第399話 優秀な島民たち
「リュ! リュリュ?」
「あー、いや、あのレッドマルスは竜族から貰ったものなんだよ。だから、ここで育てるための苗木はなくて」
「リュ〜……」
しょんぼりするパーン。
お昼のうちに作ってあったアップル……レッドマルスパイをパーンやシャルたちにも振る舞ったら、それはもう大喜びっていう。
で、当然なんだけど、
「〜〜〜!」
「リュリュ!」「ニャニャ!」
スウィーやフェアリーズも大喜びだったわけで、レッドマルスの木を探すべきだ! みたいな話をしている。
一応、俺が苗木をもらうのは、この島に見つからなかった場合だけっていうのを尊重してくれてるみたいだけど、
『ショウ君があんなに美味しそうなアップルパイを作るからです……』
「あー、うん。今度またご馳走するから」
そんな会話をしてる間も、
「ニャ?」「リュ〜」「〜〜〜♪」
妖精たちの会議が俺の後ろで進行中。
それはもうお任せするとして、俺は俺でやることがある。
「ワフ」「「バウ」」
「見回りご苦労様」
屋敷の玄関前で、周囲の警戒に出ていたルピ、レダ、ロイが出迎えてくれる。
しっかりと褒めて、撫でてあげることは忘れずに。
「じゃ、俺は床板の張り替えとかするから、レダとロイは引き続き周囲の警戒とかよろしくね」
「「バウ!」」
セーフゾーンになってはいるものの、川の向こうからモンスターがやってこないとも限らないので。
『ショウ君。お昼に綿の種を渡し忘れてますよ』
「え? 綿の種? ああ! 綿花か!」
『はい』
レッドマルスが送られてきたせいで、すっかり忘れてた……
魔導艇でいった先の草原で見つけたフロスコットン。その種を両手いっぱいに採ってきたので、屋敷の前、水路の手前あたりで栽培してもらうつもりだった。
「スウィー、パーン、ちょっといい?」
「〜〜〜?」「リュ?」
「これ、詳しい説明はスウィーからお願いなんだけど、綿毛から糸が作れるはずだし、そこから布が作れるんだ」
織物までどうするかは、まだ解決できてないことも伝えておく。
「本土だとどうしてるんだろう?」
『NPCさんにお任せすればいいんじゃないでしょうか』
「ああ、そうか。綿毛から糸とか布にしてくれるNPCがいるんだ……」
もちろんお金は必要なんだろうけど、お任せできるのはいいよなあ。
まあ、そこはしょうがない。無人島スタートを選んだ以上、全部自力でやるつもりだったし。すでに妖精たちの力を借りてはいるけど。
そんなことをミオンと話しているうちに、パーンがウリシュクを数人呼んで、どこに植えるかの説明をしてくれている。
「「「リュリュ!」」」
「ありがとうな。じゃ、俺たちは屋敷の床を直そうか」
「リュ!」
パーンには俺の助手として付き合ってもらう。
付き合ってもらうっていうか、パーンの方が上手いかもなんだよな、大工仕事。
とはいえ、俺もやって大工スキル上げないと……
………
……
…
【大工スキルのレベルが上がりました!】
お、きた!
『おめでとうございます!』
「さんきゅ。これで9……あと1上げたいなあ」
10になれば、ノミが大工+1だから上限突破できて、上級スキルの建築が取れるはず。
そうすれば、床板の貼り直しとかももっと楽にできそうなんだよな。
『でも、随分と床が綺麗になりました。これなら住めますね』
「うん。床の残りと壁が終わったら、家具を作らないとね」
そっちは工芸(木工)があるから楽ちん。
じゃ、残りの床も張り替えていくか。
『板の床はいいんですが、石やタイルになっている部分はどうしますか?』
「そっちはゴシゴシやってみて、ダメならもう剥がそうかなって。石畳は魔法で出せるし、タイルも粘土を焼けばいいし」
『なるほどです!』
床が石になってるのは、翡翠の女神像がある祭室、蔵と蔵前室。蔵前室の方は新しい石畳を置く方が早いかな。
厨房、浴室、お手洗いはタイルになってるけど、こっちはゴシゴシやって綺麗にしてから浄化で。それがダメなら張り替えで行こう。
「じゃ、続きをやろうか」
「リュ〜!」
………
……
…
『ショウ君、そろそろ11時になります』
「あ、さんきゅ。さすがに一日じゃ終わらないか」
『それでも随分進みました』
屋敷の三分の一ぐらいは綺麗になったかな。
寝室、書斎、応接室と床板を張り替えたところでタイムアップ。
「ま、明日もあるし、いいか」
『はい。ライブでも作業しますか?』
「あー、明日はミオンの翡翠の女神就任パーティーにするよ。ヤタ先生とも相談してだけどね」
『ありがとうございます!』
アップルパイは作ったし、タルトがいいかな。オーカーナッツをアーモンドパウダーの代わりにしても良さそうだし。
「じゃ、終わりにしようか。パーンは他の子たちを迎えに行ってあげて」
「ワフ」「リュ」
ずっと手伝ってくれてたルピとパーンを労ってから、道具を片付ける。
パーンは俺と同じ作業を別の場所からやってくれてたし、ルピは俺の癒しの存在なので。
「おーい、今日は終わりにするよー」
裏庭に出てそう呼びかけると、テーブルの上でラズを枕に昼寝してたスウィーが目を覚ます。すっかり仲良くなってるな、この二人。
レダとロイ、フェアリーズにカーバンクルたちもやってきて、
「「「リュリュ〜」」」
パーンもウリシュクたちを連れてきてくれた。フロスコットンはしっかり植え終わったことと、収穫した野菜なんかを木箱で渡してくれる。
「あれ? シャルたちは?」
「ワフ」
シャルとケット・シーたちがいないなと思ったら、教会へと続く道の方を向くルピ。そこにはシャルを先頭にケット・シーたちが何かをかついで……グレイディア!?
「ニャ!」
しゅたっと敬礼するシャルなんだけど、
「これ、捕まえてきたの?」
「ニャニャ〜」
「ああ、俺が仕掛けた罠を見に行ってくれてたのか! ありがとうな!」
『シャル君たちもすごいですね!』
シャルの話だと、元いた島でもバイコビット狩りとかはしてたそうだ。
今日は若い子たちのトレーニングも兼ねて、俺が仕掛けてる罠を見に行ってくれたらしい。で、掛かってたので獲ってきたとのこと。
「ニャニャ?」
「うん。じゃ、解体は俺がやるよ。ウリシュクたちにも分けような」
「ニャ〜♪」
「リュ〜♪」
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6/24 第397話 夏休み! 〜 本話まで










