6話 出会い
教会の中に入れば、真正面にある精霊王を模したステンドグラスから陽の光が入り込んでいる。
それに加え、主祭壇上にある天窓からは一本の白い柱のように陽光が差しており、その空間は外観を見た時よりも、多くの感動を湧き上がらせる。
「エリィ、リリィ惚けてしまっているね」
「ふふ、仕方ないわ。始めてきたんだもの」
私もそうだったわ、と懐かしそうにお母様が目を細める。
「ルザリオ侯爵」
入口付近にいては邪魔になるからと移動している途中でお父様が声を掛けられる。
「これは、お久しぶりです。アバクイル公爵」
漆黒の髪にヘマタイトのような輝く瞳。スラリとした体躯に神秘的な空気を纏い、近寄り難く感じる。
「お見かけしたので挨拶をと思いましてね。それと軽く紹介を、息子のジェイクです」
そう言って後ろに隠れていた男の子を前に出す。長い前髪で顔半分は見えない。
父親譲りの漆黒の髪が輝いてはいるが顔半分が見えないとなると白い肌も相まって不気味に感じる。
「ジェイク・アバクイルと申します」
柔らかな声に乗せられて運ばれた名前が耳に入る。
続いて、挨拶を、とお父様に促される。
「エミリア・ルザリオと申します」
「リリシア・ルザリオと申します」
お互いに挨拶を済ませると、指定された席へと向かう。
個人で決められてはいないが子供と大人は別々に座るらしい。中央の通路を挟むように左右に長椅子が配置されている。子供は前五列目までに座り、大人はそれ以降に座る。
お父様とお母様に背中を押され出会ったばっかりの男の子とリリィを連れて、三人が並んで座れるところに座る。
一息ついていたら祭壇横の扉が開き、神父様が板のような物を持って現れた。
祭壇の前に立つと周囲を見渡し、頷く。
すると、今まで響いていた話声が止み静けさに包まれる。
もう一度頷いた神父様は口を開き、適性検査の説明を始めた。