表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/34

リリシア

リリシア視点です。

 ボフッ


 小さな身体を受け止めたベットが、飛び込んだ本人を吸い込むようにして音が鳴る。



 適正検査を終え、帰宅したあと疲れたから休みたいと伝え、直ぐに自分の部屋へと向かった。病み上がりだからか、変に思われることも無くすんなりと部屋へと戻ることに成功した。両親と、エリィに心配をかけることになったがそれどころでは無い。なんてたって、これからの人生に関わることなのだがら。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



  前世の記憶を思い出したのは、光熱に魘された後、馴染むようにして入り込んできた記憶は違和感なく、すんなりと身体の一部へと溶け込んだ。

 そのためか、自分が転生者という事実に特別違和感を抱くことはなかった。



 言うなら、どうにかなるか精神が勝っていたのだ。



 前世の記憶が影響しているのだろう、少し考え方や感じ方が変化しているようだ。



 以前の私だったら前世の記憶を思い出す、なんて規格外のことが起きたのなら、こんな楽観的考えには陥らない。きっと、戸惑い、泣き喚き、発狂して、自分自身では抱えられなくなり下手したら病んでいったのだろう。

 言うなら、自分の知らないもう一人が身体の一部に勝手に入ってきたのと同義なのだから。



 そう考えると、前世の私が影響したという事実は幸運だった。



 そんな、私でも違和感をを抱くことが一つあった。



 それは、顔だ。



 前世日本人の地味顔からしたらこの顔は歩く凶器だ。

 プラチナブロンドの髪色にエメラルド色の瞳。目尻の下がった垂れ目に筋の通った鼻、そして薄い唇。

 どこからどう見ても美少女。


 もし、六歳までの記憶が無くなっていたとしたら顔を見た途端悲鳴をあげていただろうし、一日中鏡を見ながらだらしない顔で過ごすことになっただろう。

 それほどまでに美少女なのだ。まぁ、姉や両親を見た時はこれが標準なのか?と疑問を抱いたが。



 記憶を思い出したからといって、それが影響して生活に支障をきたすことはなかった。



 しかし、ここで異常事態が発生した。



 待ちに待った適性検査の日。そう、今日!

 第二王子の顔を見てこの世界が漫画の世界だという事が発覚した。



 どうか夢であって欲しい、と頬を抓るが痛い。確実に夢でなく、現実。



 しかも、第二王子の顔を見て思い出す、という謎の展開。

 どうせなら忘れたままがよかった。



 漫画の世界というのが分かっていても内容を詳しく知っているわけではない。

 漫画に嵌っていたのは姉だったし、漫画の表紙に描かれた人物を指さしながら一人一人解説されたが聞き流していたためあまり覚えていない。第二王子に関しては他と熱量の差が激しかったため覚えていただけだ。



 そのぼんやりとした記憶の中に引っかかるものがある。

 リリシアという名前の悪役令嬢がいなかったか。

 姉に悪役令嬢と言われながら解説された人物は私と同じ顔ではなかったか。



 疑問に思い出したら、そうとしか思えず。



 それからというもの適性検査の間、気が気ではなかった。

 あれほど楽しみだった自分の属性のことも、嬉しさよりもこれからどうなるかという不安な気持ちが勝り、エリィが心配そうにしている姿に申し訳なさは募るがそれどころではない。



 前世の私の影響で、少しのことなら受け流せるからといって、これとはまた別の話。



 漫画の世界なんて、どう影響するのか分からない状況を受け止めるなんて不可能だ。



 悪役令嬢だった場合、私ってどうなるの?強制力とかあるの?私に不利な状況とか起きたりするの?



 様々な疑問が湧き上がり、段々不安が増幅していく。



 とりあえず、前世の姉に一つだけ聞きたい。今世の私ってもしかして悪役令嬢ですか?



 お願いだから、違うと言って!!!


評価、ブックマークありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ