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第468話 よそはよそ、うちはうち

土曜日

「そろそろ、昼飯作るか」


 旅行で溜まってた洗濯物、真白姉の分も含めて全て干し終えた。

 真白姉と美姫は、顔見せとおみやげを渡しにナットの家、柏原家に行っている。

 この時間になっても帰って来てないってことは、向こうでお昼をご馳走になってるんだろうし、そういう時は、


「おーい、ショウ!」


「おう、久しぶり」


 入れ替わりにナットが遊びに来る。お惣菜を持って。


「これいつものと、合宿の土産な」


「さんきゅ。飯作るから待っててくれ」


「おう」


 おみやげは定番系のお菓子だろうからそれはいいとして、お惣菜は……ひじきの煮物がどっさり。

 真白姉と美姫がいるってわかってて、やや苦手なのを渡してくるあたり、さすがナットのお母さんだなと。


「合宿でどうだった?」


「沖縄は初めてだったし楽しかったな。飛行機は……まあ、うん」


 来年は船でとか無理かな……無理だろうなあ。


「そうじゃねえよ。出雲さんとの仲は進んだのか?」


「お前はいいんちょとどうだったんだ?」


「……」


 特に何もなかったようだ。

 普通の体育会系の部活なら、そんなもんだよな。部自体、ナットが陸上部で、いいんちょが弓道部だから接点少ないだろうし。

 沖縄での話をしつつ、さくっと昼飯を作り、


「こんなもんか。これ」


「おお! めっちゃ美味そう……」


 ナポリタンスパゲティを大盛り2人分。粉チーズはお好みで。

 冷たい玄米茶は、いつも通りナットが勝手に冷蔵庫を開けて用意してくれた。


「「いただきます」」


 学校にいる時は、ミオンもいいんちょもいて、だいたい話しながら食べるけど、サシの時はお互い無言。

 小さい頃の早く食べ終わって遊びたいっていうのが染み付いちゃってるせいなんだろう。


「ふう。ごっそさん」


「おそまつさま。ちょっとケチャップ入れすぎた?」


「こんなもんじゃね?」


 コーヒーを淹れつつ、お皿を軽く水洗いだけ。

 やっぱり食洗機欲しいな……


「沖縄からもIROやってたんだよな?」


「ああ、部活だしな」


「古代遺跡の新たな管理者ってお前じゃね?」


 そりゃまあ、俺が一番怪しまれるよな。本土でそんなことがあったら、誰がってすぐバレるんだろうけど、未だわからずじまい。

 あと可能性がありそうなのは、氷姫アンシアか天然ラムネだろうけど、そのどっちでもないとなると……


「不正解。俺じゃないぞ。ただまあ、誰がなったかは知ってるし、そのうちお前んところのギルドとも絡みはあるだろうし」


「ああ、なんとなくわかったけど、教えてもらっていいのか?」


「公表するまでは内緒な」


 ってことで、転移魔法陣を渡した『白銀の館』が、その転移先の南の島で古代遺跡を見つけ、魔女ベルが管理者になったことを伝えておく。


「それって交易とかってどうなんだ?」


「公表するのも夏休み明けって話だし、観光メインで交易もインベントリで運べる分ぐらいじゃないかな」


「なら、船の出番は全然あるか」


「もう外洋に出られそうなのか?」


「いやいや、外は当分先だって」


 ナットのところの『妖精の友』は順調に開拓地を広げ、港もほぼ完成という状態。

 ベル部長たちが作る港との交易も、かなり現実的な感じになってきたらしい。


「ま、本番はこれからだ。船作って走らせるのに航路がってなるぜ?」


「海にモンスター出るよな?」


「そりゃ出るだろ」


 そう言って笑うナット。

 海に出るモンスターっていうと、サハギンとかそういうやつ? クラーケンが出て船ごとやられたら洒落にならないよな。


「あと、ワールドクエストが近々始まるかもって話は知ってるか?」


「え? マジで?」


「その古代遺跡の新たな管理者ってワールドアナウンスが出た後ぐらいから、公式フォーラムのワールドクエストのスレッドが変わったって聞いたぞ」


 週明けからじいちゃん家に行くんだけど、その間に始まったりしたら……いや、俺とミオンは関係ないから別にいいや。


***


「準備できました」


「りょ。じゃ、出発〜」


「ワフ〜」「〜〜〜♪」「クルル〜♪」


 ナットが帰ったのは午後1時すぎ。

 しばらくしたら、入れ替わりに真白姉と美姫も帰ってきて、そのままIROへと。久しぶりに姉妹でドワーフのダンジョンへと潜るらしい。

 いつもなら「翔太もついて来い」って言われるパターンなので、無人島スタートしてて良かったなと。


「ニャ!」


「おはよう」


 教会の横手、ヤコッコとエクリューの飼育小屋で働いてくれてるシャルたちと挨拶を交わす。

 ちょっと行ってトゥルーと話してくるだけだけど、ミオンの護衛についてくれるというので一緒に行くことに。

 裏手の畑にパーンの姿はなかったので、ウリシュクたちと挨拶だけ交わして、古代遺跡へと。


「あ、そうだ。ニーナ、聞きたいことがあるんだけど」


[はい。質問をどうぞ]


「この古代遺跡、この施設を拡張することって可能なの?」


[はい。可能です。現時点において、西側斜面へと繋がる魔導線は拡張であると言えます]


 ああ、そっか。

 山小屋まで魔導線引いたのも、拡張っちゃ拡張なのか。


「じゃあ、例えば、この壁を掘っていって、新しい部屋を作るとかも可能ってことだよね?」


[はい。可能です。ですが、その場所は慎重に調査すべきです。本施設の場合、掘削した先から溶岩が流れ出てくる可能性があります]


 そりゃそうか……

 溶岩は最悪ケースだろうけど、地下水脈にぶち当たったりする可能性もあるよなあ。


「ぁの、ショウ君は何か考えがあるんですか?」


「ううん、考えがあってじゃないよ。南の島にある採掘施設って、地下11階から拡張したって聞いたから、うちでも同じようなことができるのかなって」


 まあ、できるってわかったところで、特に何をって感じだけど……


「なるほどです」


「ああ、でも、鍛治場の向かい側に、ちょっとした倉庫は作りたいかも」


「倉庫ですか?」


「うん。南の島で戦ったポリモゴーレムの残骸とか、採掘した鉱石とかインゴットとか置きっぱなしになってるから」


「ぁ、そうですね」


 あの残骸、そのまま古代魔導炉に放り込んでもいいんだけど、アズールさんの調査結果を待ってからでもいいかなと。

 そういえば、ポリモゴーレムって球体から四つ足に変形してたけど、あれってアズールさんが持っていったコアで設定されてるのかな?


「どうしました?」


「いや、あのゴーレムが変形する仕組みがわかれば、何か面白いものが作れたりしないかなって」


 変形する何か……剣とかあると面白そうなんだけどなあ。それが特殊剣だったら、なお良しなんだけど。


「名も無き女神像もそうかもですね」


「あー」


 マナを注ぐと、思い描いてた女神像になる仕組みってそれ?


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