63 幹部
「色々と聞きたいこともあるとは思うが……すまんがまずは話を聞いてもらえるかの……」
王都ギルドマスターのヴィレントの表情が暗い。
「そんな小娘共にそのような姿勢では程度が知れますな」
「嘆かわしいものだ……Sランク冒険者というからこれだけの席を用意してやったというのにやはり野蛮な冒険者に品格はないようだな」
好き勝手言う偉そうな偉い人達。ヴィレントは全く頭が上がらない様子だった。
だがなんとかめげずに話を続ける。
「お主らの戦果は神国のほうより届いておる。当然Aランクへの昇格に相当する活躍だ。わしのほうからその形で手続きを進めたが……なにせ勢いある若手のことを心配されたようでな。本部の方々が直接その目に入れて確認したいとのことでな……」
いいづらそうに、言葉を一つずつ選びながらしゃべるヴィレントの苦労が伺える。
だがそんなもの全く気にしない傍若無人の塊がうちのパーティーにはいた。
「で、もう見たからわかったよね?」
「は?」
「いや、ここまで近くで見て実力もわからない無能な人がトップってことはないよね?」
「……」
ヴィレントがめちゃくちゃ焦ってる。
こういうときに頼りになるのがうちの影の代表。リリィだ。
ただ今回に関してはもはやそのリリィも、ビレナ側だった。
「ビレナの言う通り、そういった力は当然お有りだとは思いますが、まさか聖女たる私の力もお疑いになると……?」
怖い。リリィが怖い……。
「ふふ。私もまさかこの程度のランクで疑われるとは思わなかったわね?」
ティエラがそう続ける。王族のオーラのようなものが溢れ、ただの一貴族である役員たちは少し後ずさりしていた。
「ふむ……人間はいつまでも成長せんな」
「私は何もわからんが……」
ベルとバロンもそれぞれ続いた。当然二人も空気を読んで圧をかけているせいで、闇魔法特有のオーラが漏れ出していた。
ここまで来ると役員たちもただならぬ雰囲気を感じたのか当初の勢いは薄らいでいた。だがそれぞれプライドが高いだけあって、これで折れるようなやつらではなかった。
「無礼で品のない奴らめ!」
「そこまで言うのであれば我々の課題くらい、クリアできような?」
「もしできないというのであればもう、我々の権限だけでもお主らの居場所はなくなるのだぞ?」
課題か。
なにか用意してたんだろうな。
「課題? Sランク冒険者への依頼は高いけど、払えるの?」
「そうですね? まさか我々の時間をただで使おうなどと、そのような小物な対応、皆様であればできませんよね?」
ビレナとリリィがそれぞれ言う。リリィを怒らせたのは悪手だっただろう。立場的に貴族たちにとって聖女というのは辺境伯よりも上の価値を見出すことが多い。ここにそれより上の爵位を持つ人間がどの程度いるかわからないが、前に聞いた話だとこういう仕事をしているのはほとんどプライドだけ高く能力の低い男爵や下級伯爵と聞いていた。逆にそれより上ならまぁ、もう少しうまくやるだろうなぁ……。
「我々にここまでのことを言ったのだ。できなかった場合はどうなるかわかっておろうな?」
役員の一人がそう詰め寄る。
「何をやるかも言う前からすごむやつがあるか……まずはそこを示せ」
「ぐ……」
悪魔にたしなめられる貴族……。
ちなみにここはギルドのど真ん中だ。当然人の目もある。ほとんどの冒険者にとって貴族、ましてや組織のトップで偉そうにしている人間など鬱陶しいものだろう。雰囲気が後押しして役員たちの滑稽さが際立っていた。
「我々の指定するAランクの冒険者たちと戦え! 勝てば認める」
「それからそこのお前」
「え? 俺?」
突然指さされた。
「お前はテイマーだろう?」
「そうだけど……」
「であれば、テイマーとしての力も示せ」
「はあ……」
テイマーとしての力と来たか……。そしてそれを聞いた途端なぜかリリィをはじめとしたパーティーメンバーが勝ち誇った顔をしているのはなんでなんだ……。
とにかくいずれにしても、俺だけ特別課題を受けることになりそうだった。
土日が忙しくてあまり書けてないのですが少しずつ進めますね!
よろしくおねがいします!!!




