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第475話 ほどよい距離感が大切

 ちょっと早めの夕飯をにぎやかに。


「これでラストだから」


「おう。美姫はもういいのか?」


「うむ」


 明日からじいちゃん家ってことで、冷蔵庫の中にあるものを消費するお好み焼き。

 玉子、豚肉、キャベツは普通だけど、ニラ、白菜、ピーマンなんかは変わり種って感じだと思う、多分。

 最後、半分に満たないサイズは真白姉の胃袋に収まることになった。


「お茶でいい? オレンジジュースあるけど、明日の朝がパンだし」


「おう」


「うむうむ」


 3人分のお茶を淹れてほっと一息。

 時間は午後7時を回ったところ。ゆっくり食休みしてからIROかな。


「そういえば、真白姉。明日からのことはシーズンさんに話してあるんだよね?」


「おう。ちょうどゲームでも別の用事ができたとか聞いたな」


 あ、そうか。

 シーズンさんって『白銀の館』のコアメンバーだし、当然、ベル部長から南の島へのお誘いがかかってるはずで、


「えーっと、美姫?」


「ふむ。我から説明しよう。以前に話した南の島なのだが……」


 美姫がいい感じに何があったのかを説明してくれる。

 俺が言うよりも、美姫が言った方が要点がまとまってて、真白姉も真面目に聞いてくれるので助かる。


「ふ〜ん、面白そうじゃん」


「こっち戻ってきたら、真白姉も来る?」


「澪ちゃんもいるのか?」


「いるよ。でも、ミオンがゲームしてることは、しばらく内輪以外には秘密にするつもり」


「それなら、あたしは知らんぷりしとくぜ」


 あっさりと引き下がる真白姉。

 珍しいこともあるもんだなと思ってると、


「あぁ? なんだその顔は?」


「いや、珍しいなって。いつもは混ぜろって言ってくるじゃん」


「あたしが行って、美姫やお前と遊んで、澪ちゃんが留守番はダメに決まってんだろ。優先順位をちゃんと考えろ」


「うむうむ」


 これまた思った以上にまともな理由でびっくりする。いや、小さい頃から『仲間はずれ』的なのには厳しかったっけ……


「もう少し落ち着いてから、ミオンも含めて遊べるように考えるよ」


「おう。ま、期待してるわ」


 なんか、真白姉、ちょっと変わったのかな?

 シーズンさんにお礼しないとだよな……


 ………

 ……

 …


「ショウ君、セスちゃん」


「来たわね」


 俺とセスがバーチャル部室に入ると、ミオンとベル部長が待ってくれていた。

 ベル部長はこれからライブで、セスもそれに出ることになっている。まあ、白銀の館のギルドマスターとしてってだけど。


「ごめんねさい。聞こうと思って忘れちゃってて申し訳ないのだけど、修理が終わったピアノで演奏会をしてもいいわよね?」


「え? あ、俺は全然いいです……けど?」


「はぃ。もちろん」


「よかったわ。ちゃんと直ってるって証明するためにも、何人か演奏スキルが上限突破してる人に弾いてもらうつもりなの」


 ベル部長の今日のライブはそれをメインにするそうだ。

 本当はもっと早くにその話をするつもりだったんだけど、俺がキジムナーたちを助けちゃった件が大きすぎてっていう。


「それと、もう一つ、二人に考えておいて欲しい事があるの」


「えっと、なんでしょう?」


「?」


 顔を見合わす俺たちに、ベル部長が真面目な顔で続ける。


「キジムナーちゃんたちのこともあるし、南の島を訪れるプレイヤーたちの活動範囲を決めておいて欲しいのよ」


「いずれ、かの島へ訪れるプレイヤーも増えると思うのだが、キジムナーの集落を好き勝手動かれても困るであろう?」


「あー、そうだよなあ……」


 セス曰く、南の島の話はいずれ公表するし、訪れるプレイヤーも増えていくのは間違いない。

 そのプレイヤーたちに悪気がないとしても、キジムナーたちとの接触は徐々にって形にした方がいいだろうという話。

 ちなみに、ナットのギルド『妖精の友』ではノームたちが住む洞窟は、緊急の時以外は立ち入り禁止にしているそうだ。


「わかった。それについてはガジュとも相談するよ」


「うむ。では、そろそろ行こうかの」


「ええ、よろしくね」


 ***


「えーっと、まずはガジュと話そうか」


「そうですね」


 幸蓉の神樹から出て、ガジュのところへ。

 といっても、ガジュは首長なので……


「ガジュいる〜?」


「ジュジュ〜」


 見上げた神樹の上から声が聞こえた。

 代々、首長がこの神樹に住むことになってるらしい。


「ジュ♪」「〜〜〜♪」「ニャ!」「ワフ〜」


 込み入った話になりそうということで、みんなで神樹の前に座る。

 今日のメンバーは、俺、ミオン、ルピ、スウィとシャル。

 ミオンが冷たいパプの葉茶をみんなに。いつでもお茶を飲めるようにと、ミオンにお願いされて作った水筒。魔導鋼インゴットの余りで作った贅沢品。


「ショウ君」


「ありがとう」


 みんなに行き渡ったところで、


「ガジュ。ちょっと相談があるんだけど……」


 できるだけ簡単に説明。

 いずれこの島を訪れる人が増えるだろうけど、その時にキジムナーの集落にたくさんの人が来ても困るよねと。

 俺としても、この幸蓉の神樹に不特定多数の人が来るのは避けたい。

 スウィーがいないと妖精の道は使えないだろうけど、出入りしてるところは見られたくないし。というか、俺もミオンもこの島に来てることは、できるだけ伏せておきたい。


「〜〜〜♪」


「ジュジュ」


「ニャーニャ」


 スウィーがそのへんをちゃんと説明してくれてるのがすごく助かる。

 シャルは俺たちの島のこととか、自分たちがどういう経緯で俺のところに来たのかとかを話してくれた。


「俺たちはこっちの島にはたまにくるけど、あんまり他の人と会うつもりはないんだよ」


「ジュ。ジュジュ?」


「あー、この間来た二人は特別かな。あとアズールさんはドラゴンだしね」


「ジュジュ〜」


 なんか言い訳っぽい感じだけど、すんなりと納得してくれた模様。


「ミオンからは何かある?」


「ぃぇ、ショウ君と同じです。私も知らない人と会うのはちょっと……」


 ベル部長やセス以外となると、マリー姉とポリー、ナットぐらいだよな。


「ジュ〜ジュ?」


「あ、うん。急ぎじゃないよ。みんなと相談して決めて欲しいんだ」


「ジュ!」


 ガジュが首長だと言っても、一存で決めるわけにもいかないだろう。

 プレイヤーが増えて、良いことが増えるのと同じだけ、悪いことも増えるかもしれない。

 そのあたりはスウィーやシャルにも相談に乗ってもらうようお願いする。


「じゃ、俺とミオンは明日から二、三日いないから、その間に決めておいてくれる?」


「ジュジュ〜」


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