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第473話 ショウ君は心配性

日曜日

 日曜日。

 さすがに今日はミオンの家に遊びに行くのはなし。明日からの帰省の準備もあるし。


「明日は学校ある日と同じで。いつもの時間に駅でね」


「はぃ。すごく楽しみです」


「えーっと、本当に田舎で何もないから、あんまり期待しないで……」


 山と川と畑しかないんだけど、大丈夫なんだろうか。

 まあ、2泊3日、真白姉も美姫もいるし、近くを見て回るぐらいでも楽しいのかもだけど。

 それはそれとして、


「みんな揃ってる?」


「ワフ」「「バウ」」「クルル〜」


「〜〜〜♪」「「「〜〜〜♪」」」


 明日からしばらくログインできない、こっちに来れないことをスウィーたちには伝えてある。

 その間、スウィーがリーダーということで、ルピたちとラズ、シャルたちが南の島の様子を見に行ってもらうことに。

 パーンやトゥルーたちは行きたければ、で、アトたちギリー・ドゥーはミオンがいないなら森にいるらしい。


「じゃあ、まずはシャルたちと合流しようか」


「はぃ」


 ………

 ……

 …


「〜〜〜♪」


「ジュジュ!」


 幸蓉樹の樹洞を出ると、キジムナーたちがびっくりしている様子。

 見た感じ、樹洞の上に飾られている翡翠の女神の木像をお祈りするために来てたらしい。なので、


「「「ジュジュ〜!」」」


「ぁぅ……」


 キジムナーたちに囲まれるミオン。

 みんなが「女神様が来た!」って感じかな。


「シャル、レダ、ロイ。ミオンたちは任せるよ」


「ニャ!」「「バウ」」


「俺とルピで、アズールさんとベル部長を迎えに行くから」


「は、はぃ」


 昨日の夜はちゃんと話せなかったので、今日の昼飯の時にまず美姫と、そして真白姉にも説明した。


「さすが兄上よの!」


「ふーん、なんか面白えことしてんじゃん」


 南の島のことはいずれは公表されるだろうし、真白姉に隠し続けてもシーズンさん経由で知ることになるよなというのもあって。


「真白姉も来る?」


「いや、あたしは別に約束あるからな」


 そう言ってニヤリとする。

 シーズンさんと二人、魔術士の塔の南、エルフの住む森に戻るそうで、昼飯が終わった後はすぐにIROへ行ってしまった。

 俺たちはバーチャル部室でベル部長に説明。フリーズはしなかったものの「やらかし」とか「すごい」とかいつものやりとりをして、まずはアズールさんと来てもらうことになった。


「ワフ〜」


 アームラの林を軽快に駆けていくルピ。

 コボルトたちはこっちには来ないみたいなんだよな。やっぱり奥に教会があったり、コテージのあたりがセーフゾーンだったりするからかな?


「そろそろ、連絡するか。えー、アズールさん、今、大丈夫ですか?」


『あ、ショウ君! 話は聞いてるし、今から行くね!』


「あ、はい。お願いします……」


 説明しなくていいのは助かるんだけど、いろいろと話が盛られてないか心配になってきた。

 おっと、ルピが待ちきれない感じでこっちを見てるし。


「ごめんごめん。じゃ、遺跡前までかけっこしようか」


「ワフ!」


 本気になったルピに勝てるわけがないんだけど、それでも全力で走る!

 コテージの直線でどんどんと差が広がっていって、それでもルピが手加減してくれてるっぽいな。


「ワフ〜」


 古代遺跡へとつながる階段前に到着。

 先にゴールしてドヤ顔のルピをこれでもかと撫でて褒めていると、


「やー、久しぶりー。ってほどでもないかな?」


「あ、どもっす」


 相変わらず気易いアズールさん。その後ろからベル部長とセスがゆっくりと歩いてくる。

 昨日のことはベル部長の方から説明があったみたいで、アズールさんも当然キジムナーたちを応援したいとのこと。

 ただ、


「この件について、僕たち竜族が直接手を出すわけにはいかないんだ。ごめんね」


「あー、なんとなくですけど、わかります……」


 竜族が直接庇護している種族ならともかくなんだろうなあ。

 どこかで線を引かないと、無限にヘルプを求められる存在になるわけだし。


「まずはキジムナーちゃんたちに紹介してもらえるかしら?」


「りょっす。じゃ、歩きながら」


 コテージを西に、キジムナーたちの集落へと向かう。

 途中でアームラの林を抜けるんだけど、白竜姫様へのおみやげということで、いくつか採集してアズールさんに渡しておく。


「ワフ」


「ここです。こっちの砦から先がキジムナーたちの集落ですね」


「ふむ。木造の砦は、キジムナーたちのポリシーなのか?」


「うーん、どうだろ。この砦以外の部分は石垣があるらしいし、そんなにこだわりはないと思うんだけど」


 そもそも石垣を作ったのはキジムナーたちじゃない可能性があるんだよな。

 その話はまだしてないし、しなきゃなんだけど、


「クルル〜♪」


「うん、ただいま」


 砦の入り口に近づいたところで、ラズが走ってきて俺の体を駆け上がり、フードの中へと収まる。


「ジュジュ〜。ジュ?」


「ありがとう。あ、こっちはお客さんで、悪い人じゃないから」


「ジュジュ!」


 いきなり知らない人を連れてきたのはまずかったかな?


「ショウ君、おかえりなさい」


「うん、ただいま。アズールさんたちを……あれ?」


 振り向くと、アズールさんがキジムナーたちに囲まれて、握手会みたいな状態に。

 なんで? ドラゴンなのがバレてる?


「ジュジュ〜」


「ガジュ、昨日ぶり。あ、ちょっと見させてね」


 そういえばガジュを鑑定してなかったのを思い出し、一応断りを入れてから、


【キジムナー(首長):ガジュ:尊敬】

『妖精キジムナーの首長。代々、首長を受け継いでいる』


 ガジュは首長なんだ。

 で、もう一度、キジムナーのところを、


【キジムナー】

『幸蓉樹の妖精。善悪を見極める目を持ち、善き者には幸福を、悪しき者には報いを与えるとされている』


 この善悪を見極める目って、ひょっとして真贋のこと?


「どうしました?」


「あ、うん。後で話すよ」


 それはそれとして、ベル部長とセスを先に紹介しておこう。ガジュに話しておけば、みんなに伝わるだろうし。


「状況はわかったわ。改めて確認なのだけど、『白銀の館』のコアメンバーはこの島に呼んでもいいのよね?」


「はい。ルピたちがいれば大丈夫だとは思うんですが、やっぱり心配なんで」


 その言葉にミオンも頷いてくれる。

 俺、セス、ミオンが水曜夜まではログインできないからなあ……


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