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第420話 繋がる話と見えない意図

 ベル部長とヤタ先生には伝えたので、改めて美姫にもミオンが島に来れたことを伝えた。

 で、なんか意外と冷静に受け止められて、俺の方がびっくりっていうか、


「全然、驚かないんだな?」


「予想よりは随分早かったが、いずれはと思っておったしの。それに、これで姉上にも良い報告ができるというものよ」


 と食後のデザート、焼きプリンを満足そうに頬張る美姫。まあ、うん……

 俺がギルドを作ることも含め、いろいろと聞きたいことがあるらしいんだけど、ベル部長もいるところでという話になって、バーチャル部室へ。

 待っていたのはミオンとベル部長の2人。何やらベル部長のアーカイブを見ている。


「どうしたの?」


『ギルドの魔導具の使い方を見せてもらってます』


「うわ、助かります」


 ギルド設立時の設定の流れなんかを、アーカイブを見ながら説明してもらってたそうで。

 ギルドマスターは俺がやることになるけど、ミオンには当然サブマスターをやってもらうつもりでいる。

 ギルドのメンバー一覧が他人から見えると、ミオンが島にいることがバレちゃうかと思ったんだけど、そういう機能はないとのことで一安心。


「セスちゃん、話は聞いたの?」


「うむ。ミオン殿が兄上の島に来れたということなら聞いておる。どうやったかという手はずもの」


「で、いろいろと聞きたいことってなんだ?」


 結構、話せる部分は話しちゃったと思うんだけどな。


「兄上が持つ、もう一つの転移魔法陣はどこに繋がっておる?」


「……」


 ミオンを迎えに行くことに考えが行っちゃってて、そっちの話をすっかり忘れてた。


「これは我の推測であるが、そちらは死霊都市に繋がっておるのではないか?」


「確かに転移魔法陣を試すのに、片方だけというのも不自然ね。でも、どうして死霊都市に繋がってるという推測になるのかしら?」


「死霊都市にある、兄上が送ったと言われておる翡翠の女神像よの」


 セス曰く、俺があの等身大の翡翠の女神像をアズールさんに運んでもらったという話に違和感があるらしい。

 つまり、島で翡翠の女神像にしたのをアズールさんがドラゴンの姿で運んだのだとしたら、その瞬間が誰かに見られているはずだと。

 それに、馬鹿でかい聖域が発動したタイミングからして、その直前に運び込まれていたはずでっていう……


「ちょうど兄上に、死霊都市の教会に女神像を置くと聖域ができる話をしたばかりでもあったしの」


「よく覚えてるなあ……。まあ、今さら隠してもしょうがないけど、もう一つの転移魔法陣、山小屋の地下にあったのは死霊都市に繋がってるよ。でも、翡翠の女神像を運んだのはアズールさんで間違いないぞ?」


 純粋に俺だと持ち上げられなかっただろうし。


「その転移魔法陣の行き先もアズールさんに聞いたのかしら?」


「いえ、転移魔法陣の行き先、対になる転移魔法陣の情報は、ニーナに聞けばわかるんで」


「ほほう!」


 個体番号だっけ? それをニーナに伝えれば、対になる方がどこにあるか教えてくれるって話を。ただ、地理的な名称は当時のものだからなあ。


「山小屋にあった転移魔法陣は最初に聞いた時に、中央先端なんとかって言われて、それどこだよってなって……」


『中央先端魔導研究所ですね』


「それそれ。それが今の死霊都市だっていうのはアージェンタさんに教わって、誰かに取られたらまずいってことで、俺が確保をお願いしたんだよ」


「む? ということは、竜族は兄上のためだけにあの場所を確保しておるのか?」


 そう言われると、やっぱりめちゃくちゃお世話になっちゃってる気がするな。

 あー、でも、死霊都市の厄災がまた起きたら、白竜姫様が死ぬ思いをしないといけないって話もあるのか。

 魔王国も警戒してるって言ってたし……


「うーん、最初はそうだったんだけど、厄災がまた起きないようにとか、他にもいろいろ理由はあるけどな」


「ふむ。はっきりしたことは言えぬということか」


「まあ、こみ入った事情もあるし。アージェンタさんに許可もらえたら話すけど?」


 その答えに考え込むセス。

 竜族と魔王国との関係はかなり微妙な感じで、おそらくこの先の展開にも絡むはず。俺と一緒で過度なネタバレが嫌いなセスに話すのはどうかなと。


「私からもいいかしら? じゃあ、ショウ君はいつでも死霊都市に来れる状態っていうことよね?」


「っす。まあ、よっぽどのことがない限りは行かないですし、誰かを呼ぶつもりもないんで」


 ミオンが隣でうんうんと頷いている。

 落ち着いたら、ベル部長たちは呼んでもいいかなって思ってるんだけど、


『あ、部長やセスちゃんが遊びに来るのはいいですよ』


 ニッコリのミオンになんとなく圧が……


「そ、そんなつもりはないわよ。ねえ?」


「うむうむ。馬に蹴られる趣味はないのでな」


 顔を見合わせてそんなことを言う二人。


「じゃあ、それを島の産物のやり取りに使うつもりもないの?」


「ないです。そっちはアージェンタさんかアズールさんが受け取りに来てくれますし、転移魔法陣はできれば早めに回収したいぐらいで……」


 あの塔にある転移魔法陣は島に回収して、島内の移動に使いたいんだよな。

 元々そのつもりで確保してもらってた話をしたんだけど、


「もったいないわねえ」


「俺としては島を便利にする方に使いたいっすね」


「今、それができておらんのは、やはり死霊都市にある転移魔法陣が動かせんからか?」


「あー、その通りだよ」


 あれもどうにかしないとなんだけどなあ。

 副制御室の非常用魔晶石を用意できればだけど、島が一段落したらなんとかする方法を考えないと。


「そういえば、新しいPVで映っていた魔王国の王女様、デイトロンさんが会ったことがあるそうよ?」


「は?」


 王女様って、アージェンタさんが(ぬえ)だとか言ってた女の人だよな。妙な関西弁みたいな話し方してた。

 デイトロンさんは、前に聞いためっちゃ先読みできる商人さんだっけ。あと、ライブで投げ銭がすごい人……


「南側の教会の地下から中心部へと繋がる道があることは話したであろう。その途中にある死霊都市の副制御室を調べに来ておったらしい」


「そこに合う大きさの魔晶石を用意できれば、街の機能を復活させることができるかもという話も、デイトロンさんがその王女様から聞いたかららしいわ」


 デイトロンさんも、その時のことはPVで魔王国の王女様が登場するまでは伏せ気味に話していたらしい。

 まあ、いきなり「魔王国の王女様が〜」みたいなこと言われても、信ぴょう性ないもんな。


「ちなみにその時、王女様を案内してたのはアンシアさんらしいわ」


「うわぁ……」


 ってことは、あの時の前後か!

 何を考えてるのかさっぱりわからないんだけど、やっぱり関わり合いになりたくないし、早めに転移魔法陣を回収しないと……


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