表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/634

第19話 レアスキルと先駆者

「ふう、今日もテントは無事か……」


「ワフッ!」


「おわっ!?」


 上体を起こしたところに急に飛びついて来たのは、昨日助けた仔狼。そのまま顔を舐めまくられる。


『ショウ君、まだですか?』


『ああ、ごめん。ちょっと待って』


 急いで配信をオンしたいんだけど、顔の前に仔狼ががが……


「見える?」


『ショウ君、こんにちは。って、その子は昨日の子ですか!?』


「うん。いきなり飛びつかれて……おいおい、もうわかったから」


 仔狼を持ち上げて——うん、男の子だな——あぐらを組んだ足の真ん中へ降ろす。


『怪我は治ってそうですね』


「かな」


 仔狼を見てみると……


【狼?】


 相変わらず「?」がついたまま。軽傷って表示が消えてるのは良いんだけど、表示の枠が白から緑に変わってる。


「この枠が緑なのなんだろ? 確か赤は敵、白はノンアク、青がプレイヤー、黄色はNPCだったとおもうけど。ミオンは何か知ってる?」


『私もわからないです』


 うーん、可能性としては友好的って感じかな? だとしたら……

 スキル一覧を開いて探すのはもちろん調教スキル。取れるなら明るくなってるはず!


「来た! 調教スキル! 必要SP9!?」


 普通のスキルがSP1だから9倍かよ! これレアスキルってやつだよな。コモン、アンコモン、レアで、1、4、9って感じなのかな。


『ショウ君、取るんですか?』


「そりゃ……取るでしょ。この子、飼いたいし!」


 覚悟を決めて取得! オッケ! 残りSPが一気に18まで減ったなー。


「えーっと、どうやるんだこれ?」


 とりあえず仔狼を見てみると、


【狼:NoName:友好(テイム可能)】


 おお! じゃ、さっそくテイムしてみるかな。


【テイムに成功しました。名前を決めてください】


「え、名前? やばい、全然考えてなかった!」


 ひょっとしたらとは思ってたけど、いきなりここで名前を決めないといけないとは思わなかった。


『あの……名前考えて来てるんですけどダメですか?』


「え、考えてくれてたの?」


『はい。ルピってどうでしょう?』


「うん、決定」


 さすがっていうか、可愛いしちょっと強い感じもするいい名前。

 俺のネーミングセンスだと何の捻りもなく『ポチ』とかつけそうだったし……


「じゃ、お前の名前は『ルピ』だ」


「ワフン!」


【狼?:ルピ:親密】


 おお、相変わらず『?』ってついたままだけど、ちゃんと名前設定されてる。やばい、すげえ嬉しい。とか思ってたら……


【調教の先駆者:10SPを獲得しました】


「えっ!?」


『すごいです!』


 調教スキルを取って減ったSPが28に戻った。ってか、取る前より1増えてるんだけど、バランス的にいいのかこれ?

 それに、誰か普通のゲームプレイしてる人が馬とか調教してそうな気がしてたんだけどなあ……


「ワフ?」


「ん? なんでもないぞ」


 ゆっくり優しく撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めて尻尾を振る。やばい。もうずっとこうしてたい……


『かわいいです〜』


「うう、ずっとこうしてたいけど、今日はどうしたもんかな……」


 ルピを撫でつつ考える。

 西側はもう少し奥まで探索を進めたいんだけど、今からだと時間的に微妙かな?


『とりあえず、ルピちゃんのために兎狩りはどうでしょう?』


「あ、そうだった。てか、お腹空いてるよな?」


「ワフッ!」


 だよなあ。この中にいたってことは食ってないんだろうし。


「ちょっと待ってろ」


 インベから兎肉を取り出して、前と同じようにミンチにしてやる。

 作業してる間はずっとお座りで待っているあたり、ちゃんと調教スキルが効いてるっぽい。


「よーし、食べていいぞ」


 そう言うと、肉に飛びついて貪り始めるルピ。水も入れてやらないとな。


「俺がログインしてない時、ルピはどうしてるんだろう?」


『やっぱり寝ているのでは?』


 うーん、その間の分の兎肉を置いといた方がいいのか?


「まあゲームだし、丸一日ぐらい食べなくても大丈夫なんだろうけど……」


『ルピちゃんが自分で兎を狩れるようになれば大丈夫じゃないでしょうか?』


「あ、そっか」


 狼なんだし、これから大きくなれば兎……バイコビットぐらいは普通に狩れるよな。


「ルピ。飯食ったら狩りに行くぞ」


「ワフッ!」


 お? なんか顔付きがちょっと精悍になった感じがする。


『怪我が治ったばかりなんですし、あんまり無理させないでくださいね?』


「はいはい。東側の浅いところで様子見るよ」


 俺がある程度ダメージ与えてから、ルピにとどめ刺させた方がいいのかな? てか、ルピにレベルとかあるんだろうか……


 ………

 ……

 …


 ウサギモンスターのバイコビットを狩り続けること小一時間ほど。


【キャラクターレベルが上がりました!】


「お、キャラレベ上がった」


『おめでとうございます!』


「ありがと。でも、やっとレベル3だもんなあ」


 ベル部長は今レベル7とかだっけ?

 クローズドベータは二週間あって、レベル5が上限だったらしい。そのキャラとレベル・ステータス・スキルを引き継いでるって話なので単純比較はできないけど。

 それでも、5から7は1から3よりは経験値必要だろうし、それをオープンして6日でってことは……割と廃プレイしてるんじゃなかろうか?


「今回も全部ステータス行きでいいか」


 スキル取得用のSPは28も残ってるもんな。

 また、STRに3、DEX・INT・VITに2ずつ、AGIに1、LUKはスルー。キリもいいし、この辺で終わりにしとこう。


「さて、帰るか。ルピ!」


「ワフッ!」


 こういうのって最初は弱らせた獲物で遊ばせる感じだったよなあと、バイコビットで試してみたら、ルピがあっさり勝ってしまった。

 なんで、普通に戦わせたら、特にフォローする必要もなく勝利するし。俺と同じくらい強いよな……


『ルピちゃん、賢いですね』


「すごいよね。言ってること理解してくれるのは、やっぱり調教スキルのおかげなのかな」


 俺がログインしてなくても、自力で狩りができそうで一安心。けど、あの奥にはゴブリンの集落があったからなあ。


「ルピ、お腹空いたら狩りに行ってもいいけど、奥の方へは行くなよ?」


「ワフン」


 うん、賢いわ。俺より賢いかも?


「そろそろ時間だよね?」


『はい。今5時半前です』


「じゃ、キリもいいから上がるよ」


『はーい』


 就寝ログアウトにゴロンと横になると、隣に寝転ぶルピ。

 うーん、やっぱ早めにログハウスぐらいは作って、そこでのんびりライフがしたいな……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ2 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ3 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ4 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~ もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ5 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~
― 新着の感想 ―
[一言] >誰か普通のゲームプレイしてる人が馬とか調教してそうな気がしてたんだけどなあ…… わざわざ剣と魔法の世界(ゲーム)に来て開始数日で動物の調教に行く人は早々おらんで…… 移動用の馬にすら乗っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ