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脱法テイマーの成り上がり冒険譚 ~Sランク美少女冒険者が俺の獣魔になっテイマす~  作者: すかいふぁーむ
一章

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33 ビハイド辺境伯

「なるほどねー、だからリントくん、目立たなかったのかぁ」

「ご主人さまにそれだけのことをしてきたのですから、報いは当然受けてもらわないと……」


 家に帰って話をするとビレナとリリィはこんな様子だった。俺が目立たなかったのは辺境伯は関係ない気もする……実力だ。

 ただまぁ、大陸で見てもテイマーの評価は低いとはいえビハイド辺境伯家がそれに輪をかけた圧力を加えていたのは事実らしい。

 結果、2人の表情からは辺境伯家くらいなら躊躇いなく潰す勢いを感じる事態に陥っていた。王国に5つしかない大貴族なんだけどな……辺境伯……。


「この2人を敵に回している神国と辺境伯家とやらが少し哀れになるな」

「私は何も聞いてない……私は何も聞いてない……」


 バロンとミラさんはこんな様子だ。


「まぁでも、ほんとは神国が先のほうがいいんだよね」

「そうですね。ほんとは」


 すぐにでも動くかと思ったらビレナとリリィは先に神国をやったほうがいいと提案する。


「理由は?」


 バロンが尋ねる。

 戦力を考えれば神国の件を片付けるとバロンが抜けることになる分もったいない気もするけど……。


「辺境伯家を相手にするなら、その後のいざこざを無理やりなんとか出来たほうが楽なんだよね」

「神国は事実上の指導者としてリントくんを立たせますから、国王の同盟国として力づくでねじ伏せたほうが楽し……話が早いですので」


 楽なのはいいけど楽しいはどうなんだ、理由として……。


「しかし、時間がなくはないか?」

「そこなんだよー。流石にリントくんの情報はそれとなく入ってるだろうし、今日中にやっちゃおっか?」

「は?」


 今日中……?


 ◇


「なんだ貴様らは!?」


 この台詞、どこかで聞いたことあるなぁ……。ああ教皇の時か。


「お初にお目にかかります。ビハイド辺境伯」

「ほぉ……これはこれは聖女様ではございませんか」


 リリィが顔を出すと露骨に性的な目つきになり、声色を変えた。

 正直クエルの話がどこまで本当だったか疑ってた部分もあったが、こいつなら色々やらかしてても不思議じゃないなと思わせる顔つきだ。


「しかし、いかに聖女様とて屋敷にドラゴンを乗り入れられては困りますなぁ。御用とあらば迎えに行かせたものを……」

「お気遣いなく。辺境伯の移動手段では限られた時間の中でお会いすることも難しいかと思いまして」


 ビハイドは迎えに行かせると行ったが本来の立場を考えれば聖女に会おうと思えば自分が出向く必要があるだけの格の差だ。自分が動くこともない厚かましい態度に対するリリィの牽制も込められていた。


「お忙しい様子ですがお話があるのであれば屋敷へどうぞ……」

「では失礼して」


 リリィの合図を受けて俺とビレナも降りる。


「そちらは?」

「ご存知ないですか? 私のパーティーですが」

「ほう……? 聖女様は随分前に冒険者は引退されたかと……まぁ、従者のようなものでしょうか」


 リリィは従者という言葉にイラっとした様子を見せたがまあいいだろう。

 ついて行こうとしたらビハイドが声を荒げた。


「誰が御者にすぎん貴様に敷居を跨がせると言った?」


 御者?


「汚らわしいテイマーが……我が領土に足を踏み入れておることすら虫唾が走るというのに……」


 あ……と思った時にはもう、2人から隠しきれない殺気があふれていた。

 しかしまぁ、ほんとにテイマーが憎いんだな……。まぁテイマーだった専属魔術師と祖父のせいで家が大変なことになっていたことを思えば警戒はする……のだろうか。やりすぎな気もするけどなぁ。

 ただまぁ、いずれにしてもその感情は今は隠しておくべきだった。


「さぁ聖女様とお付きの方はこちらへ。いいな、貴様はそこを一歩も動くんじゃないぞ!」

「いま、なんと?」

「へ?」


 ビレナはツノが、リリィには羽が生えている。

 Sランクの枠を飛び越えた尋常でないプレッシャーを一身に浴びたビハイドは腰を抜かす。


「へ、へ……? なにが……」

「我々のご主人様に、いま、なんと?」

「ごしゅじん……さま?」


 死の笑みを浮かべるリリィと俺を交互に見ながら恐怖に震えるビハイド。


「あーあー。普通に話し合いに応じてれば、もうちょっと生きながらえたのに」


 ビレナは魔力が抑えきれず身体が発光し始めていた。


「ご主人様、予定と違いますが、もうこれは良いですよね?」

「ちなみに俺が止めて、止まるの?」


 笑顔で答えるリリィ。ダメだな……。


 ◇


「す……すびばせんでした……」


 ボコボコにされて膨れ上がった顔は、醜く太った腹回りを彷彿とさせた。

 今回はリリィが自分で殴って自分で回復させるという暴挙に出ていたためビレナはちょっとやりたりなそうにしている。ただこれ以上やると肉体は無事でも精神が死ぬということでしぶしぶビレナは我慢していた。


「で、わざわざ今日来たの、殴るためじゃなかっただろ……」

「えへへ……つい」


 ほんとに何しに来たんだったか……。


「いやでも、ここまでやるつもりじゃなかったけど目的は半分くらい果たしたかも?」

「そうなのか?」


 ビレナいわく、今日の大目的はビハイドに余計なことをしないよう釘を刺すことらしい。釘を刺すどころかあと一歩間違えたらトドメを刺してたんだが、まぁいいか。


「歯向かっても無駄だよってことを伝えてね。テイマーに対する圧力を解いてもらうため」


 こうなるとなんか、クエルが我慢していたのが馬鹿らしくなるな……。いやもちろんクエル1人じゃこうはならなかったが……。守備兵を相手にしている間に専属魔術師たちの攻撃につかまっただろう。

 当然今回も兵は出てきたんだが、ギルがひと睨みするだけでほとんど無力化されていたし、神獣化したビレナと天使化したリリィの前に物の数などもはや意味はなさなかった。


「テイマーへの圧力か……と、いうことなんだが、いいか?」

「も、もちろんでございます」


 ビハイドに拒否権はない。


「じゃ、なんか余計なことしたら、わかってますね……?」


 リリィが笑顔で顔を治療している。


「これまでのテイマーへの不当な扱いに関して全部撤回するならさ、証拠は隠滅してもいいから」

「よ、よろしいので……?」

「うんうん、私も鬼じゃないからねー」


 角は生えてるけどねと笑いながらビレナが言う。

 意外と寛大だなと思っていたらリリィが顔を寄せてきてささやいた。


「アメも与えておかないと、暴走しかねないからね」

「確かに……」

「ただまぁ、許すつもりはないですけどね」


 何でも証拠は隠滅しようとすれば必ず足がつくらしい。このあたりはビレナもリリィもそれぞれが調べる手段は持っているらしかった。恐ろしい……。


「で、では……今後とも何卒、何とぞ……」

「はいはーい」

「忠告はしましたからね?」

「はい! それはもう! 神にちかって!」


 誓う神に一番近いと言ってもいい聖女の前に膝をついて誓うビハイド。

 なんでもパワーで押し切るなぁ……。


「じゃ、帰ろっか」

「そうだな……」


 少しビハイドを哀れに思いながら、その場を後にした。



「と、いうことで釘は刺したんだけど」


 帰ってきて早々、またギルドの奥の応接間に来ていた。幸いまだ他の冒険者に絡まれてはいないが時間の問題だと思う。特に俺が1人のときは気をつけたほうが良いだろうなぁ……。


 話を聞いたクエルは複雑そうにつぶやいた。


「早すぎる……」


 俺もそう思う。クエルはどう反応していいかわからず戸惑っていた。

 ルミさんも当事者なのでこの場にいるがポカンとしたままだ。


「ビハイドに釘を刺しただけということは……」

「カルメル家には直ちに影響はない、はず」

「そう……ですか……」


 身を乗り出していたルミさんがほっと胸を撫で下ろしていた。


「これはリリィ、聖女様から2人に伝言ですが」


 俺がそういうと2人が前のめりに話を聞きにきた。


「ここまでやったのだからあとは自分たちで出来ることをしてください、だそうで……」


 証拠隠滅に当たって手を加える場所は間違いなく直下のギルド支部たち、ということでリリィが自分で調べるよりも2人がそれを逆手にとって証拠集めをした方が効率がいいとのことだった。


「まぁ、何かあってもルミさんと家族のことはなんとかするから」

「あ……ありがとうございます……」


 あのあとリリィに確認してみたが、俺のもらった国王との契約はその程度は造作もない力があるらしい。


「なぁるほどねぇ。リントくんのハーレムが増えるわけだ」


 クエルが何か言っていたが気にしないことにした。

わかりにくい指摘があれば都度直すのでご指摘ください!基本的には軽いノリで進めるので大目に見てくれながらやっていけると嬉しいです

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >意外と寛大だなと思っていたらリリィが顔を寄せてきてささやいた。 >「アメも与えておかないと、暴走しかねないからね」 口調はビレナっぽい。 主語の誤りがセリフの誤りか…
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