キュルケとの出会い⑨
「あっ! リントさん!?」
ギルドの扉を開けると何故かルミさんに駆け寄られてペタペタ身体を触られる。
「えっと……」
「よかったぁ……心配したんですよ!」
「すみません……?」
ルミさんの整った顔が目の前に来て思わずのけぞってしまう。
「もうっ……で、何してたんですか」
「いや、ちょっといいところがあったから……これ納品できるかな?」
「すごい! いつもの倍以上あるじゃないですか! しかも品質もすごくいい……! すぐに準備しますね」
そう言うとパタパタとカウンターの奥に走っていくルミさんを目で追う。
と、なぜかルミさんは戻ってきて俺の肩を、正確にはキュルケのことを触りにきた。
「この子……」
「テイムした」
ギルドがざわついたのを感じた。嫌われもののテイマーが現れたことで標的が増えたと考えたのかもしれない。
それでもルミさんは少なくとも、祝福してくれた。
「すごいじゃないですか! スキル持ちの冒険者になったんですね!」
「『テイム』だけだけどな……」
「それでもすごいですよ。ただ気をつけてくださいね。テイマーはあまり良く思われませんから……。この子は可愛いですけど!」
ルミさんがひとしきりキュルケを撫でる。キュルケも目を細めて気持ちよさそうに受け入れていた。
「きゅー」
「可愛いー! 名前はもうつけたんですか!?」
「キュルケだ」
「キュルケちゃん」
「きゅー」
多分ルミさんがここでキュルケに構ってくれたのは、こいつが無害だと周囲に伝えるためだろう。気の利く受付嬢だった。
その後改めてカウンターの奥に納品物を持って駆けていった。
しばらくカウンターの前で待っているとルミさんが戻ってくる。
「リントさーん! すごいですよ! 査定額も出ましたがもっといい報告があります!」
「いい報告?」
「はい! 今回の納品でなんと! リントさんはEランクに昇格しました!」
「Eランク!」
昇級!? 夢じゃないだろうか。
「コツコツ貯めてきたポイントは十分あったんですが、いかんせん爆発力というか、きっかけがなかったもので」
「それがどうして今回は……?」
「納品してくださった薬草の中に一つ、これまでリントさんが巡回していただろうルートからは採取できない高価なものがありました」
「ああ……」
確かに今回はいつもとルートを外れていたが、それが良かったのか……?
「これまでは安全マージンを取りすぎた行動パターンが目立っていましたが、その上でこの場所に自ら足を運んだということは、Eランクとしてもやっていけると我々ギルド職員が判断したということです」
「なるほど……」
何にせよ嬉しいことに変わりはない。
「やりましたね! リントさん!」
「はい」
安心したからだろうか。少し身体の力が抜けた気がする。
「ふふ。今日はゆっくり休んでください。明日いらっしゃるときまでに、Eランク向けのおすすめ依頼をまとめておきますから」
「いつもありがとう」
「いえいえ。明日からも頑張りましょうね! リントさん!」
そう言って笑顔で送り出してくれるルミさん。ほんとにかわいいなぁ……。人気になるのもうなずける天使っぷりだった。
十分癒やされたところで、ギルドを出ることにした。
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魔眼の忌み子〜魔眼持ちは不気味だと家を追い出されましたが時期国王も魔眼持ちの第四王子に決まったようです。追放した理由がバレたら家がやばいから戻ってこいと言われても……もう王宮に仕えることになったので〜