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104 森の怒り

 グランドエルフは、これまで見たどんな亜人種よりも荘厳で、美しい容姿をしていた。

 ベースは若い男のエルフだ。

 だがその身に宿るオーラがまるで違う。オーラの根源は魔力だ。

 普通のエルフですら、体内に宿る魔力量は通常の人間と比較すれば比べ物にならないほどのものだ。

 だというのに、目の前にいるグランドエルフは、通常のエルフと比較してもなお、比べ物にならないオーラを放っていた。


『どう攻めますか。りんと殿』


 ただそこにいるだけ。構えがないどころか、装備もない。簡素な布をまとっただけでありながら、どこにも隙が見当たらないのだ。

 攻めあぐねているとグランドエルフが口を開いた。


「なぜ……我らを攻撃した」


 ビリビリと空気を震わせて声が届く。

 まるで森の怒りを体現したとでも言わんばかりに。


「お前達の存在そのものが……我らへの害意だ」


 グランドエルフは長老たちの集合体のようなものだ。

 森からのエネルギー供給はほとんど絶たれているとはいえ、元の力が大きい。


「ティエラを殺そうとしただろう?」

「ふん……人間に与する者など、エルフではない。エルフではない存在を、森は許しはしない」

「森は……か」


 自分たちはあくまで森の代弁者と言い張るようだ。


「森に生きる者たちは、森で生まれ森で死ぬ。我々は森の一部であり、森は我々の一部だ」


 この考えを押し付けられ、反発したのがティエラを始めとした親人間派のエルフというわけだ。


「森を焼いた罪は大きい……我らの森からエネルギーを奪い取った罪も大きい……」

「それはお前らが……」

「違う! お前たち人間が蔓延るせいで、森は力を失ったのだ! 我らは許さぬぞ!」


 元々聖域のエネルギーは長老たちがハイエルフになったせいで枯渇したはずだ。

 それすらいつのまにか人間のせいらしい。


「森に仇なす者よ。その身を以て森に償え」

『りんと殿、来ます!』


 アオイの言葉に反応して身を捻ったが、一瞬遅れた。


「『ぐっ……』」


 腕を持っていかれた……?!

 目の前のエルフは動いてもいなかった。だというのに、光の刃が俺の右腕を肩から綺麗に持っていく。


「ご主人さま!」


 リリィがすぐさま回復とバフを飛ばしてくれたので痛みはほとんどない。

 だが──


「なんだあれ……」


 グランドエルフが放った光に包まれるようにして落ちていった腕が、地面に到達した途端何本もの木々に形を変えたのだ。

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