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第4話 一人のんびり

「やっとインできた。配信どうするかな……」


 前に来たミオンさんはまた来るとか言ってたんだよな。

 うーん、まあ大勢に見つかってめんどくさくなったら、配信やめればいいか。

 当面はデフォルト設定のまま垂れ流しで。


 それはそれとして、昨日作りかけだったテントを作らないとな。

 放置してあった流木は……っと残ってるな。よしよし、一安心。


「ふんふん〜♪」


 流木を三脚に二組作ると、その上に背骨となる流木を渡してフレーム完成でいいだろう。後はこれに布がわりの……やっぱ葉っぱしかないかな……


 ま、テントに近いところから葉っぱ探しつつ島の探索かな。と、視聴ユーザーが1人になった。


【ミオンが視聴を開始しました】


『こんにちは』


「ミオンさん、こんにちは」


『気になったので見に来ました』


「どもども。あんまり面白くない気がするけど」


『そんなことないですよ』


 酔狂な人だなと思いつつサムズアップしておいた。


「さて、まずは島の南東側から探検しますか」


 セーフゾーンは南の砂浜。反時計回りに行くことにする。

 昨日ちょっとだけ奥へ進んだ林は基本的に南国系の樹木が生い茂っているので、この辺りのでかい葉っぱを持って帰れば良さそうだな。


「お、兎だ」


 投石からのダガー。はい、解体。お肉ゲトー。

 インベに放り込んで更に奥へと進む。


「んー、インベントリって増えるのかな?」


『バックパックとか装備するらしいです』


「おー、なるほど。となると、裁縫スキルどっかで取らないとかな」


『一人で全部できるようになるつもりですか?』


「ですよー。俺はこの島で一人のんびりするのが目的なんで」


『MMORPGで一人のんびりなんて初めて聞きました』


「あはは」


 どうも多人数でプレイするとサポート役に周りがちで、いまいち楽しめない自分に気づいてしまう。

 特に姉貴と愚妹がいると、家にいるのとほとんど変わらない。二人を楽しませるために奔走するはめになるし……


 サクサクと奥へと進んで行くが、出てくるのはウサギモンスターのバイコビットばかり。サクッと倒して……


【キャラクターレベルが上がりました!】


「お、キャラレベ上がった」


 おお、レベルアップ!

 IROはレベルが上がるとボーナスポイント(BP)がもらえて、それをスキルポイント(SP)かステータス上昇に割り振れる。

 当然、振っちゃうとBPには戻せないので注意が必要なんだけど、BPは100までしか溜めておけないと。


『おめでとうございます』


「どもども。とりあえずは全部ステータスかな」


 無人島スタートした時に特殊褒賞でもらったSPがまだ余ってるし、基礎となるステ上げを優先しよう。

 STRに3、DEX・INT・VITに2ずつ、AGIに1、LUKはスルー。一人でいろいろやんなきゃだし、極振りはなしっと。


「ん?」


 なんか茂みの向こうにいたような気がしたけど気のせいか?


『今、茂みの奥に何かいませんでした?』


「やっぱ、なんかいたよな」


 俺は焦る心を落ち着かせ、取得可能スキル一覧を眺める。

 あ、あったあった。これ最初に取っておくべきだったな。

 ポチッと。【気配感知:Lv1】を取得。基本的なスキルはだいたいSP1で取れるっぽい。常時発動になるスキルは便利そうなの全部取っておくべき?


「ん? やっぱりいる……」


 更に【気配遮断:Lv1】を取得して発動させる。気休めかもしれないけど。

 そろそろと足音を消してるつもりで、気配がする方へと進む。


「アレか」


 しゃがんで茂みから覗く先には、わかりやすいゴブリンがいる。


『やっとRPGっぽくなりましたね』


「確かにそうっすね」


 苦笑いしつつミオンさんに答える。

 ゴブリンはしばらくキョロキョロしたのち、諦めたのか去っていく。


『あれ? 倒さないんですか?』


「まー、見てなって」


 去っていくゴブリンをギリギリの位置から追跡すると……


「ほら、やっぱりゴブリンの集落だ」


『すごいです!』


 とりあえず、目につくゴブリンの数を数えた後、コソコソと元の場所まで戻ってきた。


『戦わないんですか?』


「んー、見えるだけで20匹ぐらいいたでしょ。流石にソロじゃ無理だろうなって」


『なるほどです』


「いずれは倒したいけど、何か方法を考えないと……」


 ま、今のところは保留。

 この島には自分しかいないんだし、しばらくレベル上げとかして、ちゃんと準備してからだな。


 ゴブリンの集落を避けつつ島の東側の探索に戻る。海岸沿いは大体が岩場になってるのか。


「釣りとかできそうだけど。うーん、スキル取るか迷う……」


『釣り、いいですね!』


「いいよね。スローライフっていうと釣りって感じあるし。木工あるし釣竿ぐらいは作れるはずだけど……。あ、でも針も糸もないじゃん」


 海岸沿いを樹々の合間を縫うように進んで行くと、やがて断崖絶壁へと辿り着いてしまう。


「んー、北側に行く方法、なんか特別な道がありそう。それかクエスト?」


『そうなんです?』


「ゲームのお約束って感じかな。ミオンさんはあんまりゲームとかしないの?」


『見るのは好きですけどあんまり。反射神経とか良くないので』


「へー、じゃあ、じっくり考える時間があるターン制ストラテジーとかいいかも」


『この放送を見に来れなくなるじゃないですか』


「うーん、この配信見てるよりも有意義じゃない?」


『そんなことないですよ。それに学生なので長くゲームできないですし』


 あ、うん、俺も学生です。ごめんなさい。


 ミオンさんとぐだぐだと会話しつつ、ゴブリンの集落を避け、大きな葉っぱを何枚も採集して戻り。


「まあ、ざっくりでいいか」


 葉っぱをテント(仮)のフレーム(仮)に編んでぶら下げていくと、一応それっぽい物に……見えなくもない。


「おお! 中は日差しが遮られていい感じだ……って地べたじゃねーか!」


『あはははは』


 ウケたようで何より。それはいいとして、まあ何か敷かないと。


「うーん、藁なんてないしなあ……」


『兎さんの皮って手に入らないんですか?』


「そういやそうだ。なんで手に入らないんだろ。解体のレベル上がれば?」


『小さいからとかですかね』


「あー、それもあるか。猪とかいればなー。倒せるか微妙だけど」


 まあ、スキルもレベルも角兎――バイコビットを狩って微妙に上がってはいるので試す価値はあるか。

 明日は西側を調べるとして、ゴブリンの集落もどうにかしたいしなあ。

 やることありすぎてヤバい……


『そろそろ日付が変わりそうなので、今日はお先に失礼します』


「あ、はーい」


 てか、俺もそろそろ寝ないと。

 試しにここで寝てログアウトするか……


 このゲーム、『就寝ログアウト』でないと、ログアウト中はMPが回復しないらしい。

 昨日は立ったままセーフゾーンの砂浜でログアウトしたら、MP全然回復してなかったし。

 明日入ったら、テントも壊れてて死んでたら泣く……


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