表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

395/634

第348話 季節の移り変わりと地域差

水曜日

「え? 梅雨入り? リアルじゃなくて?」


「おう。IROの中でも梅雨の時期に入ったらしいぞ。まあ、梅雨じゃなくて雨季って呼ばれてるけどな」


 外はしとしと雨で、昼食は教室。

 昨日梅雨入りしたという話が、リアルだけでなくIROのゲーム内でもらしい。


「お待たせ」


「ん」


 ミオンといいんちょがやってきて、そろったところでいただきます。で、


「ゲーム内でも梅雨入りするんだ……」


「島はどうなんだ? 気候は本土とあんま変わんねえんだろ?」


「と思う。で、昨日ちょうど散歩中に降られたんだよなあ」


 読書が捗ったのでそれはそれでなんだけど、ずっと雨が続くとそれはそれで辛い……

 ルピたちが散歩できないとストレスになりそうだし。


「ゲーム内の梅雨って地域で変わったりする?」


「どうだろうな。俺らがいる王国の南西部は梅雨入り、雨季入りが早いって聞いたけどな」


「私たちがいる北西部はまだかしら。でも、昨日はずっと曇り空だったわね」


 やっぱり南の方が早いのか。

 結構、日本と同じような感じの季節の移り変わりをするっぽいなあ。


「ショウ君。冬……」


 ん? 冬……


「え? ひょっとして、冬になると雪降るのか?」


「降るんじゃねーの? 俺らがいるところは大したことねえだろうけど……」


「アミエラ領は冬はかなり雪が積もるらしいわよ。建物の作りも積雪に耐えられるような感じだもの」


「あー、家建てるの手伝った時に言われたな。雪降るからそのつもりで頼むって」


 マジか……

 島って雪降るのかな? まめに雪降ろししてれば大丈夫?


***


「こんにちは」


『こんにちは』


「ちわっす」


 部活の時間。

 ミオンとゲーム内の冬が来たらどうなるんだろうという話をしてるところに、ベル部長が現れた。


「あら、どうかしたの?」


「いや、なんか、ゲーム内の梅雨入りの話を聞いて、冬とかどうなるのかって話をしてたんですが……」


「なるほど。本土はともかく、島だと心配よね……」


 ベル部長たちがいるアミエラ領の北西は白竜山脈の麓にあるので、かなり雪が降るという話をいいんちょがしてた。

 ただ、元々そういう地域なんで備えはしっかりしてるし、いざとなったら王都まで避難すればいいわけで……


「最悪、古代遺跡の中に籠るしかないのかな」


『トゥルー君やパーン君たちはどうしてるんでしょう?』


「セルキーは平気じゃないかな。アザラシって寒いところにも住んでたような……」


 確か北極圏とかに住むアザラシもいた気がするし。


「ええ、そうね。寒さに対しては皮下脂肪が……あの服かしらね?」


『なるほどです!』


「あと、パーンたちは住んでる洞穴があったかそうだし、食料さえ確保できてれば問題ない感じ?」


 あのウリシュクたちの洞穴って、火山に面してる場所だし、地熱で暖かかったりしそう。ちょっと羨ましいかも。


「ショウ君の島には亜熱帯な植物が生えてる場所もあるのよね? 気にしすぎじゃないかしら?」


『あ、そうですね』


「まあ、無人島スタートできることを考えると、寒くて住めなくなる土地ってわけじゃないか……」


 そういえば、例の『記録』を残した人は冬はどうしてたんだろう……


***


「はい。しっかり食べろよ」


「ワフ!」「「バウ!」」


 ルピとレダ、ロイに厚切りのトンテキを。

 ライコス(トマト)ソースで召し上がれ。


『そういえば、ラムネさんの話は聞いてるかしら?』


『え? なんか動きがあったんですか?』


 ベル部長はIROに行かず、ミオンのスタジオに。

 昨日の夜、南側の見回りに行く前に「死霊都市で食事メインの交流会とかできますか?」って手紙を送ってたので、その返事が来てれば……来てなかったんだけど、そのまま雑談中。


「古代遺跡を見つけた後に何か?」


『鉱床があったそうよ。ショウ君の島のと似た感じらしいわ』


「へー。まあ、無人島スタート用なんでしょうね」


 で、鉱石だけあってもしょうがないんだけど、廃村だった村にちゃんと炉だったりがあったそうで、それなりの装備が作れるようになったと。


『ただ、魔銀(ミスリル)は出ないらしいわ』


『ショウ君の島の方が優秀ですね!』


「別にそれは比べなくても……」


 うちの島の方が設備もろもろいいのは偶然……でもないのか。

 本土から遠い方がエンドコンテンツって法則なら、相応のものがあるんだろうし。


「あっちの島は建国宣言してるし、他のプレイヤーもいて、島の攻略も早そうですね」


『どれくらいの人が参加してるんでしょう?』


『聞いた話だと、まだ30人ぐらいらしいわよ』


 あれ? 意外と少ない?

 いやいや、良く考えると天然ラムネのファンで固まってるところに、知らない人間がぽんと行ったりはしないか。


「それくらいの人数なら、結構ちゃんと統率取れてやれてそう?」


『ラムネさん本人はともかく、ファンの人たちはお世話焼きの人が多いものね。ただ、しばらく間が空いてたせいもあって、既に本土スタートしてる人も多いらしいわ』


「そりゃそうか……」


 IROが出てから三ヶ月になろうとしてるし、ゲーム好きな人ならハードさえ手に入ってればプレイしてるだろうなあ。


『あとは魔王国アップデートが来てからを待ってる人も多いみたいね』


『この前のPVに7月下旬とありましたから、それまで待つんでしょうか?』


『ええ。新しく選べる種族が増えるのは間違いないでしょうから』


 ミオンの公式女神就任発表もそれと同時になるのかな?

 そろそろ仕事の連絡がちゃんと来てても良さそうだけど……


「ワフン」


「うん。ごちそうさま」


 食べ終わった食器を洗いつつ、雑談することしばし。

 残りの時間は読書に費やそうかな。


「本読むから、ルピたちは好きにしてていいよ」


 そう告げると、レダとロイを従えて、スウィーのいる森の方へと駆け出していった。

 今日のライブは前回の続きで教会から外へ出て、あの建物の中を調べる予定。

 その前に読書で少しでもスキルレベルが上がればいいなってぐらいで。


『ショウ君。お返事が』


「あ!」


 転送箱を開けると、手紙が一通だけ。

 さっそく中身に目を通すと……


「えーっと、オッケーなんですけど、俺が信頼できる人を代表として選んでくれって」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ2 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ3 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ4 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ5 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~
― 新着の感想 ―
[一言] 梅雨?雨季?対策??知らんけど、てるてる坊主吊るすとか晴天術式とか多分あるじゃろファンタジーだし(適当) まあ気候変動させる魔法って戦術級というか戦争で有効活用されそうなんで運営的にハイスキ…
[一言] 研究所? って四角いイメージあったから降雪量は少ないかも……しれない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ