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96 本領

 カゲロウの力を全て腕に集中させていく。

 今にも爆発しそうなほど密度を上げていき、炎の色が赤から青白く変化していく。

 バチバチと魔力波がほとばしり始めたところで狙いを定めて腕を前に突き出した。


「炎槍!」

「キュクゥウウウウウ!」


 カゲロウの持つ膨大な魔力がほとんどそのまま腕から射出される。

 だがそれでも……。


「だめか!?」


 バロンと鍔迫り合いを起こしていたハイエルフへ直撃させたが、腕を吹き飛ばしただけですぐに再生されてしまった。


「リント殿! 今の調子でどんどんいこう! 効いてるぞ!」

「ほんとか!?」


 間近で事を構えているバロンがいうならそうなんだろう。


「行くぞカゲロウ。気合を入れろ」

「キュクゥウウウウウウウウ!」


 カゲロウの力をもう一度自分の中に取り込み確認していく。

 一撃では腕だけだと言うなら、連発できれば……?


 防御も気にする必要がないのだから、どうせなら好きにやってみよう。

 再びカゲロウから炎をもらい、コントロールしていく。今度はさっきよりも扱う魔力が大きくなる。

 当然コントロールに苦戦するものの、幸いなことにキュルケとバロンは全く俺に攻撃を届かせないよう完璧に対処してくれている。

 おかげでさっきの数倍の威力を準備することができた。


「いくぞ! 炎槍!」


 射出する炎の槍は三本。

 流石に分が悪いとみたハイエルフが回避に動こうとしたが、バロンがそれを許さなかった。


「闇魔法、影縫」

「かっこいいなそれ……!」

「アオイ殿に教えてもらってな! あの国の闇魔法は面白いぞ」


 いつの間に……。

 本当にあっという間にみんな強くなる。

 置いていかれないようにしないといけないな。


「やったぞ!」

「おお……!」


 三本の炎槍が直撃したハイエルフは再生を何度か試みたが、形をなすことができずに溶けるように消えていった。


「後一体!」

「きゅきゅー!」


 キュルケは相手の攻撃を弾く形でずっとこちらに近づかせないようにしてくれていたが、こちらの形勢が整ったのを見て戻ってくる。

 バロン、キュルケが前に構え、俺とカゲロウがいつでも攻撃できるように準備する。

 上空ではギルがいつでもブレスを放てるように準備を整えた盤石の布陣だ。


「心強いな。負ける気がしないぞ!」


 バロンがそう言いながら斧を構えてハイエルフのもとへ駆け出す。

 斧をハイエルフに向け一直線に振り下ろしたところで、異変が起きた。


「なっ!?」


 バロンの一撃は、止められることも、受け流されることもなく、あっさりとハイエルフの体を真っ二つにしている。

 いや、そんな簡単な相手ではなかった。ということはあれはフェイクだ。


「キュルケ!」

「きゅっ!」


 バロンはあまりの手応えのなさに拍子抜けした形になる。斧は明らかに振り切られすぎており、回避体制は取れない。

 そこに空から、極大の白い柱のような魔力が降り注いでいた。


「グルゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


 ギルが柱に向けてブレスを放つが白い柱のような魔力の塊はまるでそよ風を受け流すように何の変化も起こらない。


 白い柱の中に取り残されたバロンとキュルケ。感覚はつながっている。

 生きていることはわかるが、特にバロンが大ダメージを受けたことが感じ取れていた。


「リリィ!」

「ええ!」


 もともとリリィの加護があるから生きているようなものだ。すぐに回復を頼む。


「ティエラ! いまのは!?」

「まさか……最長老が……?」


 俺はこのとき、初めてティエラが焦った顔を見た気がした。

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