表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/634

第22話 情報量が多すぎる

7日目(土)

 土曜日ってことでゆっくりと寝坊してから起床。

 んー、午前10時前か。ふぁ〜あ、よく寝た……


「おは……」


「兄上、おはようには遅いと思うのだが?」


「お前、朝飯は?」


 その問いに首を振る美姫。

 ご飯は予約してあって炊けてるんだし、なんか適当に作れよと思うものの、今さらなんだよな。


「ちょっと待ってろ」


 卵焼き、味噌汁、お漬物という和風な朝食を用意して食べる。


「で、お前は今日何か用事あんの?」


「いや、特にはないのう。だが、昼も夜も食材がない。買い物に行かねばならんと思うが?」


「連れてけってか。まあいいけど」


 ずずずっと味噌汁を啜る。

 この洗い物して、洗濯機回してからかな。掃除は戻ってきてからでいいか。


「なんか欲しいもんでもあんの?」


「いや? 兄上とお出かけしたいだけだが?」


「……まあいいけど」


 どっちにしてもIROは昼過ぎ。午後1時からって話をミオンとしてあるので、昼までに帰って来れれば大丈夫かな。


***


「ちわー」


『ショウ君』


 昼飯も終わって、まずはバーチャル部室の方へ顔を出す。手を振ってくれてるミオンだけでなく、ベル部長もいて何かを必死に見ているっぽい?


「二人は何を?」


『昨日の動画とお知らせについたコメントをチェックしてもらってます』


 俺が席に着くと、ベル部長がそれを終えたようで動画を閉じる。

 再生数が急に伸びた動画には、変な宣伝や怪しげなフィッシングサイトへの誘導とかが貼られるらしい。

 俺とミオンとでやる予定なんだけど、今は量も多いしってことで手伝ってもらってると。


「再生数とかどれくらいになってるんです?」


「最初の動画が20万再生を超えてるし、昨日の動画も5万再生を超えてるわ。チャンネル登録者数は4000人に届きそうだし、収益化の条件はあっという間にクリアね」


「は?」


 ベル部長の話だと、直近半年の総再生時間4000時間以上、チャンネル登録者数1000人以上が条件らしい。

 8分の動画が20万再生ってだけで総再生時間の方は楽々クリア、チャンネル登録者数ももちろんクリア。


「えーっと、もう収益化の手続きとか始めるんです?」


「もう少し先でいいんじゃないかしら。まあ、学校へは報告した方がいいでしょうね」


 部活だけどバイトでもあるっていう関係で、ちゃんと学校の承認が必要。

 去年、ベル部長の時にいろいろ揉めたらしいけど、結局、認めて良かったって話になったそうだ。

 そりゃ、あんだけ寄付されりゃねえ……


「当面は普通に動画を投稿していけばいい感じですか?」


「そうね。週に二度ぐらいかしら。特にネタがなくてものんびりとした内容の動画をコンスタントに上げていくといいと思うわ」


 まあ、実際、ミオンが可愛く喋ってるだけで満足するような気がするもんな。


『それなんですが、またショウ君が……。これはまだ編集途中なんですが、見てもらえますか?』


 ミオンがそう言って動画を共有する。

 またって何かあったっけ? って流し見してると……ルピか!


「……こんな狼は見たことないのだけど? この『?』がついた表示というのも初めてだし、種族の鑑定に失敗してるのかしら?」


 動画は助けた日の話なので、そのまま応急手当をするわけで。


「待って待って。情報量が多すぎるわ……」


「応急手当って便利そうですけど、あんまり使われてないんですか?」


「ええ、神聖魔法を取得できるせいで、応急手当ははずれスキル扱いよ。でも、MPがなくても使える点や、この代用した『仙人笹』で大成功してるのも不思議ね」


 ベル部長は呆れつつも、さっそく別の活用法を考えている風。

 で、さらにミオンがもう一つの動画、こっちは未編集っぽいが、それを見せる。


「……」


 あー、フリーズしちゃったか。


「調教スキル取ったプレイヤーとかっていないんですか?」


「クローズドベータでは未実装なんじゃないかって言われてたスキルよ?」


『オープンしてから試した人はいなかったんでしょうか?』


「これを見る感じだと、かなり友好的になった対象がいないと、そもそも取れない条件だったみたいね。

 しかも必要SPが9のレアスキル。初期プレイヤーがいきなり取るにはハードルが高すぎるわ」


 初期SP10のうち9使う勇気は俺にもないな……


「えーっと……どうしましょう?」


「どうしましょうも何も、これは公開した方がいいわ。

 いわゆるテイマーを目指しているプレイヤーたちがいるけど、情報が無さすぎて様子見という状態なのよ。

 彼らがこれを知れば、具体的なアプローチも取りやすくなるでしょう」


 あー、なるほど……

 俺の時もまず取れるっていう状態になったのが驚きだったもんなあ。で、そこでさらにSP9って言われて引いた。

 まあ、あそこで取らない選択肢はなかったけど。


「この子、ずいぶんあっさりとバイコビットを倒してるわね。これから成長すると考えると、調教はかなり強いスキルね……」


 なんかルピも調教スキルも評価が高いのはいいけど、これでテイマーだらけになったら、それはそれでどうなんだろ。

 いや、別に俺自身には関係ないからいいのか。島に苦情を言いには来れないし。


『ショウ君の行動自体はそんなに特別な気がしないんですが、他のプレイヤーさんたちは似たような状況になったりしなかったんでしょうか?』


「それはなんとも言えないわね。怪我してる動物を助けるなんてシチュエーションは、私はあったことないもの」


 とベル部長。


「そういうクエストはないんです? 俺のこれってクエストかなって思ってるんですけど」


「ああ、なるほど。ギルドで受けるようなものではなく、何かしらのトリガーで始まるクエストってことね……」


 ふむふむと一人納得というか、考察の世界へと行ってしまうベル部長。


 俺としては「無人島作ってモンスター適当に放り込んどいたから好きに遊んで」ってぐらいの作りだと思ってたんだけどなあ。それで十分だし。


『ショウ君、熊のことも話しておかないと』


「あ、そうだった。えっと、昨日、その奥を探索してたらですね……」


 また驚かれるだろうなと思ったら、あのアーマーベアとかいう熊はそんなに珍しい相手でもないとのこと。ベル部長は既に倒したことがあるらしい。


「戦闘メインじゃないレベル3のキャラ、しかもソロじゃ、どうやっても勝てないわね。私とまわりのキャラレベが7で、5人がかりだもの」


 って言われました……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ2 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ3 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ4 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ5 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ