107 宴
「いえーい!」
「エルフってこんなにノリ良かったのか……」
その夜、祝勝会に招かれた俺たちは、親人間派……つまりティエラ派閥だったエルフたちに混じって飲み食いを楽しんでいた。
「そりゃそうっしょー! 楽しいことしたくて女王様についてきたんだから!」
「にしてもまじでリントさん強いっすね!? 正直人間なんてエルフに比べたら束にならないとどうしようもないとか思ってたっす!」
なんというかこう……よく言えば明るい。悪く言えば……馴れ馴れしい奴らだった。
まあ好意的に迎えてくれているからいいんだけど、こうも全員が美男美女でこの親しみやすさだとこちらがタジタジになるな……。
「へー、じゃあベルちゃんの魔法で助けてくれたんだー」
「感謝するが良い」
「やだー! かわいー!」
「わっ! こらやめよ! 我を誰だと……! こらー!」
ベルはおもちゃになっていた。
よく見ればバロンも似たような状況だ。ビレナはむしろエルフたちを引き連れて飲み食いに明け暮れている。
「悪い。ちょっといってくる」
「あっ。また頼みますよー! リントの兄貴ー!」
「誰が兄貴だ」
絡んでくるエルフのイケメンたちを躱して、呼ばれた先に向かう。
「ふふ。楽しんでくれてるかしら」
「楽しいのは楽しいんだけどな……」
呼ばれて近づいたのは女王、ティエラのところだ。
隣にリリィもいる。いわゆる国賓の扱いのようで上座に席が設けられていた。
そして立場だけで言えばそれより偉い俺の本来の席は……ティエラより奥の上座だった。
座ると近くでご飯をもらっていたキュルケとカゲロウ、ギルがそれぞれ俺に甘えるように集まってきたのでなでながらティエラたちに声をかける。
「アオイはどこいったんだ?」
「あー。なんか火国とつながりがあった子がいたみたいでね。刀? の話で盛り上がってるわ」
見れば確かにアオイがなにやら熱心に語り、それを熱心にメモをとりながら聞いている──
「あれ、エルフなのか……?」
「本人曰くドワーフの血がはいってるということなのだけれど、たしかによくドワーフにエルフの血がはいっているといわれるわね」
スタイル抜群の美男美女たちが並ぶエルフたちの中にあって一人だけ異質な出で立ちのエルフ。なんせでかいのだ。横に。それだけでもう場違いというか、目立つ。
「こちらに気づいたようですね」
リリィが言うようにアオイとそのエルフが気づいたようでこちらに近づいてくる。
かと思えば目の前で突然そのエルフが膝をついて頭を垂れた。
「お初にお目にかかります……! 大王様。私はドンガ。ドワーフの血を引くエルフでございます」
「ああ……いや待て。今なんて言った」
「あら。私が女王で、それより上にいるのだからそう呼ぶしかないわよ?」
「おいおい……」
いつの間にか既成事実のようにティエラに告げられた。
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