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97 グランドエルフ

 バロンが斬ったはずのハイエルフの光の塊は吸い込まれるようにして森の中へと消えていった。


「やられたな……ご主人」

「ベル、これは?」


 ベルに状況を確認しようとしたところでアオイが駆け込んできた。

 バロンを治療するリリィとアイコンタクトをとる。一旦全員が集合することになりそうだ。


「一体は倒しましたが……もう一方をとり逃しました……面目ない」

「いや、一体でも倒してるならすごいんだけどな……」


 その前にも一体倒していることを考えれば十分すぎた。

 アオイとベルで二体は倒しきっているわけだからな。


「ふう……なんとか倒し切ったけど危なかったぁ」


 ビレナも合流する。仕留め切れたらしい。


 戦っていたハイエルフのうち、ビレナが一体、アオイとベルで2体、俺たちが1体を倒した。

 残りは3体だが、すでにその全てが森の中に引き込まれ姿を消している。


「きゅー」

「キュルケ、良かった」


 弱々しく泣きながらやってきたキュルケを抱きかかえて撫でてやる。

 すぐにバロンを抱えたリリィも追いついてきた。


「バロンも意識は失っていますが無事です」

「なら良かった……」


 あとは……。


「だめ……これは……逃げてみんな」

「どうしたんだ?」


 あの光の攻撃を受けて以降、ティエラだけは異様なほどに表情をこわばらせている。


「流石にここまでは……想定してなかったの……ハイエルフなら倒せる。最長老だって、それ以上は無理だって……そう思ってたの……」


 震えながら告げるティエラは、もはや焦点も合わず固まったまま動けないでいた。


「一体何が……」

「ふむ……あの異様な魔力……あれがティエラの恐れたものだな?」

「ええ……」


 震えるティエラの肩をビレナが抱く。


 ベルが指し示した先にはたしかに、森全体が揺れるほどの異様な魔力が溢れている。


「まさか、あの魔力が一個体に集中するというのですか?」

「なんと……そうなると私も刃が立ちませぬ……」

「にゃはは……流石に私も、自信ないなぁ」


 リリィの驚き、アオイの分析、そして何より、あのビレナが自信がないということが、どれだけの相手であるかを物語っていた。

 ティエラが震えるのもわかる。

 要するにこの場において誰も、倒せるものがいないということになるのだから。


「グランドエルフ……神に匹敵すると言われる幻の存在……生まれてしまえばもう……」

「今のうちに叩くか?」

「無理ですな……りんと殿。あれはもう、手が出せる状況にありませぬ……」


 アオイをして冷や汗を流しながら答える状況に絶望感が漂う。


「仕方あるまい……ご主人、覚悟を決めよ」

「覚悟……?」

「これから少し無茶を言う。この状況、まともに戦えるのはもう、ご主人だけだ」


 いや、俺が一番弱いはずなんだけどな……?

 だがベルは考えもなしにそんな事を言うわけがない。


「なにか考えがあるんだな」


 ベルの顔にはまだ、余裕があるように見えた。


こちらも短編該当部分が終了しました、今日の夜から本編スタート予定ですので良かったらお越しください


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復讐のネクロマンサー 〜使い魔を勇者に殺された俺は、殺した魔物の数だけ強くなるスキル【ネクロマンス】に目覚めて無双する〜

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