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脱法テイマーの成り上がり冒険譚 ~Sランク美少女冒険者が俺の獣魔になっテイマす~  作者: すかいふぁーむ
一章

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46 神国の噛ませ犬

 ゴラ山脈。

 神国領土の北東にかかる山脈であり、これを越えた先は海になっていて地図もない。王国民にとっては世界の果てであり、またその過酷な環境とモンスターのレベルの高さから熟練の冒険者たちの命をいくつも奪ってきた最悪の土地の一つだ。


「よくこんな依頼見つけたなぁ……」

「ユキウサギの素材獲得、最大5000匹。おいしいでしょ?」


 俺たちは神国内にあったギルド支部に集まり準備とクエストの確認をしていた。

 すでに依頼はビレナが王国で受けてきてはいるんだが、新たにおいしいものがないかと今受けているクエストがまだ有効などを確かめに来たわけだ。


「大丈夫みたいね。私の冒険者カードも生きてたわ」

「よかったー」


 神国の情勢に何も手を打てなかったギルドではあるが、手を出さなかったおかげで神国で一番大きなギルドだけは機能を失わずに回っているらしい。キラエムも自分に害のない相手になにかする余裕はなかったんだろう。


「さてとー、どうかなー? リントくん」

「ああ……可愛い、んだけど寒くないのか?」

「ふっふっふー。寒さは他の手段でなんとかするからねー!」


 ビレナの装備は胸部分を覆うもふもふしたものと同じ素材でホットパンツのようなもの。そしてフードに長いうさみみという愛らしいものだった。

 嫌がるベルにも身に着けさせており、ティエラはこういったことには抵抗がないらしくノリノリで同じ装備に着替えていた。


「にしても、目立つなぁ」


 引き締まったスタイルに獣人特有の愛くるしさとパワフルさが魅力のビレナ。

 大きな瞳に小柄な身体ながら妖艶さを携えるベル。

 そして言うまでもなく誰がどう見てもきれいな芸術品、ティエラ。


 この三人がそれぞれ愛くるしい装備に身を包んできゃっきゃやり取りしている姿はあらくれ者がほとんどのギルド内では目を引く存在だった。


「お嬢さん方、見たところ前衛にお困りでは?」


 当然こういう声掛けもひっきりなしだ。3人とも神国で有名ではないので周りからすればただの可愛くてちょっと強そうな女の子というわけだから当然といえば当然なんだろう。

 リリィとバロンは忙しいからと別行動にしていたんだがこんなことなら連れてきておけばよかっただろうか。


「リントくん! ユキウサギでも装備作りたいねー」


 ビレナは勧誘の相手に飽きた様子で男を完全に無視して俺に声をかけてくる。しつこかったから仕方ないか……。暴れられるより良いだろう。


「ユキウサギなんか王国周辺じゃ丸一日かけて1匹でるかどうかだろ……?」


 ユキウサギ。ツノウサギの白変種と言われ、純白の毛皮やブルーに輝く角は高値で取引されている。


「1匹分でも金貨が動くからねぇ、ほんとに5000匹持って行っちゃって驚かせよー!」


 5000匹すべてを納品した場合もはや大商人の年間売上に並ぶんじゃないだろうか……。そもそも誰がそんなに依頼をしたのか。


「でも、たしかにゴラ山脈ならユキウサギって普通にいるわね」

「うんうんー」


 ツノウサギでも100集まればCランクが死にかねない。ユキウサギは上位互換ではあるが、本来はぐれた単体個体しかいないので危険度という意味では意識されることはないが、ゴラ山脈においてはその危険度は跳ね上がる。巣があれば場合によっては1000匹単位で出現し捨て身の攻撃を放つのでその危険度はA級に匹敵する。


「旦那さまがいればモンスター相手って楽よね?」

「んー、ユキウサギ全部テイムするのは大変だし、競争しない?」

「いいわね」

「なんだ、それは私も入っているのか?」


 ティエラ、ビレナはノリノリの様子だった。ベルも巻き込まれたがまんざらでもない様子だ。

 リリィとバロンは遊んでる場合ではないので今日は来ていない。いやこれも遊びではないんだが。


「と、いうわけで勝った人が負けた人にお願いをできる」

「ほう」

「いいのね?」

「待った、このメンバーでか?!」


 ビレナがSランク。ティエラは星の書の数を考えれば倍強い。そしてベルは……。


「ふむ。あの場所ならば加減も必要なかろう」

「フルパワーのベルちゃんってどのくらい強いの?」

「そうだな……やろうと思えばあの山脈を地図から消せる」


 冗談でも誇張でもなさそうだ。実際過去に顕現した魔王は地図くらい何度も書き換えている。


「だめだよー、今回はユキウサギをなるべく傷つけずに捕まえるんだからねー」

「わかっておるわ」

「ふふ、じゃあ競うのは評価額ね」


 断れる雰囲気ではなくなっている。


 と、そこへ先程まで声をかけてきていた中でも最もしつこかった男がしびれを切らしたように乗り込んできた。


「なぁなぁ、その話さ、俺たちもやらせてよ」


 いやらしい笑みを隠しもしない軽薄そうな青年が声をかけてきた。



毎日更新間に合わなかったけど寝る前だからセーフということでどうかひとつ

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