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脱法テイマーの成り上がり冒険譚 ~Sランク美少女冒険者が俺の獣魔になっテイマす~  作者: すかいふぁーむ
一章

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49 出発

「よし、じゃあこっからは個別行動!」


 ビレナが宣言したのはゴラ山脈を見上げる山裾。これから山に入るところだ。

 すでにここまででもカゲロウなしなら俺は死ねるなと思える魔物たちと対峙してきたんだが、ここで個人行動になるらしい。生きて戻れるだろうか……。


「大丈夫。何かあったらこれで、ね?」

「これは?」

「それぞれの生命の危機に対応して発動する魔道具でね。何かあったら割れて他のメンバーに知らせが飛ぶの」

「なるほど……」


 万が一の時は知らせを受けたビレナが担いで帰ってリリィが治すとのことだった。

 そこまでいかずともポーション千を持たされているのでまぁそう簡単になにか起こることはない、らしい……。


「大丈夫だってー。リントくんほんとに強くなってるから!」


 ビレナはそういうが本当に実感がなくて困る。


「なぜご主人はそんなに自信がないんだ……」

「いや、だってなあ、俺だけCランクだぞ?」

「ならここでAランクまであげられるわね」

「え?」


 ティエラの話によると納品上限があまりない依頼などで目覚ましい成果を上げた場合、飛び級を認めることも多いらしい。

 今回のユキウサギ5000というのは十分その範囲だということだ。


「800匹くらいでAになるんじゃないかなぁ」

「800かー」


 800ならなんとかなるのか? と考えるあたりがもうビレナの手のひらのうえという感じはあるが、仕方ない。

 もうこうなったらやるしかないわけだしな。


「じゃ、ギルちゃんありがとねー!」


 そういってギルと別れて帰らせる。いよいよスタートだ。


「勝負はユキウサギの評価額だけだけど、他の魔物も余裕があれば討伐証明品くらいは持ち帰ったほうがいいわね」

「ランク上げのために?」

「あと、お小遣い稼ぎね」


 お小遣いと言ったがここに出る魔物は一匹ずつがそれぞれ金貨の動く高位の魔物だ。つまりそれだけ強い。出来るなら出会いたくないな……。


「じゃ、いくねー!」


 ビレナがそういうとすぐに姿がブレて消えた。久しぶりに見た全速力だ。やっぱりまだ目で追いきれない。いや速くなってるかも知れないな、ビレナのほうが。


「じゃあ私も行こうかしら」


 ふわりと身体が浮かび上がったかと思うと景色に溶け込むように消えるティエラ。どうも自然が多くなればなるほど精霊魔法は力を発揮するらしく、この場所くらい森の奥深くに入っていればベルともいい勝負になるとのことだった。

 本当に改めてすごいメンバーと一緒にいるなと実感させられる。悪魔って顕現すれば魔王になるんだぞ? 倒せるのって数百年越しで生まれる勇者とか規格外の力をもった聖女だけという話だったはずだ……。いやまぁそれを言うとそもそも魔王になりかねない存在がパーティーにいることがあれか。


「ご主人、良いことを教えてやろう」

「いいこと?」

「私のこの勝負の予想だ。おそらく普通にやればティエラが勝つ」


 それはありがたい。それなら特段なにかする必要はないように感じる。


「私は残念ながら数で言えば勝てるかも知れぬが、評価額で競うならあのエルフに勝てるのはご主人だけだ」

「そうなのか?」


 勝てる根拠があるというのが良いこと、だろうか。

 次の言葉を待っているとベルは一足飛びに答えを発した。


「すべてテイムしてしまえ。そしてそのまま収納袋へ詰め込めば良い」

「そんなはいるのか……? いやそもそも生き物って……」


 収納袋はビレナからもらったものを使っているが、これは生き物をそのまま突っ込めるようにはなっていないはずだ。あといくら小さいユキウサギといえど数百も入るほどではない。


「その袋は空間魔法の応用だからな」

「ん?」

「つまりあれだ。サービスというやつだな」


 ベルから投げ渡されるように与えられたのは水晶玉のような球体。

 収納袋と同じ性質を持っているというが袋と違って入り口も何もわからない。


「念じれば使える。テイマーであれば生き物も自由に出し入れ出来るぞ」

「それって……」


 通常の収納袋の性能を大きく逸脱したアイテム……。収納袋一つでBランクくらいの冒険者なら一生かけても手に入れられない価値があるというのに……。


「魔物召喚がまだ完全ではないご主人にはよいアイテムだろう?」

「ああ……」


 市場に出回ればいくら値がつくかわからないくらい規格外アイテムだ。


「私を使うご主人はこの程度、使いこなしてもらわねば困るぞ?」


 そう言ってあっという間に山の向こうへ飛び立っていった。


「俺もちょっと、頑張るか……」

「キュクーーーーー!」

「きゅっ!」


 カゲロウとキュルケを撫でて、俺たちも出発することにした。

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