く女神像を作るよ」
夜。ログインすると、すぐわかるぐらいに雨音がしていて、外に出て何かするのは無理そう。
厩舎を建てるときに余った木材があるので、それを使って女神像作りかな。
「ミオンはどうするの?」
「エルさんとアルテナちゃんの服を作ろうかなって」
「いいね」
白竜姫様はお昼寝中かな? そうなら、女神像を作るのにとんかんやる前に、遮音結界を張っておかないと。
まずはエルさんに今日の予定を話そうと応接室に入ると、本を読んでいたエルさんが待っていたように立ち上がる。
「二人ともちょうど良かった」
「え? 何かありました?」
「悪魔の尋問が終わって、相談したいことがあるそうだ。アージェンタ様がこちらへ来たいとのことだが……」
前に尋問したやつとは別の悪魔から情報を引き出せたらしい。
もちろんオッケーなので、俺から返事をしよう。
「アージェンタさん。今、大丈夫ですか?」
『ショウ様。急に申し訳ありません』
「いえいえ、相談したいって聞いたので」
『はい。新たな情報があり、その取り扱いについて相談したく。昨日、受け取ったアズキという物もお届けできますので、お伺いしてよろしいでしょうか?』
「ええ、もちろん」
アージェンタさんは別件もあって、午後10時ごろになるとのこと。なので、それまでは女神像作りを進めようかな。
………
……
…
「ワフッ!」
「おっと、ありがとう」
大まかに削り終わり、ちょっと距離をとって全体を眺めていると、ルピが呼びに来てくれた。
そろそろ午後10時。もうすぐアージェンタさんが来るはず。
「ショウ君。おやつの用意ができてますよ」
「お、さんきゅ」
白竜姫様とエメラルディアさん、それにスウィーたちもおやつ待機状態になってるので、
「先に食べていいよ」
「は〜い♪」「ぁぃ」「〜〜〜♪」
そう伝えて応接室を出る。
アージェンタさんの性格からして、時間ちょうどか少し前に来るはずだよなと思ってたら、ちょうど玄関の扉が叩かれた。
「アージェンタさん。わざわざすいません」
「いえいえ、こちらこそ急で申し訳ありません。まずはこれを」
「ありがとうございます」
そう言って渡してくれた木箱は、ナットから来たアズキが詰まった袋が入っている。
まずは一部を植えてみて、問題なければ半分はお菓子作りに使っちゃおう。
「こちらへ。お茶とお菓子を用意してます」
「いつもすみません」
木箱はいったん置いて応接室へと。
白竜姫様たちと一緒におやつを頬張ってるエメラルディアさんを見て、アージェンタさんが苦笑い……
「ミオン。アージェンタさんにお茶を」
「はぃ」
「手伝おう」
レーズン入りクッキーがもう無くなりそうなので、そっちの追加もお願いしていた。
俺が席についたのを見て、アージェンタさんが切り出す。
「さっそく本題に入りたいところですが、その前に。バーミリオン、アズール、居ますね?」
『おう!』『いるよー』
ギルドカード越しに、二人の返事が同時に返ってくる。
きっちり共有しておきたい、それぐらい重要な話なんだろう。
ミオンとエルさんが戻ってくるのも待ってくれ、全員が揃ったところでアージェンタさんが話し始めた。
「ショウ様。魔石を大きくする方法に心当たりはありませんか?」
「え? 大きくですか? うーん、ないですね。ひょっとして、悪魔たちにはその方法がある?」
「はい。どういう方法かはわかりませんが、魔石を集めているのは、より大きな魔石を作るためのようです」
マジか。
ああ、でも、将来的にそういうことができても不思議じゃないよな。
今は極小の魔石でも、魔晶石にしたあとに、精霊石にするっていう使い道があるけど、今後は微妙そうだし。
「アズールは知りませんか?」
『うーん、わからないなー。魔石を溶かして精錬するとか?』
鉱石と同じようにってことか。
古代魔導炉で試してみて、あ、でも、本土の人とかが試してそうだよなあ……
「あ! ミオン、魔石持ってない?」
「ぇ?」
「ショウ。これを使ってくれ」
静かに聞いてたエルさんが、持っていた極小サイズの魔石をいくつかテーブルの上に置いてくれた。
普段、狩りをしてるときに手に入った分だそうで、ある程度の量になったら、まとめて蔵へと置いてくれてるらしい。
「ありがとうございます」
アージェンタさんが興味津々で見つめる中、俺はその魔石を3つ手に取り、
「<粒化>」
と唱える。
粒となった魔石がこぼれないよう、手のひらで受け止め、
「<晶化>」
3つ分の魔石の粒がまとまって、極小サイズの魔石ができあがった。
【錬金術スキルのレベルが上がりました!】
「っ!」
普段は冷静なアージェンタさんが身を乗り出して驚いている。
俺も実際にできるとは思わなかったんだけど、錬金術スキルが上がったのも驚きなんだよな。
「ショウ君、さすがです!」
『ショウが何かやらかしたのか?』
『すっごい見たいんだけど!?』
バーミリオンさんとアズールさんまで盛り上がってるし……
それはいいとして、この魔石、いや、これ魔晶石か? 鑑定してみよう。
【粗悪な再生魔晶石(極小)】
『魔石を砕いて再結晶化させることで、マナが抜けて魔晶石となったもの。
再結晶化がうまく行われなかったため、数度の使用で壊れる可能性が高い粗悪品』
「うーん、品質がめちゃくちゃ悪いですね……」
「それは元となる魔石の質によるものでしょうか?」
「そこは何とも言えないです。俺の技術不足もありそうですし」
とはいえ、錬金術はレベルがあがって9になった。
応用魔法学<地>もスキルレベルは9だし、これって10にならないとまともに成功しないのかも?
「ショウ君、魔石が足りないとかはないですか? 出来上がった大きさも、元の1つの大きさとあまり変わりませんし」
「ああ、それか」
3つだと足りないのかな。
5つぐらい? いや、残ってる12個全部でやってみるか。
「<粒化>、からの、<晶化>」
これでどうかな?
【再生魔晶石(小)】
『魔石を砕いて再結晶化させることで、マナが抜けて魔晶石となったもの。
再結晶化したものであるため、使用回数が重なると壊れる可能性がある』
「うまくいったみたいです。というか……、これで大きい魔晶石を作って、どこかの古代遺跡を再起動しようとしてるとか?」










