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リントの特訓④

「まあでも、結構慣れたでしょ?」

「それはまぁ……」


 そうなんだが、それを認めると今後もこの方向性スパルタで進められそうで怖いから言葉を濁しておいた。


「この調子でどんどん強くなろうね! しっかり手伝うから!」


 あまり言葉を濁した意味はなかった。

 気を取り直そう。この場所に来た理由を改めて確認する。


爆発果実ダイナマイトフルーツ……だよな」


 還らずの草原とつながる森の入口。ここは爆発果実ダイナマイトフルーツが豊富に採れる場所だったはずだ。

 蔓性の茎に人の顔ほどの大きさの実がなる植物型の魔物。いや実際、その実にはなぜか人の顔のようなものが浮かび上がるという特徴がある。

 だがそれ以上に大きく、問題になる特徴がもう一つあった。爆発果実ダイナマイトフルーツは収穫しようとすると爆発を起こすのだ。何もしなければ攻撃はしてこないが、いざ爆発に巻き込まれると大怪我につながる魔物の一種だった。


「ぴんぽーん! 何個だっけ?」

「ものによるけどだいたい十個かな」


 納品基準は重さで量るはずだからな。


「おっけーおっけー。じゃあいこー!」


 いつもどおりのビレナに対して、実は俺は興奮を隠しきれずにいた。


「Cランクのクエストって感じだ……!」


 ビレナは全く気にする素振りがなかったが、俺からすれば大げさに言えば生命の危険のある初めての依頼だった。これがDランクとCランクの大きな差とも言える。


「万が一危ない顔がいたらすぐ呼んでね?」

「ああ……」


 危ない顔、というのは突然変異種のことを指していた。

 怒った顔をしているのが通常の爆発果実ダイナマイトフルーツ。そして、妙に穏やかな表情をしているのが突然変異種だ。

 変異種はその穏やかな表情でこちらをしばらく見つめた後、通常の爆発果実ダイナマイトフルーツの数十倍の威力で爆発するのだ。

 還らずの草原。ドワーフデスワーム以外の主な死因がこの爆発果実ダイナマイトフルーツの突然変異種というくらい、危険な相手だった。


「さて……やるか」


 通常種の爆発果実ダイナマイトフルーツの顔にも特徴がある。共通するのはその顔は基本的に怒り狂っており、ターゲットを補足すると真っ赤に腫れ上がった後、爆発することだ。

 こいつらを採取するためには主に二種類の方法がある。


「キュルケ、知ってるか? こいつらの採り方」

「きゅきゅー?」


 よくわからないと疑問符を浮かべるキュルケをなでて説明する。

 自分の知識を復習するためにも必要な儀式だ。


「普通はまず、ちょっと叩いたりして隠れる」


 説明しながら一つ目の果実を少し乱暴に叩いてキュルケを抱いて距離をおく。


 ――ズドーン


「きゅっ!」


 びっくりしたキュルケが俺にしがみついてきたので撫でながら説明を続けた。


「ほら、キュルケ」

「きゅきゅー?」


 爆発したあとも種の周りに残っている実は結構あり、キュルケと分けあって食べる。


「きゅー!」

「うん。美味しいな」


 爆発後に残った部分だけでも十分使いみちがあるのが爆発果実ダイナマイトフルーツのいいところだ。爆発はほとんど皮の部分で起こることもそのことを助けている。必要になる果実と種は余り巻き込まれずに済むようだった。

 今回の目的は果実だけだが……。


「種は薬とかに使えるらしいから、これも納品しよう」


 爆発させる方法を実施して改めて感じるが、この方法なら危険も少なく、Dランク向けの依頼としても問題ない難易度だ。

 ただしこの方法を採った場合、熟れている美味しい部分が失われるため食用としてはクオリティが下がるというデメリットはある。


「今回は別に爆発させてもいいんだろうけど、せっかくなら完品を採りたいよな」

「きゅっ!」



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